この病気は、腸のリンパ管が不適切に形成されたり、腸からのリンパの流れが妨げられたりした結果として発生します。
下痢と脚のむくみが主な症状です。
診断は生検の結果に基づいて下されます。
この病気の具体的な原因を治療した後、低脂肪、高タンパク質の食事をとり、サプリメントを服用すると、症状を管理するのに役立ちます。
消化管から伸びるリンパ管(リンパ系の概要 リンパ系の概要 リンパ系は 免疫系の極めて重要な一部です。具体的には胸腺、骨髄、脾臓、扁桃、虫垂、小腸にあるパイエル板など、感染やがんに対抗する特殊な白血球を作り出して処理する臓器や組織が含まれます。 静脈系と同様に、リンパ系も全身にわたる体液循環の経路になっています。リンパ系は以下の要素で構成されています。... さらに読む を参照)では、小腸で吸収された消化ずみの脂肪が運ばれます。ときに腸壁のリンパ管が不適切に形成された状態で小児が生まれることがあり、それによりリンパ液の流れが妨げられます。このような小児では、典型的に3歳になるまでに診断が下されます。まれですが、膵臓の炎症(膵炎 膵炎の概要 膵炎とは膵臓の炎症です。 膵臓は木の葉の形をした臓器で、長さは約13センチメートルあります。周囲を胃の下側と小腸の最初の部分(十二指腸)に囲まれています。 膵臓には主に以下の3つの機能があります。 消化酵素を含む膵液を十二指腸に分泌する 血糖値の調節を助けるインスリンとグルカゴンというホルモンを分泌する さらに読む )、腫瘍、心臓を包んでいる2層の膜の硬化(収縮性心膜炎)などの病気の結果、後になって消化管からのリンパ液の流れが妨げられることがあります。リンパの流れが妨げられると、リンパ液が腸へ逆流して漏れ出し、脂肪やタンパク質の吸収が妨げられます。
腸リンパ管拡張症の症状
腸リンパ管拡張症の患者では、片脚または両脚の腫れや下痢がみられます。吐き気や嘔吐、脂肪便、腹痛も起こることがあります。小児では発育遅滞がみられます。
腸リンパ管拡張症の診断
生検
ときにリンパ管造影検査
通常は内視鏡(ライトとカメラを搭載した観察用の柔軟な管状の機器で先端まで小さなハサミを通すことができる)を用いて小腸から組織を採取する検査(生検)を行うことで診断が下されます。採取した組織は顕微鏡で調べられます。
ときに、X線写真に写る液体(造影剤 造影剤 画像検査では、特定の組織または構造を周辺領域から区別したり、詳細な画像を撮影したりするために造影剤を使用することがあります。 造影剤には以下のものがあります。 放射線不透過性造影剤:X線画像に写る物質 常磁性造影剤: MRI検査で使用される物質 放射線不透過性造影剤はX線を吸収するため、X線画像上で白く見えます。典型的には以下のものを見るために用いられます。 さらに読む )が足のリンパ管に注射されることがあります(リンパ管造影検査と呼ばれます)。この造影剤は腹部と胸部に流れ、異常な腸リンパ管があれば明らかにすることができます。
この病気の合併症がないか調べるために、他の血液検査が行われます。血液中のタンパク質、コレステロール、白血球の濃度が少なくなる可能性があります。タンパク質濃度が低下すると組織が腫れます。
腸リンパ管拡張症の治療
原因の治療
サプリメントの服用と食習慣の変更
ときに手術
特定の病気によって腸リンパ管拡張症になった場合は、その病気を治療します。
低脂肪、高タンパク質食をとり、リンパ管を通過しないで血液中に直接吸収されるカルシウム、ビタミン、特定の中性脂肪(中鎖脂肪酸トリグリセリド)のサプリメントを服用することで、症状が改善されます。
ときに腸や閉塞したリンパ管の手術が役に立つことがあります。