メルクマニュアル家庭版
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ニコチン

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ニコチンはタバコに含まれる物質で、喫煙者はニコチンに依存します。したがって、ニコチン依存症は本質的にはタバコ依存症ということになります。喫煙者のおよそ70%が、タバコをやめたいと思っているがやめられないといいます。タバコをやめた人のうち90%が独力で禁煙を成し遂げていますが、任意の一定期間内に禁煙に成功する人の割合はわずか3〜4%ほどに過ぎません。

症状と合併症

喫煙で体内に入ったニコチンの影響は、見た目にはほとんどわかりません。中には紅潮(体や顔が赤くなる)がみられる人もいます。ニコチン離脱により、ニコチンへの渇望、刺激への過敏性、不安、集中力の低下、落ち着きのなさ、頭痛、眠気、胃の不調などが生じます。タバコをやめようとしいる期間は、体重が増えることがよくあります。依存性が高い人では、やっかいな離脱症状(禁断症状)も生じます。

治療

タバコをやめる人の大半が、健康上の理由か経済的な理由のどちらかでタバコをやめています。行動修正は、タバコをやめたい喫煙者に用いられる一般的な方法です。行動修正療法は専門家のアドバイスを受けながら行う場合もありますが、インターネットや禁煙補助薬の添付文書といった情報源からも、必要な知識を得ることができます。行動修正では、日常生活の中でタバコを吸いたくなるきっかけとなっている習慣のパターンを変える方法を取ります。タバコを吸いたくなるきっかけとしては、電話での会話、休憩、食事、性行為、退屈、交通渋滞でいらいらしているときなどがあります。タバコを吸いたくなるきっかけを認識することで、行動習慣を変えたり(コーヒーを飲んで休憩する代わりに散歩をするなど)、あるいは別のものを口に入れる(キャンディをなめる、ようじをかむ、チューインガムをかむなど)といった対応が可能になります。

タバコをやめる場合は一般に、徐々に減らしていくよりも一気にやめる方が効果的です。やめる日を決めると非常にやりやすくなります。禁煙開始日は適当に決めてもよいし、特別な日(たとえば、休日や記念日)に始めるのもよいでしょう。何かの期限が近いなどストレスが多い時期は、タバコをやめるには適していません。

多くの人が、禁煙補助薬を一定期間使用することで、喫煙の習慣を断つことに成功しています。処方せんが必要なものも市販のものも含めて、さまざまな禁煙補助薬が発売されていて、たとえばニコチンガム、ニコチンパッチ、ニコチンのスプレー式点鼻薬や吸入薬などがあります。

ブプロピオン(抗うつ薬の1種)はニコチンを含まない薬で、禁煙補助薬と併用することができます。両者を併用することで禁煙の成功率が上がります。併せて行動修正プログラムを実行すると、効果がさらに高まります。

女性は特に体重の増加を気にします。ニコチンには食欲を抑え、カロリー燃焼率をやや高める作用があります。運動は禁煙に伴う体重増加を予防するのに役立ち、ニコチンへの渇望を抑える効果もあります。

抑うつの問題がある人がタバコをやめようとする場合には、カウンセリングを受けながら行う必要があります。ブプロピオンは抗うつ薬なので、抑うつ状態の人やうつ病のリスクがある人に特に有効です。

ニコチン依存がある人の多くは最初の禁煙には失敗し、喫煙を再開してしまいます。実際、成功するまでに5〜7回の失敗を重ねるケースがよくあります。真剣に禁煙に取り組む回数が多ければ多いほど、成功する確率が高くなります。

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