メルクマニュアル家庭版
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セクション

顎骨骨折

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あごの骨(顎骨)を骨折すると、痛みだけでなく上下の歯のかみ合わせまでも変わってしまい、口が大きく開かなくなったり、口を開け閉めするとあごが左右どちらかへずれたりします。顎骨骨折の大半は、下顎骨に起きています。

上顎骨を骨折すると、その近くに眼筋があるために複視が起きたり、神経が損傷されて眼の下側の皮膚がしびれたり、ほお骨を指でなぞると形の異常を感じたりします。また、あごが骨折するほどの外傷や強い打撃は、脊椎損傷、脳しんとう、頭蓋内出血をも引き起こすことがあります。

顎骨骨折の可能性がある場合は、あごと歯を動かないように一緒に固定する必要があります。あごを手で支えるか、できればあごの下から頭にかけて包帯を巻き(バートン包帯)、しっかりと固定します。包帯で固定した後は、骨折による内出血で気道がふさがる危険性があるため、その人の呼吸が止まらないかを慎重に見守りながらできるだけ早く病院へ運びます。

バートン包帯

バートン包帯

骨折したあごを一時的に安定させるために、バートン包帯が用いられます。

病院では、顎骨骨折の治療を行う前に、脊髄損傷が起きていないことを確認するために、頸部X線検査が行われます。上あごと下あごをワイヤで連結する治療が行われ、骨がつくまでの6週間はそのままの状態が保たれます。この間、患者は食事はできず、ストローを使って液体だけを飲むことになります。顎骨骨折の多くは、骨折した両側の骨を金属プレートでねじ止めする手術で修復できます。手術後の数日間はあごを動かせませんが、その後数週間は軟らかい食べものであれば食べられるようになります。小児の場合は、顎骨骨折でも固定しないケースもあり、固定する代わりに最初にあまり動かさないようにすれば、数週間後には普通に動かせるようになります。歯や歯の生えている穴から汚染された環境である口の中まで貫通した開放骨折の場合は、抗生物質が投与されます。

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