メルクマニュアル家庭版
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セクション

はじめに

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ビタミンは健康的な食生活に不可欠です。ほとんどの種類のビタミンに対し、健康な人がその状態を維持するのに必要な1日あたりの量を示した推奨栄養所要量(RDA)が設定されています。一部のビタミンに関しては、安全な上限量が決められています。この上限を超えて摂取すると、有害な影響(毒性)が出る危険性が高くなります。

特定のビタミンの過少または過剰な摂取は、栄養障害の原因になります。日常的にさまざまな食物を食べている人は、まずビタミン不足にはなりません。しかし、食事制限をしている場合は、特定のビタミンを十分に摂っていないこともあります。たとえば、動物性食品は一切食べない完璧な菜食主義者の場合は、動物性の食品にのみ含まれているビタミンB12が不足します。一方で、医師の指導なしで大量のビタミンサプリメントを服用すると、有害な影響が出ることもあります。

ビタミンは、体が必要とする量が少量であることから、必須微量栄養素と呼ばれています。ビタミンA、D、E、Kは脂溶性で、ビタミンB群とビタミンCは水溶性です。ビタミンB群には、ビタミンB1(チアミン)、B2(リボフラビン)、ナイアシン、パントテン酸、B6(ピリドキシン)、ビオチン、B12(コバラミン)、葉酸(葉酸塩)があります。

体は大半のビタミンを蓄えておくことができません。そのため、定期的に摂取する必要があります。ビタミンA、D、B12の場合は、主に肝臓にかなりの量が蓄えられています。

腸で脂肪が吸収されにくくなる病気になると、脂溶性ビタミンであるA、D、E、Kの吸収が減り、欠乏症を起こす可能性が高まります。こうした病気には、クローン病、嚢胞性線維症、胆管閉塞、吸収不良障害があります。

主なビタミン

栄養素

主な栄養源

主な働き

成人の1日あたりの推奨栄養所要量

上限値

脂溶性ビタミン

       
ビタミンA(レチノール)

ビタミンAとして:魚の肝油、牛のレバー、卵黄、バター、クリーム

ベータカロチンなどのカロチノイドとして:緑黄色野菜、果物、レッドパーム油

網膜の光受容体の形成に使われ、正常な視力の維持に役立つ

皮膚や肺、腸、尿管の内壁の健康維持に役立つ

感染予防に役立つ

重度のにきびや一部の癌の治療に使用されるレチノイドと呼ばれる薬の基となる

700〜900μg

妊婦と授乳中の女性は1300μg

3000μg
ビタミンD ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)またはD3(コレカルシフェロール)として:強化乳製品やシリアル、脂の多い魚、魚の肝油、卵黄。直射日光にあたると皮膚で形成

腸でのカルシウムやリンの吸収を促進

骨の石灰化、成長、修復に必要

50歳以下は200 IU

51〜70歳は400 IU

70歳以上は600 IU

2000 IU
ビタミンE 植物油、麦芽、葉野菜、卵黄、マーガリン、豆類 抗酸化作用をもち、フリーラジカルによる損傷から細胞を保護 15 mg(自然のものは22 IU、合成のものは33 IU) 1500 IU
ビタミンK

フィロキノンとして:緑色の葉野菜(キャベツ、ほうれん草、サラダ菜など)、大豆、植物油(キャノーラ油など)

メナキノンとして:腸内細菌が生成

血液凝固因子の合成に役立ち、正常な血液凝固に必要

女性は65μg

男性は80μg

水溶性ビタミン

       
ビタミンB1(チアミン) ドライイースト、全粒穀類、肉(特に豚肉とレバー)、栄養強化シリアル、ナッツ、豆類、ジャガイモ 炭水化物の代謝、神経や心臓の正常な機能に必要

女性は1.1 mg

男性は1.2 mg

ビタミンB2(リボフラビン) 牛乳、チーズ、レバー、肉、魚、卵、栄養強化シリアル 炭水化物やアミノ酸の代謝、口の内側などの粘膜の健康維持に必要

女性は1.1 mg

男性は1.3 mg

ナイアシン(ニコチンアミドまたはニコチン酸) ドライイースト、レバー、肉、魚、豆類、全粒または栄養強化シリアル 炭水化物や脂質などさまざまな物質の代謝に必要

女性は14 mg

男性は16 mg

35 mg
パントテン酸 レバー、肉、卵黄、イースト、野菜 炭水化物や脂質の代謝に必要 5 mg(ただしRDAは確立されていない)
ビタミンB6(ピリドキシン) ドライイースト、レバー、内臓肉、全粒シリアル、魚、豆類 アミノ酸や脂肪酸の代謝、神経機能、赤血球の形成、皮膚の健康に必要

女性は1.5 mg

男性は1.7 mg

100 mg
ビオチン レバー、腎臓、卵黄、牛乳、魚、イースト、カリフラワー、ナッツ、豆類 炭水化物や脂肪酸の代謝に必要 30μg(ただしRDAは確立されていない)
ビタミンB12(コバラミン) レバー、肉(特に牛肉、豚肉、内臓肉)、卵、牛乳、乳製品 赤血球の成熟、神経機能、DNA合成に必要 2.4 μg
葉酸 新鮮な緑色の葉野菜、アスパラガス、ブロッコリー、トマト、果物(特にかんきつ類)、レバーなどの内臓肉、ドライイースト、栄養強化したパン・めん類・シリアル(ただし、長時間の調理で食品中の50〜95%が失われる) 赤血球の成熟、DNAやRNA合成に必要 400 μg 1000 μg
ビタミンC(アスコルビン酸) かんきつ類、トマト、ジャガイモ、キャベツ、ピーマン

骨や結合組織の形成と成長、傷ややけどの治癒、血管の正常な機能に必要

抗酸化作用によりフリーラジカルの損傷から細胞を保護

体の鉄分吸収の促進

女性は75 mg

男性は90 mg

喫煙者は35 mg増量

2000 mg

IU=国際単位、DNA=デオキシリボ核酸、RNA=リボ核酸、RDA=推奨栄養所要量

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