メルクマニュアル家庭版
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吸引性肺炎

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空気中の小さな粒子は、口から気道の中へ少しずつ流れこむか吸いこまれますが、普通は、肺に到達して炎症や感染を起こす前に正常な防御機能によって除去されます。この粒子が除去されない場合、吸引性肺炎を起こします。高齢者、衰弱している人、アルコール依存症や薬物中毒の患者、麻酔や病気のため意識のない人では特に、吸引性肺炎を起こすリスクが高くなります。健康な人でも、嘔吐の際などにものを大量に吸いこんだ場合、吸引性肺炎(誤嚥性肺炎)を起こすことがあります。

肺炎の症状は、1〜2日以上たってから始まります。治療には抗生物質が必要です。いろいろな抗生物質を使いますが、最初によく使われるのが、クリンダマイシンまたはメトロニダゾールにペニシリンを加えた抗生物質です。固形物を吸いこんだ場合、それを取り除くために気管支鏡(肺と気道の病気の症状と診断: 気管支鏡検査を参照)が必要です。

化学性肺炎は、肺に有毒な物質を吸入した場合に起こります。この病気は、感染というより刺激が原因で発症します。一般的な有害物質として胃酸があり、嘔吐物を吸いこんでしまうと、化学性肺炎を起こします。数分から数時間のうちに、突然息切れやせきが生じます。そのほか、発熱やピンク色がかった泡状のたんなどもみられます。重症の場合を除き、吸引性肺炎の症状は1〜2日後に始まります。

化学性肺炎の診断は、誤嚥など、過去に起きた出来事を積み重ねていくことで明らかになります。胸部X線検査や動脈血中の酸素濃度の測定も有益です。正確な診断が困難な場合は、気管支鏡検査が行われることもあります。

治療は、酸素吸入療法(呼吸リハビリテーション: 酸素吸入療法を参照)と、必要に応じた人工呼吸器(呼吸不全: 人工呼吸器の使用を参照) の使用です。分泌物や吸いこんだ食べものの小片を気道から除くため、気管の吸引を行うこともあります。気管支鏡検査が同じ目的で使われることもあります。

吸引性肺炎と細菌性肺炎を症状で区別するのは難しいので、抗生物質がよく投与されます。一般的に、化学性肺炎の患者は、急速に回復するか、急性呼吸促迫症候群に進行するか、細菌感染症を起こすか、のいずれかの経過をたどります。重症の化学性肺炎の患者では、30〜50%までもが死亡します。

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