メルクマニュアル家庭版
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腎臓

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腎臓はソラマメのような形をした臓器で、長さは約10〜13センチメートルです。背骨の両側にあり、消化器が納まっている空間(腹腔)の背中側に位置しています。それぞれの腎臓には、大動脈から枝分かれした腎動脈を通じて血液が流れこみます。血液は、この腎動脈から徐々に細くなる動脈を通って最も細い細動脈に入り、糸球体へと至ります。糸球体は毛細血管という微細な血管の網が小さな球状になった構造体です。糸球体に入った血液は別の細動脈を通って出ていき、細静脈に入ります。細静脈が集まって最終的に1本の太い腎静脈を形成し、血液を腎臓の外へ運び出します。

尿路の構造

尿路の構造

ネフロンは腎臓の最小機能単位で、血液をろ過して尿を生成します。1個の腎臓には約100万個のネフロンがあります。各ネフロンは、(1)糸球体、(2)ボーマン嚢(ボーマンのう:糸球体を取り巻く薄い壁状の構造体)、(3)尿細管(ボーマン嚢の内腔から原尿を排出する細い管)、(4)集合管(尿細管から尿が出ていく管)で構成されています。ボーマン嚢から排出された原尿は、集合管に達するまでに尿になります。尿細管は、近位曲尿細管、ヘンレ係蹄(けいてい)、遠位曲尿細管という連続した3つの部分で構成されています。腎臓は、皮質と呼ばれる外側の部分と髄質と呼ばれる内側の部分で構成されています。糸球体は全体が皮質の中にありますが、尿細管は皮質と髄質にまたがっています。尿は何千ものネフロンの集合管から、腎杯と呼ばれるコップのような形をした組織に流れこみます。1つの腎臓に複数の腎杯があり、その全部が腎盂(じんう)と呼ばれる中央の空洞部に尿を排出します。そして各腎臓の腎盂を経て、尿は尿管に入ります。

腎臓の機能

腎臓は普通は2つありますが、健康な腎臓が1つあればそれだけで、2つの腎臓が果たしている機能をすべて十分に果たすことが可能です。生まれつき左右どちらかの腎臓しかない人もいれば、片方の腎臓を移植のため提供する人もいます。病気やけがで片側の腎臓に重度の損傷を受ける場合もあります。

老廃物のろ過と排出: 腎臓の主な機能は、血液をろ過し、老廃物や過剰な水分および電解質(ナトリウム、カリウム、塩化物、重炭酸などのイオンやブドウ糖)を排出することです。このほか、さまざまな薬物が腎臓によって排出されます。

血液は強い圧力を受けて勢いよく糸球体に流れこみます。血液中の液体部分の大半は糸球体の小さな孔を通ってろ過され、タンパク質のような大きい分子と血球は血液中に残ります。ろ過されて血球などが取り除かれた液体は、ボーマン嚢の内腔に入った後、ボーマン嚢とつながっている尿細管に入ります。尿細管の最初の部分で、ナトリウム、水、ブドウ糖など糸球体を通過した物質の大半が再吸収され、最終的に血液中に戻ります。尿細管の2番目の部分で、ナトリウム、カリウム、塩化物が細胞膜のポンプ機能で再吸収され、残った液体は次第に薄くなります。薄くなった液体は尿細管をさらに先へ進み、そこでさらにナトリウムが血液中に再吸収され、代わりにカリウムと酸が尿細管に分泌されます。

液体は尿細管からさらに、数個のネフロンの尿細管が1本に集まった集合管に入ります。液体は集合管に入った時点で尿になっていますが、そのまま薄い尿として濃度が変わらないこともあれば、水分が血液中に再吸収されて尿が濃くなることもあります。下垂体がつくる抗利尿ホルモンは、腎臓の機能を調節し、尿の組成をコントロールして体内の水と電解質のバランスを維持するのに役立っています。

血圧の調節: 腎臓のもう1つの機能は、過剰なナトリウムを排出し、血圧の調節を助けることです。排出されるナトリウムの量が少なすぎると、血圧は上昇しやすくなります。さらに腎臓は、レニンという酵素の産生によっても血圧の調節を助けます。血圧が正常値より下がると、腎臓は血液中にレニンを分泌します。これによってレニン‐アンジオテンシン‐アルドステロン系が活性化し、その結果、血圧が上昇します(血圧の調節:レニン‐アンジオテンシン‐アルドステロン系を参照)。腎不全の人は血圧を調節する能力が低下するため、高血圧になる傾向があります。

ホルモンの分泌: 腎臓はホルモンを分泌して、赤血球の産生や骨の発育と維持といった重要な機能の調節を助けています。

腎臓はエリスロポエチンというホルモンを産生し、これが骨髄での赤血球の産生を促します。そして、骨髄から赤血球は血液中に放出されます。

健康な骨の発育と維持は、腎臓を含めて体内の複数の臓器がかかわる複雑なプロセスです。腎臓は、骨の健康に重要なミネラルであるカルシウムとリンの濃度調節を助けています。皮膚でつくられ、またさまざまな食物にも存在する不活性型ビタミンD(ホルモンの1種)を、腎臓が活性型ビタミンD(カルシトリオール)に変えます。このカルシトリオールが小腸からのカルシウムとリンの吸収を促進します。

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