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原発性硬化性胆管炎

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原発性硬化性胆管炎では肝臓内外の胆管に炎症が生じ、その結果として瘢痕形成や線維化、胆管の閉塞がみられます。

原発性硬化性胆管炎では、瘢痕形成により胆管が狭くなってふさがり、肝硬変を引き起こします。原発性胆汁性肝硬変とは異なり、肝臓内、肝臓外のいずれの胆管にも病変がみられます。原因ははっきりしていませんが、免疫システムが自分自身の組織を攻撃する自己免疫反応(自己免疫疾患を参照)が原因と考えられます。原発性硬化性胆管炎は若い男性に最も多くみられます。また炎症性腸疾患、特に潰瘍性大腸炎の患者に多く発症します。

症状と合併症

原発性硬化性胆管炎では、疲労感やかゆみ、黄疸の悪化が徐々に生じます。上腹部の痛みや、胆管の炎症や感染の再発による発熱(細菌性胆管炎)が起こることがあります。細菌性胆管炎はほとんどの場合、胆管への治療や処置を行った人に生じます。胆管を広げるために内視鏡を用いてステントを挿入することがありますが、この処置がもとで細菌性胆管炎が起きることがあります。肝臓や脾臓の腫大や肝硬変(脂肪肝、肝硬変、その他の関連疾患: 肝硬変を参照)の症状がみられることもあります。腸から肝臓に流れる静脈内の血圧の上昇(門脈圧亢進症)や、腹腔内への体液の蓄積(腹水)、肝不全などを引き起こし、肝不全から死に至ることもあります。

原発性硬化性胆管炎の患者の10〜15%は、胆管癌に進行します。

診断

原発性硬化性胆管炎は、人によっては無症状のまま10年間も経過し、定期健康診断や、この病気とかかわりなく受けた肝機能検査で異常が発見されることがあります。ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)やPTC(経皮経肝胆管造影)といった検査で診断を確定します(胆管の検査に使われる画像診断を参照)。ERCP検査では内視鏡を胆管に挿入し、そこからX線撮影用の造影剤を注入します。PTC検査では体の外から針を刺し、造影剤を胆管に直接注入して撮影します。最近では腹部超音波検査や胆管系のMRI検査(磁気共鳴胆道造影)で診断を確定することも増えてきました。確定診断には肝生検(肝臓と胆嚢の検査: 肝生検を参照)が必要となる場合があります。

経過の見通しと治療

原発性硬化性胆管炎は徐々に悪化します。病気の進行を遅らせるためにコルチコステロイド、アザチオプリン、ペニシラミン、メトトレキサートなどの薬が使われますが、はっきりした効果は証明されておらず、重大な副作用を引き起こすことがあります。ウルソデオキシコール酸の価値も不明のままです。原発性硬化性胆管炎では、唯一の根治療法である肝臓移植(移植: 肝移植を参照)が必要となる場合があります。

胆管の再発性感染症(細菌性胆管炎)には抗生物質による治療が必要で、可能であればERCPを用いて胆管の閉塞部分のドレナージ(たまった液などの排出)を行います。

胆管癌が進行して手術による切除が不可能な場合には、内視鏡を使って胆管内にチューブ(ステント)を挿入し、癌でふさがった部分を広げます。

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