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原発性胆汁性肝硬変

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原発性胆汁性肝硬変では肝臓内の胆管に炎症が生じ、その結果として瘢痕形成や線維化、胆管の閉塞がみられます。

原発性胆汁性肝硬変は35〜60歳の女性に多くみられますが、男性やこれ以外の年齢層の女性にも発症します。原因ははっきりしていませんが、免疫システムが自分自身の組織を攻撃する自己免疫反応(自己免疫疾患を参照)が原因とみられています。原発性胆汁性肝硬変は関節リウマチ、強皮症、自己免疫性甲状腺炎に伴って発症します。この病気は原発性硬化性胆管炎とは異なり、肝臓内の胆管だけに生じます。

原発性胆汁性肝硬変は、肝臓内の胆管の炎症から始まります。炎症によって、肝臓から外へと向かう胆汁の流れが妨げられ、胆汁が肝細胞に滞留したり、血流に流れこみます。炎症が肝臓の他の部分に波及するとともに、格子状の瘢痕組織が肝臓全体へと広がります。

症状と診断

原発性胆汁性肝硬変は徐々に発症します。最初の自覚症状は、かゆみやときおり感じる疲労です。指先の腫れ(ばち指)や、骨、神経、腎臓の異常といった症状は、場合によっては数カ月から数年後に初めて現れます。便は色が薄くなり、脂っぽく悪臭がします(脂肪便)。その後、肝硬変の症状や合併症が生じることがあります(脂肪肝、肝硬変、その他の関連疾患: 肝硬変を参照)。代謝性の病気で骨がもろくなる骨粗しょう症がほとんどの人にみられます。

触診の所見では、患者の約50%で肝臓が腫れて硬くなり、約25%で脾臓の腫大がみられます。病気が進行すると肝臓は縮んで小さくなります。患者の約15%に黄色い小さな沈着物がみられ、皮膚に生じるものを黄色腫、まぶたに生じるものを黄色板症といいます。約10%の人で皮膚の色素沈着傾向がみられます。早くから黄疸だけがみられる人は10%弱ですが、他の人でも病気が進むと黄疸が出てきます。

原発性胆汁性肝硬変の患者の約50%では、初期症状が現れる前に定期的な血液検査で異常が見つかっています。患者の90%以上で、血液中にミトコンドリア(細胞内の微小な構造体)に対する抗体が認められます。

黄疸や肝機能検査値の異常がある場合には、超音波検査や胆管系のMRI検査(磁気共鳴胆道造影)で、肝臓の外にある胆管の異常や閉塞の有無を調べることがあります。肝臓外の胆管に閉塞がみられず、異常部位が肝臓内にあると考えられれば、原発性胆汁性肝硬変の診断が裏づけられます。ミトコンドリアに対する抗体の検出も診断の裏づけとなります。肝生検(肝臓と胆嚢の検査: 肝生検を参照)を行うことで診断が確定し、病気の進行段階(初期段階か、進行した段階なのか)が判明します。

経過の見通しと治療

原発性胆汁性肝硬変の進行はさまざまです。初期に無症状の人の多くは2〜7年後に症状が現れますが、中には症状がないまま10〜15年間も経過する場合があります。その一方で、3〜5年の間に急速に悪化することもあります。病気が進行すると重度の肝硬変になります。黄疸がある場合、経過の見通しは悪くなります。

この病気の治療法は確立されていません。かゆみを抑えるためコレスチラミンという薬が使われます。カルシウムやビタミンA、D、Kを水溶性製剤として補給することも必要です。これらの脂溶性の栄養素は、胆汁が不十分だと、そのままの形では腸からうまく吸収できないためです。ウルソデオキシコール酸という薬は病気の進行を多少遅らせる効果があり、一般に副作用も穏やかです。病気が進行した人では、肝移植(移植: 肝移植を参照)が最善の治療法となります。

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