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リンパ浮腫

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リンパ浮腫とは、リンパ液がたまったために生じるむくみのことです。

リンパ浮腫は静脈の機能不全による浮腫とは異なります。静脈の機能不全による浮腫は、静脈内の血液が逆流するために起こり、血管から漏れた体液が組織内にたまるものです。浮腫は心不全(心不全を参照)によって起こりますが、リンパ浮腫は生じません。リンパ浮腫は、何らかの異常で毛細血管によるリンパ液の再吸収が妨げられると生じます。その結果、リンパ系は組織からリンパ液を十分に排出できなくなります。

リンパ浮腫には生まれたときからある先天性リンパ浮腫と、後になって発症する後天性リンパ浮腫があります。

先天性リンパ浮腫は、リンパ管の数が少なすぎて、すべてのリンパ液を処理できないために生じます。このリンパ浮腫はほぼ脚に起こり、まれに腕にも起こることがあります。男性よりも女性にはるかに多くみられます。

まれに、生まれたときに腫れが明らかなことがありますが、普通は乳児ではリンパ液の量が少ないため、少ないリンパ管でも処理できます。たいていの場合、浮腫が生じるのはもっと成長してから、リンパ液の量が増えて少ないリンパ管では処理しきれなくなってからです。浮腫は片脚あるいは両脚に、徐々に始まります。リンパ浮腫の最初の徴候は足の腫れで、1日の終わりには靴がきつく感じるようになり、足の皮膚に靴の跡が残ることもあります(リンパ浮腫でなくても、長時間立ち続けると足のむくみを経験する人は大勢います。このような人では足首までの靴下をはくとゴムの跡が残りますが、リンパ浮腫の人よりも跡が浅く、その周辺にむくみはありません)。

先天性リンパ浮腫の初期では、脚を高く保つと腫れは消えます。この病気は時間とともに悪化します。浮腫はより著しくなり、1晩休んでも完全には消えなくなります。

後天性リンパ浮腫は、先天性リンパ浮腫よりも多くみられます。大きな手術の後に起こるのが典型的で、癌の治療でリンパ節やリンパ管を切除したり、放射線療法を行ったりした後、特にみられます。たとえば、癌が発生した乳房と関連するリンパ節を切除すると腕がむくみやすくなります。リンパ管が繰り返し感染を起こして瘢痕化することもリンパ浮腫の原因となりますが、このタイプの瘢痕化は熱帯地域の寄生虫であるフィラリア(フィラリア症)に感染した人を除き、きわめてまれです。

後天性リンパ浮腫では皮膚は健康にみえますが、むくみや腫れが生じます。むくんでいる部分を指で押しても、静脈の血流の異常によるむくみほど指の跡がはっきりと残ることはありません。まれに、特にフィラリア症の人では、むくんだ手や足が極端に太くなり、皮膚が厚く硬くなって象の皮膚のようになることがあります。この病気は象皮病と呼ばれています。

治療

リンパ浮腫を完全に治す方法はありません。軽症のリンパ浮腫の場合は圧迫包帯によってむくみを軽減できます。より重症の場合は空気圧で調整する特殊なストッキング( 静脈の疾患: 予防を参照)を毎日1〜2時間身につけることによってむくみを軽減できます。いったんむくみが軽くなったら、毎日膝上までの弾性ストッキングを朝起きてから夜寝るまではいている必要があります。この方法でむくみをある程度コントロールできます。腕のリンパ浮腫の場合は、脚と同様に空気圧で調整する腕あてを毎日着用してむくみを軽減します。弾性の腕あても使えます。象皮病の場合は、広範囲な手術を行って皮下の腫れた組織のほとんどを切除します。

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