メルクマニュアル家庭版
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ナルコレプシー

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ナルコレプシーは、通常の起きている時間帯に自分では抑制できない眠気が繰り返し起こるのが特徴の睡眠障害で、突然の筋力低下(脱力発作)、睡眠麻痺(まひ)、幻覚を伴います。

ナルコレプシーが起きる割合は約20万人に1人です。この病気は家族内に起こる傾向がありますが、原因は不明です。ナルコレプシーが重大な病気を引き起こすことはありませんが、眠って何もできなくなるので、自動車事故などのリスクが大きくなります。

症状

症状は通常青年期から成人期にかけて出はじめ、一生涯続きます。ナルコレプシーの症状のすべてが現れる人は患者全体の約10%に過ぎず、大部分の人は2、3の症状が出るだけです。

ナルコレプシーの人はいつでも、突然、抵抗できない眠気の発作に襲われます。眠らずにいられるのは、ほんの瞬間です。発作は1日に何度も起こることもあれば、ほんの数回しか起こらないこともあります。1回の発作で眠っている時間は、普通30分以下です。発作は、退屈な会議やハイウエーでの長時間のドライブ中など、単調な状況におかれたときに最も起こりやすくなります。意図的に短い仮眠を取ったときには、すっきりと目覚めます。

意識喪失を伴わない突然の筋力低下は脱力発作と呼ばれ、怒り、恐怖、喜び、笑い、驚きなどの突発的な感情が引き金になるとみられます。急にぐにゃりと腰が抜けたり、持っているものを落としたり、地面に倒れたりします。この症状はレム睡眠中にみられる筋肉の弛緩と似ており、程度こそ軽いものの、ちょうど「笑うと力が抜ける」ときの状態に似ています。

ときおり、ちょうど寝入ったばかりや目が覚めた直後に体を動かそうとして動かせないことがあります。睡眠麻痺と呼ばれるこのような金縛り状態になると非常な恐怖に駆られますが、この状態は他の人に体に触れてもらうと治ります。周りに人がいなくても、麻痺は数分後には自然に治まります。

寝入った直後やまれに目覚めたときに、実際には存在しない映像や音が鮮明に見えたり聞こえたりすることがあります。これらのきわめて鮮明な幻覚は入眠時幻覚と呼ばれ、正常な夢に似ていますがもっと強烈で鮮明です。

診断と治療

診断は症状に基づいて行いますが、別の病気が原因で同じ症状が起こることもあります。睡眠麻痺と幻覚は、特に問題がない健康な成人にも起こります。診断が確定しないときは、睡眠検査室で脳波検査(EEG)を行って脳の電気活動の記録を取ります(脳、脊髄、神経の病気の診断: 脳波検査を参照)。ナルコレプシーがあると、寝入りばなにレム睡眠の活動が起きていることを示す典型的な波形が現れます。正常であれば、レム睡眠は睡眠サイクルの後の方で起こります。ナルコレプシーは、画像診断で見つかるような異常によっては起こりません。

アンフェタミン、デキストロアンフェタミン、メチルフェニデート、モダフィニル、ピモリンなどの刺激薬は眠気を抑える効果があります。イライラ、異常行動、体重減少などの副作用が起こらないように薬の量の調整が必要なため、薬物療法を行っている人の体調は慎重に監視されます。モダフィニルは、他より副作用の少ない薬です。イミプラミンなどの抗うつ薬は、脱力発作の症状を軽くする効果があります。日中に15〜20分程度の短い昼寝をこまめにとると、予防効果があります。

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