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シェーグレン症候群

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シェーグレン症候群は、眼、口、その他の部位の粘膜が異常に乾燥する病気です。

この病気は自己免疫疾患と考えられていますが、その原因は不明です。男性よりも女性に多く発症します。

口の中の唾液腺や眼の涙腺など、体液を分泌する腺に白血球が浸潤します。白血球は腺を傷つけ、その結果口や眼の乾燥が起こるのが、シェーグレン症候群の顕著な症状です。

症状

患者の中には、口と眼の乾燥があり、それ以外には症状がみられない人もいます(乾燥症候群と呼ばれる状態)。眼が乾燥すると、角膜がひどく傷ついて、眼に異物感やヒリヒリする痛みが生じます。涙の分泌量が不足するため、眼の障害はいつまでも続きます。唾液の分泌が不足すると、味覚や嗅覚が鈍くなり、ものを食べたり飲んだりすると痛みが生じます。また、むし歯の原因にもなります。シェーグレン症候群の人の約3分の1で、ほおの内側にある唾液腺(耳下腺)が腫れ、わずかに圧痛を認めます。口の中が焼けつくような感じになることがありますが、この症状はときに、真菌による感染症の併発を示している場合があります。

ほかの患者では、多くの器官が侵されます。消化管、気管、外陰部、腟(ちつ)の粘膜が乾燥します。気管や肺が乾燥すると、感染症を起こしやすくなり、肺炎につながります。外陰部と腟が乾燥すると、性交時の痛みの原因となります。心膜の炎症(心膜炎)や、神経組織、肺組織などの炎症も起こります。

患者の約3分の1に関節炎が生じ、関節リウマチが侵す関節と同じ関節を侵しますが、シェーグレン症候群の関節炎はより軽い傾向にあり、通常は破壊的ではありません。重度の関節リウマチまたは全身性エリテマトーデスを合併する場合もあります。

シェーグレン症候群の人は一般の人に比べて、リンパ系のがん(リンパ腫)がよくみられます。

診断

口や眼の乾燥はよくみられる症状ですが、これに関節炎が伴っていれば、おそらくシェーグレン症候群であると考えられます。この病気を診断したり、症状が似ている他の結合組織疾患と判別するためにさまざまな検査が行われます。

涙の分泌量を調べる検査では、ろ紙を下のまぶたの下に置いて、一定時間にどの程度ろ紙がぬれるかを調べます(シルマー試験)。シェーグレン症候群の人では涙の分泌量が正常量の3分の1以下です。眼球表面に傷がないかを調べる検査も行われます。唾液の分泌量を調べるには、唾液腺の画像診断や生検といった検査をします。

血液検査では、異常な抗体が検出されます。中でも、SS-B抗体は、シェーグレン症候群に特異性が高い抗体です。関節リウマチや全身性エリテマトーデスによくみられる抗体が陽性の場合もあります。10人中約7人で赤血球沈降速度(ESR:試験管内の血液中で赤血球が沈む速度を測定する検査)が増大します。およそ3人に1人の割合で、赤血球数が減少したり(貧血)、特定の白血球数が減少します(白血球減少症)。

経過の見通しと治療

この病気の経過の見通し(予後)は一般には良好です。しかし、肺、腎臓、リンパ節が抗体によって攻撃されると、肺炎、腎不全、リンパ腫などを発症します。

シェーグレン症候群を治癒させることはできませんが、症状の軽減はできます。眼の乾燥には、人工涙液による点眼療法が行われます。口の乾燥には、水分を少しずつ絶えず補給したり、シュガーレスガムをかんだり、口内洗浄剤を使うなどしてうるおします。充血緩和薬、抗うつ薬、抗ヒスタミン薬などは、唾液の分泌量が減少して口の渇きを促進するので、使用しないようにします。唾液腺の障害がさほど重度でない場合は、ピロカルピンを使用して唾液の分泌を刺激します。

口腔内を常に衛生的な状態に保ち、歯科に頻繁に通うことがむし歯や歯の喪失を防ぐために重要です。唾液腺の痛みや腫れは、鎮痛薬で治療します。関節の症状は通常は軽症なので、治療には、非ステロイド性抗炎症薬を使用し、休息を十分に取ります。内臓の損傷に起因する症状が重度の場合は、プレドニゾロンなどのステロイド薬を経口投与するのが効果的です。

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