貧血では,赤血球数が減少し,その結果ヘマトクリットおよびヘモグロビン量が減少する。(赤血球産生 赤血球産生 赤血球の産生(赤血球造血)は,ホルモンであるエリスロポエチン(EPO)のコントロール下で骨髄内に進行している。腎臓の傍糸球体細胞は,酸素運搬量の減少(貧血および低酸素症で生じる)またはアンドロゲン濃度の上昇に反応してエリスロポエチンを産生する。赤血球の産生には,エリスロポエチン以外にも,主に... さらに読む も参照のこと。)
失血
失血は,急性の場合も,慢性の場合もある。急性の失血では,間質液が血管内腔に拡散し,残っている赤血球量が希釈される数時間後まで貧血が発生することはない。ただし,最初の数時間で顆粒球数および血小板数が増加する場合があり,重度の出血では,幼若白血球および赤芽球が出現する場合がある。慢性の失血では,失血のペースが補充より速いと貧血に至るが,赤血球産生の亢進により体内の貯蔵鉄が枯渇して貧血となる場合の方が多い(鉄欠乏性貧血 鉄欠乏性貧血 鉄欠乏症は貧血の最も一般的な原因であり,通常は失血の結果として起こり,セリアック病などでみられる吸収不良ははるかにまれな原因である。症状は通常非特異的である。赤血球は小球性および低色素性の傾向を示し,血清フェリチン低値,血清総鉄結合能高値,および血清鉄低値で示されるように,貯蔵鉄量は低値である。この診断を下した場合は,他の原因が証明されない限り潜在的な失血を疑うべきである。治療としては,鉄補充に加え,失血の原因に対する治療がある。... さらに読む を参照)。
赤血球産生低下の原因は無数にある。赤血球産生が完全に停止すると,赤血球が週当たり約7~10%(1日当たり1%)減少する。赤血球産生異常では,赤血球数がそれほど減少しなくとも,赤血球の大きさおよび形状に異常を認めることが多い。
溶血亢進は,赤血球の内因性異常,または赤血球表面上に存在する抗体や補体などの外因子によりもたらされることがあり,赤血球の早期崩壊につながる。 腫大した脾臓 脾腫 脾腫とは,脾臓が異常に腫大した状態である。 ( 脾臓の概要も参照のこと。) 脾腫はほぼ常に,他の疾患による二次的なものである。脾腫の原因は無数にあるため,可能な分類法も多くある( 脾腫の一般的な原因の表を参照)。温帯気候で最も一般的な原因は,以下のものである: 骨髄増殖性腫瘍 リンパ増殖性疾患 さらに読む は,正常な場合よりも急速に赤血球を捕捉し破壊する。溶血では,いくつかの原因により赤血球が変形し,破壊される。鉄または他の必須栄養素が枯渇している場合またはエリスロポエチン欠乏症がある場合を除いて,通常は溶血により網状赤血球が増加する。