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黒色肺

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炭鉱労働者に起こる塵肺症である黒色肺は、肺の内部に石炭の粉塵が蓄積して起こる病気です。

黒色肺は、長期間石炭の粉塵を吸いこむことで発症します。石炭の粉塵は比較的不活性な物質なので、激しい反応を引き起こすことはありませんが、肺全体に広がってX線画像上では小さな斑点として現れます。石炭の粉塵で気道がふさがることがあります。単純性黒色肺では、石炭の粉塵は肺の細気管支を取り巻くように蓄積します。毎年、単純性黒色肺の患者の1〜2%は、粉塵に対する反応で、肺の内部に直径約1センチメートル以上の大きな瘢痕がみられる、より重い進行性塊状線維症を発症します。進行性塊状線維症は、石炭の粉塵にさらされなくなった後も悪化することがあります。肺組織や肺内部の血管は、瘢痕化によって破壊されます。

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黒色肺

黒色肺

カプラン症候群は、関節リウマチのある炭鉱労働者がかかるまれな病気で、瘢痕化による大きな丸い小結節が肺の内部に急速に生じます。この小結節は、黒色肺ではなくても、大量の石炭の粉塵にさらされてきた人にできます。

症状と診断

単純性黒色肺は普通、何も症状を起こしません。しかし、この病気の患者の多くは、特に喫煙者で多くみられる気管支炎や肺気腫などの気道の病気をもっているため、せきや息切れが起こりやすくなります。一方、重症の進行性塊状線維症では、生活に支障を来すようなせきや息切れを起こします。

10年以上炭鉱で働いてきたなど、長期間にわたって石炭の粉塵にさらされてきた人で、胸部X線画像上に特徴的な斑点が現れた場合に黒色肺と診断されます。

予防と治療

黒色肺には治療法がないため、予防することが重要です。黒色肺は、換気装置の導入など、作業現場での石炭の粉塵発生を十分に抑えることで予防できます。防塵マスクの着用は、フィルターが空気をきれいにするので、さらに予防効果を上げます。

炭鉱労働者は、黒色肺をできるだけ早期に発見できるよう、毎年胸部X線検査を受ける必要があります。黒色肺が見つかった場合には、進行性塊状線維症の発症を予防するため、できるだけ石炭の粉塵の量が少ない場所へ移るべきです。

息切れがある場合は、慢性閉塞性肺疾患(慢性閉塞性肺疾患: 治療を参照)の患者と同じように、気道を広げ、分泌物を吐き出しやすくする薬物療法が有効です。

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