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転移性肝癌

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転移性肝癌は、体の別の部位に生じた癌が肝臓に広がったものです。

転移性肝癌の多くは、もともとは肺、乳房、大腸、膵臓、胃に生じたものです。白血病(白血球の癌)やリンパ腫(リンパ系の癌)も肝臓に転移することがあります。転移性肝癌の発見が、癌と診断される最初のきっかけとなることもあります。

症状

体重減少と食欲不振がしばしば最初の症状となります。発熱もみられます。典型的には肝臓は腫大しますが硬くはなく、圧痛があります。癌が膵臓から始まった場合などでは、ときに脾臓の腫大がみられます。癌が胆管をふさいでいなければ、黄疸はないか、あっても軽度です。癌が進行すると、腹腔に体液がたまって腹部が膨張します(腹水(肝臓の病気でみられる症状: 腹水を参照))。終末期の数週間は黄疸が悪化します。毒性物質が脳にたまって肝性脳症(肝臓の病気でみられる症状: 肝性脳症を参照)になると、錯乱したり眠りがちの状態になります。

診断

診断は早期には困難ですが、末期には容易になります。腫瘍による肝臓の損傷が生じて肝機能が低下し、肝機能検査にも異常が現れます。肝臓の超音波検査、CT検査、MRI検査で癌が見つかることがありますが、小さな腫瘍はこうした画像で必ず検出されるとは限らず、また肝硬変やその他の異常と見分けがつかないこともあります。

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転移性の肝臓癌

転移性の肝臓癌

肝生検(肝臓と胆嚢の検査: 肝生検を参照)では、肝臓から小さな組織片を採取して顕微鏡で調べますが、この検査で診断を確定できるのは症例の約75%にとどまります。生検では癌組織を確実に採取するため、超音波の画像で体内を見ながら針を刺す場合があります。腹腔鏡(腹壁を通して挿入される柔軟なチューブ状の観察用装置)で位置を確認しながら生検のサンプルを採取することもあります。

治療

癌の種類によっては化学療法薬を投与して腫瘍を一時的に小さくし、延命を図りますが、この方法で癌が根治することはありません。化学療法薬は、肝臓内の癌細胞に高い濃度で直接到達するように、肝動脈に注入することもできます。肝臓への放射線療法は激しい痛みの緩和にはときに有効ですが、それ以外の効果はほとんどありません。

肝臓内にみられる腫瘍が1つだけで、特に腸管の癌から転移している場合は手術で切除します。ただし、この手術の有効性については専門家の間でも異論があります。癌が広範囲に広がった患者に対して医師ができるのは、症状を緩和することだけです(死と終末期: 致死的な病気で生じる症状を参照)。治療方針に関して決定ができなくなる場合に備えて、患者本人があらかじめ事前指示書(アドバンス・ディレクティブ)(法的問題と倫理的問題: 事前指示書を参照)を作成し、どのような治療を望むかを明らかにしておくとよいでしょう。

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