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結節性多発動脈炎

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結節性多発動脈炎は中程度の太さの動脈のいくつもの領域に炎症や損傷が生じ、一部の臓器や組織に対する血液の供給量が減少する病気です。

発症が最も多いのは40〜50歳ですが、どの年齢層でも発症することがあります。結節性多発動脈炎は男性に多く、女性の3倍の割合で発症します。

原因は不明ですが、一部の薬やワクチンの副作用によって発症することがあります。ときにB型肝炎などのウイルス感染症や、レンサ球菌やブドウ球菌による細菌感染症がきっかけで血管炎を発症することもありますが、多くの場合には誘因となるような出来事や物質は見つかっていません。

症状

発症の初期には軽症ですが、急速に悪化して数カ月で死に至ることもあれば、慢性的に進行し、衰弱していくこともあります。体内のあらゆる臓器(肺を除く)のいずれかまたは複数に、障害が及ぶ可能性があります。症状は、障害された臓器によりさまざまです。血管炎は結合組織の炎症を伴うことが多いため、関節にもしばしば影響が及びます。筋肉痛や関節痛がよくみられ、関節炎を発症する場合もあります。

発熱は初期によく起こる症状です。腹痛、手と足のしびれやヒリヒリする痛み、筋力低下、体重減少も初期に起こります。結節性多発動脈炎の人の4分の3で、腎臓に血液を供給している血管の損傷がもとで腎臓が障害され、これによって高血圧、むくみ、尿量の減少が引き起こされます。

消化管に血液を供給している血管が障害されると、この血管から血液供給を受けている領域が穿孔を起こし、腹部の感染症(腹膜炎)、激しい痛み、下痢、高熱を引き起こします。心臓に血液を供給している血管が障害されると、胸痛や心臓発作が起こります。脳の血管が障害されると、頭痛、けいれん、幻覚が起こり、肝臓の血管が障害されると、肝臓に広範囲にわたる障害を引き起こします。皮膚に近い血管は、触れるとでこぼこで不均整であったり、ときには皮膚潰瘍がその血管上に形成されることもあります。

診断と治療

結節性多発動脈炎の診断は、血液検査の結果だけでは確定しません。発症のしかたや臨床検査の結果から他の病気と診断できないときに、この病気が疑われます。たとえば発熱のほか、部分的なしびれ、ピリピリ感、麻痺(まひ)といった神経症状が、それまでは健康であった中年期の男性に認められれば、この病気を疑います。病変血管の生検により診断を確定します。肝臓や腎臓の生検も行われることがあります。血管造影検査によって、障害を受けた部位に動脈瘤が見つかることがあります。

まったく治療を行わなければ1年生存率はわずか33%で、5年以内に88%の人が死に至ります。積極的に治療を行うことによって、この病気による死亡を防いだり、生存期間を長くすることができます。

薬物療法によって病気の進行を止めることができます。感染症など、この病気の誘発因子があればその治療も必要です。

プレドニゾロンなどのコルチコステロイド薬を高用量で投与すれば、症状の悪化を抑えることができ、約3分の1の患者に無症状の期間をもたらします。普通はステロイド薬の長期投与が必要となりますが、こうした長期投与では顕著な副作用が現れることがあるため、症状の改善が認められた後は、医師はステロイド薬の投与量を減らします。ステロイド薬で炎症がうまく抑えられない場合は、シクロホスファミドなどの免疫抑制薬に切り替えるか、免疫抑制薬とステロイド薬との併用投与に切り替えます。高血圧のコントロールなど、これ以外の治療も、内臓障害を防ぐためしばしば必要となります。

治療を行っても、生命の維持に欠かせない臓器が機能不全に陥ったり、弱くなった血管が破れることがあります。死亡原因で多いのは、腎不全です。ステロイド薬や免疫抑制薬を長期間使用するために体の抵抗力が弱くなり、致死的な感染症にかかるおそれもあります。

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