メルクマニュアル家庭版
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かぜ薬(感冒薬)

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100種類を超えるウイルスが、かぜから悲惨な病気を引き起こす原因になることがあり、治療法も確立されていません。何もしなくても1週間もすればかぜは治るとか、薬を服用すれば1週間でよくなるという専門家もいます。とはいえ、米国では毎年かぜの症状を軽くしようとして何十億ドルも費やしています。特に、小児はかぜをひきやすく、就学前の小児には薬の有効性が立証されていないにもかかわらず、かぜ薬が投与されています。

かぜの症状ごとにそれに応じた1つの薬で治療するのが理想的ですが、ほとんどのかぜ薬は、抗ヒスタミン薬や充血緩和薬、鎮痛薬、去たん薬(せきをしたときにたんを出しやすくする薬)、せき止め薬などさまざまな薬を含み、幅広い症状を治療するように設計されています。鼻づまりが問題の場合は、せき止め薬も去痰薬も鎮痛薬も必要ありません。せきが問題の場合は、抗ヒスタミン薬も充血緩和薬も必要ありません。のどの痛みが唯一の症状の場合は、アセトアミノフェンやアスピリン、イブプロフェン、ナプロキセンナトリウムなどの鎮痛薬が効くでしょう。トローチ剤、特に局所麻酔作用のあるジクロニンやベンゾカイン、または塩水によるうがい(約240ミリリットルのぬるま湯に小さじ半杯の塩を加えたもの)なども役立ちます。それぞれの症状に合った適切な治療法を探しましょう。ラベルを読んだり、薬剤師に相談するのも役立ちます。

ときには、かぜやせきがより重い病気の徴候の 場合もあります。症状が1週間以上続いた場合、特に胸痛があったり、せきとともに濃いたんが出る場合には、医師の診察を受けるべきです。熱と痛みは、かぜに伴う症状というより、インフルエンザや細菌感染の徴候かもしれません。

抗ヒスタミン薬

多くの専門家は、市販のかぜ薬の成分に抗ヒスタミン薬を含めるべきではないと考えています。ほとんどの抗ヒスタミン薬が眠気を引き起こすため、注意力が低下することが懸念されています。運転や重機の操作などの注意力を要する活動を行う人はいずれも、市販薬に含まれている抗ヒスタミン薬を服用すべきではありません。ただし、だれもが同じように抗ヒスタミン薬に反応するわけではありません。たとえば、アジアの人は西ヨーロッパ系の人に比べて、ジフェンヒドラミンの鎮静作用をあまり受けないようです。また、抗ヒスタミン薬に対して、神経質になったり、落ち着きがなくなったり、興奮したりするなど、反対の(逆説的)反応を示す人もあり、小児や高齢者、脳障害のある人はこの反応を起こす可能性が高くなります。

それ以外の抗ヒスタミン薬による副作用はめったに起こりませんが、かすみ眼、立ちくらみ、頭痛、腹痛、耳鳴り、動悸、口の渇き、排尿困難、便秘、錯乱などがあります。高齢者は特に、抗ヒスタミン薬の副作用を起こしやすい傾向があります(高齢者の服薬上の注意を参照)。

高齢者や妊婦、授乳中の女性は、抗ヒスタミン薬を含む薬を服用する前に、医師に相談した方がよいでしょう。同じことは閉塞隅角緑内障や心臓病(狭心症や不整脈など)、便秘、前立腺肥大の人にもあてはまります。これらのリスクについて不安が広がっているにもかかわらず、ほとんどのかぜ薬に抗ヒスタミン薬が入っています。かぜ薬に抗ヒスタミン薬が入っているかどうかは、ラベルを読むか、薬剤師に相談するとよいでしょう。

抗ヒスタミン薬が入ったかぜ薬は、アルコールや睡眠補助薬、精神安定薬、このほかにも眠気が生じて注意力が低下する薬と併用してはいけません。このような併用は、薬の鎮静作用を強めるおそれがあるからです。

抗ヒスタミン薬とは

多くの異なる市販薬(かぜ薬やアレルギー治療薬、乗り物酔いの薬、睡眠補助薬など)に、抗ヒスタミン薬が入っています。ほとんどの抗ヒスタミン薬は注意力の減退など多くの副作用をもたらし、ある種の病気をもつ人には危険です。したがって、抗ヒスタミン薬が入っている製品の見分け方を知っておくと役に立ちます。こうした副作用を起こす市販の抗ヒスタミン薬は、パッケージの有効成分欄に記載されていますが、以下のような薬を含みます。

  • ブロムフェニラミン
  • クロルフェニラミン
  • d‐ブロムフェニラミン
  • ジフェンヒドラミン
  • ドキシラミン
  • フェニンダミン
  • フェニラミン
  • ピリラミン
  • トリプロリジン

充血緩和薬(鼻づまりの薬)

ウイルスが、特に鼻の粘膜から侵入すると、血管が拡張して腫れを起こします。この場合、充血緩和薬を投与すれば、血管が収縮して多少和らげることができます。経口充血緩和薬中の有効成分には、プソイドエフェドリンとフェニレフリンがあります。

充血緩和薬の副作用には、緊張感や興奮、動悸、不眠などがあります。これらの薬は全身を循環し、鼻の血管だけでなく、他の血管を収縮させるため血圧が上昇することがあります。このため、高血圧や心臓病のある人は、医師の監督指導下でのみ服用するか、あるいは使わないようにすべきです。糖尿病や甲状腺機能亢進症の人も、充血緩和薬を服用する場合は、医師の監督指導が必要です。

これらの副作用を避けようとして、他の臓器系への影響なしに鼻組織の腫れを一時的に減らすために、しばしばスプレー式点鼻薬が使われます。スプレー式点鼻薬は効き目が非常に速く具合がよいので、ラベルに記載されている限度の3日を超えて使いたがる人が多いようですが、乱用すると、鼻づまりがリバウンドして悪循環に陥ることがあります。スプレーの効果が徐々になくなってくると、鼻の小血管が拡張して充血や鼻づまりが生じてきます。このときの感じが非常に不快なことから、スプレー式点鼻薬の使用がやめられなくなってしまうのです。こうした使い方をすると、何カ月も何年も続く薬物依存になりかねません。ときには、耳鼻咽喉科の専門医に薬の離脱を指導してもらわなければならないこともあります。

オキシメタゾリンまたはキシロメタゾリン入りの長時間作用型スプレー式点鼻薬では、約12時間緩和作用が続きます。長時間作用型のスプレー式点鼻薬かどうかは、ラベルを読めばわかります。このタイプも、連続して3日を超えて使用してはなりません。

せき止め薬

せきは肺の刺激に対する自然な反応です。せきは肺の過剰な分泌物や粘液をたんとして取り除きます(肺と気道の病気の症状と診断: せきを参照)。もし患者がせきをしてたんを出すことができるなら、このような有意義なせきを抑えることは賢明ではありません。去たん薬は、せきをしたときにたんを出しやすくするものです。グアイフェネシンは米国で市販を承認された唯一の去痰薬で、肺の分泌物をゆるめ、せきをしてたんを出しやすくするのに役立つとされていますが、薬の実際の有益性を立証するのは困難です。

空せきは、特に夜間にはひどくいらだたしいものです。せき止め薬を服用すれば軽減され、安らかな睡眠が得られます。せき止めに非常に効果のあるデキストロメトルファンは、市販のせき止め薬に最も多くみられる成分です。デキストロメトルファンはオピオイド(麻薬)ではなく、副作用はめったに起こしませんが、胃の不調や眠気を起こす可能性があります。

コデインも非常に効果的なせき止め薬ですが、米国では多くの州で処方せんがなければ手に入りません。しかし、客がサインをすれば、処方せんがなくてもコデインが入ったせき止め薬を販売する許可を薬局に与えている州もあります。コデインはオピオイドなので、中には薬物依存になるのを恐れる人もいます。現実には、依存になることはまれです。コデインには軽い鎮静作用があるため、就寝前に使用すると効果的です。

コデインによって吐き気や嘔吐、便秘を起こす人もいます。コデインはまた立ちくらみや眠気、めまいを引き起こすことがあるため、車を運転したり、集中力が必要な仕事をする人は、コデインを含むせき止め薬を服用すべきではありません。コデインに対するアレルギーはまれです。集中力を低下させる他の薬(アルコール、鎮静薬、睡眠補助薬、抗うつ薬、特定の抗ヒスタミン薬など)とコデインを同時に服用すると、副作用が起こりやすく、しかも重症になるおそれがあります。このため、こうした薬との併用は医師の管理下にある場合を除いてすべきではありません。

症状に合ったせき止め薬を選ぶには、パッケージに記載されている有効成分を確認した上で、薬剤師に相談するとよいでしょう。せきをしてたんを出す(グアイフェネシンを含む製品)、せきを抑える(コデインまたはデキストロメトルファンを含む製品)、あるいはその両方を兼ねた製品が必要です。コデインを含む治療薬は、せきで睡眠が妨げられるときに役立ちます。

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