メルクマニュアル家庭版
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セクション

幻覚剤

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幻覚剤には、LSD(リゼルグ酸ジエチルアミド)、シロシビン(マジックマッシュルーム)、ムスカリン(ペヨーテ)、アンフェタミン誘導体の2,5‐ジメトキシ‐4‐メチルアンフェタミン(DOM、STP)があります。さまざまな新しい化合物も合成されているため、幻覚剤の種類は増えています。

症状と合併症

幻覚剤は聴覚や視覚をゆがめます。実際の効果は、使用しているときの気分や状況に左右されます。たとえば、抑うつ状態の人が使うと、ますます悲しい気分になります。幻覚剤を使うことに伴う最も大きな危険は、精神に及ぼす影響とそれによる判断力の低下で、危険な決断や事故につながるおそれがあります。たとえば自分は空を飛べると思いこみ、それを証明するために窓から飛び降りたりします。

視覚や聴覚のゆがみに対処する能力の程度も、「トリップ」と呼ばれる幻覚体験に影響を及ぼします。未経験でおびえている人は、経験があってトリップを怖がらない人のようにうまく対処できません。LSDなど幻覚剤の影響下にある人は、極度の不安を起こすことがあり、パニック状態からバッドトリップという状態に陥ります。そしてトリップをやめたいと思っても、やめられなくなります。

薬物の影響が消えてからも、精神病のような状態が何日間も(場合によってはそれ以上)続く人もいます。すでに精神障害があった人では特に、精神病性の症状が長びく傾向があります。

幻覚剤、特にLSDを長期間あるいは繰り返し使用している人は、薬物をやめるとフラッシュバックを経験することがあります。フラッシュバックは元の幻覚に似た異常な知覚が再体験されるものですが、たいていは元の幻覚ほど強烈ではありません。フラッシュバックは一般に6〜12カ月で消えますが、最後にLSDを使ってから5年後になってもまだ再発することがあります。特に不安などの精神障害が引き続きある場合には、フラッシュバックの再発傾向がみられます。

治療

幻覚剤を使用する人の大半は、自分から治療を求めることはありません。静かな薄暗い部屋で脅かさないように穏やかに話すのが、バッドトリップに入っている人の助けになります。バッドトリップは薬物が起こしている作用なので、いずれは終わることを説明して安心させます。精神病性の症状が長びく場合は精神科での治療が必要になります。

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