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アキレス腱滑液包炎

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アキレス腱滑液包炎は、液体が詰まった袋状の滑液包の炎症で、かかとの皮膚とアキレス腱の間(アキレス腱後滑液包炎)、またはアキレス腱とかかとの骨の間(アキレス腱前滑液包炎)に起こります

アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉とかかとの骨をつないでいる腱です。アキレス腱後滑液包炎では踵骨のハグルンド変形または「ポンプ隆起」と呼ばれる骨棘の形成に関係しています。アキレス腱前滑液包炎はアルベルト病と呼ばれています。

かかとの滑液包炎

かかとの滑液包炎

健康な人では、アキレス腱とかかとの骨(踵骨)の間に滑液包が1つあります。この滑液包が炎症を起こすと腫れて痛み、アキレス腱前部の滑液包炎を引き起こします。

異常な圧力や足の機能障害があると、アキレス腱と皮膚の間に滑液包が形成されることがあります。この滑液包も炎症を起こすと腫れて痛み、アキレス腱後部の滑液包炎を引き起こします。

アキレス腱後滑液包炎は若い女性に多くみられますが、男性にも起こります。かかとの部分が硬い靴で歩き、かかとの後ろの軟部組織の圧迫を繰り返すと、滑液包炎を起こし悪化させます。ハイヒールのように、つま先だけでなく、かかとに向かっても細くなっている靴は、この滑液包炎を誘発します。

どんな状態でもアキレス腱に過度の負荷がかかると、アキレス腱前滑液包炎を起こすことがあります。かかとの外傷や関節リウマチといった病気が原因でも起こります。

症状

外傷によって起こった滑液包炎では、症状が突然出現します。原因が外傷ではない場合、滑液包炎は徐々に発症します。アキレス腱の前でも後でも、アキレス腱滑液包炎の症状はかかと後部の腫れと熱感です。軽度の発赤と腫れ、圧痛のある個所はかかとの後ろ側に広がっていきます。炎症を起こした滑液包が腫大すれば、かかとの皮下に赤いしこりが出現し、かかとの上に痛みが生じます。慢性化すればこぶが硬くなります。

診断と治療

アキレス腱滑液包炎は、その症状と診察所見から診断されます。かかとの骨の骨折または関節リウマチやその他の炎症性関節炎による踵骨の損傷ではないことを確認するには、X線検査が必要です。

アキレス腱後滑液包炎の治療の目標は、炎症を軽減し、かかとの圧迫を減らすように靴を調整することです。フォームラバーやフェルトでできたパッドを靴に挿入すると、かかとへの圧力が軽減されます。ふくらはぎを伸ばすような靴をはいたり、炎症を起こした滑液包の周囲にパッドを敷くのも有用です。ときにはランニングシューズのように、靴底を安定させるようにデザインされた靴が、かかとの異常な動きをコントロールするのに役立つこともあります。かかとの後ろやアキレス腱の炎症を和らげる靴はいくつかあります。

アキレス腱前滑液包炎やアキレス腱後滑液包炎は、患部を温めるか冷やして圧迫します。また、非ステロイド性抗炎症薬を使用すると、一時的に痛みと炎症が改善されます。ステロイド薬と局所麻酔薬の混合液を、炎症を起こしている滑液包に注射する方法もあります。医師は混合液が腱に入らないように慎重に行います。注射後は安静にします。これらの治療で効果が認められなければ、かかとの骨の一部を手術によって切除します。

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