(不整脈の概要 不整脈の概要 正常な心臓は規則正しく協調的に拍動するが,これは固有の電気的特性を有する筋細胞によって電気パルスが生成・伝達され,それにより一連の組織化された心筋収縮が誘発されることによって生じる。不整脈と伝導障害は,そうした電気パルスの生成,伝導,またはその両方の異常により引き起こされる。 先天的な構造異常(例,房室副伝導路)や機能異常(例,遺伝性のイ... さらに読む も参照のこと。)
心室細動(VF)は複数の微小な興奮波によるリエントリー性の電気活動を原因とし,心電図上では超高速の基線の動揺として出現し,動揺のタイミングと形態は不規則である。
VFは 心停止 心停止 【訳注:最新の情報については,2020 American Heart Association's guidelines for CPR and emergency cardiovascular careを,感染症を考慮した対応については,American Heart Association's... さらに読む 状態にある患者の約70%でみられる調律であり,したがって多くの疾患における最終的な事象である。全体的に,VFを呈するほとんどの患者は基礎心疾患を有する(典型的には 虚血性心筋症 心筋症の概要 心筋症は心筋の原発性疾患である。冠動脈疾患や弁膜症,先天性心疾患といった構造的心疾患とは明確に異なる疾患概念である。心筋症は病理学的特徴に基づき,以下に示す3つの主な病型に分類される( 心筋症の病型の図を参照): 拡張型 肥大型 拘束型 虚血性心筋症という用語は,重症 冠動脈疾患の患者で(梗塞領域の有無にかかわらず)発生することがある,心... さらに読む であるが,肥大型もしくは拡張型心筋症,不整脈源性右室異形成症[ARVD],または ブルガダ症候群 ブルガダ症候群 ブルガダ症候群は,心臓電気生理に異常を来す遺伝性疾患であり,失神および突然死のリスク増大をもたらす。 ( 不整脈の概要も参照のこと。) いくつかの変異が関与するが,そのほとんどは電位依存性心筋ナトリウムチャネルのαサブユニットをコードするSCN5A遺伝子の変異である。典型的には,患者に構造的心疾患はみられない。それでも,... さらに読む のこともある)。いずれの疾患でもVFのリスクは,電解質異常,アシドーシス,低酸素血症,虚血により上昇する。
乳児および小児では,心室細動はかなりまれであり,心停止の形態としては心静止の方がより多くみられる。
心室細動の治療
除細動
植込み型除細動器
心室細動の治療は 除細動 除細動 【訳注:最新の情報については,2020 American Heart Association's guidelines for CPR and emergency cardiovascular careを,感染症を考慮した対応については,American Heart Association's COVID-19 Resuscitation Algorithmsを参照のこと。】心肺蘇生は... さらに読む を含めた 心肺蘇生術 成人における心肺蘇生(CPR) 【訳注:最新の情報については,2020 American Heart Association's guidelines for CPR and emergency cardiovascular careを,感染症を考慮した対応については,American Heart Association's COVID-19 Resuscitation Algorithmsを参照のこと。】心肺蘇生は... さらに読む による。直ちに(3分以内)施行された除細動の成功率は,当初から極めて重度のポンプ不全がなければ,約95%である。そうでない場合,たとえ直ちに施行された除細動でも成功率はわずか30%であり,蘇生できた患者もほとんどが退院前にポンプ不全で死亡する。
可逆的または一過性の原因がみられないVF患者では,将来VFや突然死を起こすリスクが高い。このような患者の大半には 植込み型除細動器 植込み型除細動器(ICD) 不整脈治療のニーズは,不整脈の症状および重篤度に依存する。治療は原因に対して行う。必要に応じて, 抗不整脈薬, カルディオバージョン/電気的除細動,植込み型除細動器(ICD), ペースメーカー(および特殊なペーシング, 心臓再同期療法), カテーテルアブレーション, 手術,またはこれらの併用などによる直接的な抗不整脈療法が用いられる。 ICDは 心室頻拍(VT)または 心室細動(VF)に反応してカルディオバージョンまたは除細動を行う。最... さらに読む が必要であり,その多くには,その後の心室頻拍およびVFの発生頻度を低下させるための 抗不整脈薬 不整脈に対する薬剤 不整脈治療のニーズは,不整脈の症状および重篤度に依存する。治療は原因に対して行う。必要に応じて,抗不整脈薬, カルディオバージョン/電気的除細動, 植込み型除細動器(ICD), ペースメーカー(および特殊なペーシング, 心臓再同期療法), カテーテルアブレーション, 手術,またはこれらの併用などによる直接的な抗不整脈療法が用いられる。 ほとんどの抗不整脈薬は,主要な細胞電気生理学的作用に基づき,大きく4つの群(Vaughan... さらに読む の併用が必要である。