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足底筋膜炎

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足底筋膜炎とは、足底筋膜と呼ばれる、かかとの骨の下側と足の指の付け根(母指球)をつないでいる丈夫なひも状の組織が炎症を起こした状態をいいます。

足底筋膜はかかとの骨の下側と母指球をつなぎ、歩いたり走ったりするときに、ばねの役割を果たしています。筋膜炎という病名は筋膜の「炎症」を意味しますが、この病気は実際には炎症というよりは、足底筋膜に繰り返し負荷がかかることによって起こります。足底筋膜に過度の負荷がかかると、小さな断裂が生じます。足底筋膜炎はかかとの痛みを起こす最も一般的な原因です。痛みは足底筋膜に沿った部位ならどこにでも起こりますが、最も多いのはかかとの骨と足底筋膜がつながっている部分です。土踏まずのアーチが高い人も低い人も、この病気を起こす人はたくさんいます。腓腹筋やアキレス腱(ふくらはぎの筋肉をかかとの骨に付着させている)が緊張すると足が平らになり、筋膜が「弓の弦状」になって痛みを伴います。

この病気は、ランナーやダンサーに多く起こりますが、長時間立ちっぱなしの職業の人にもみられます。形の違う靴に変えたときなどにも、足底筋膜炎を起こします。悪化要因には肥満、関節リウマチ、ライター症候群(反応性関節炎)、乾癬(かんせん)、線維筋痛などがあります。

症状と診断

足底筋膜炎の患者はしばしばじっとしていた後に、特に朝起きて足に体重をかけたときに、かなりの痛みを感じます。痛みは歩きはじめた後、一時的に解消します。歩いたり走ったりしているときに痛みが起こることもあり、この場合の痛みは、かかとからつま先に向かって放散します。

医師は足の診察で診断をつけます。足底筋膜がかかとの骨や母指球の下部と接している部位に圧痛が認められます。

X線検査では、かかとの骨の底部先端から骨棘が突出しているのが認められます。骨棘は骨が過剰に増殖したもので、足底筋膜への負荷の増大や、足の機能不全によって形成されます。診断のため行われる検査にはこのほか、骨スキャン検査、MRI検査、超音波検査などがあります。

治療

足底筋膜への負荷と痛みを軽減するためには、はだしで歩かないようにし、歩幅を小刻みにします。ジョギングなど脚に衝撃が加わる動作は避けるべきです。減量が必要な場合もあります。腓腹筋のストレッチはしばしば治癒を早めます。矯正用具を使って調節した靴をはけば、かかとを衝撃から守り、足を上げたときもサポートします。

ほかには、粘着テープによる固定、土踏まずのアーチを支持する装具、アイスマッサージ、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用、ステロイド薬の患部への注射、理学療法、矯正具の使用、就寝中にふくらはぎの筋肉と足底筋膜を伸ばすためのそえ木の使用などがあります。これらの治療を行っても効果がなければ、筋膜の圧力を部分的に開放し、骨棘の切除を試みる手術が必要になることもあります。

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