メルクマニュアル家庭版
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ナイアシン

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ナイアシンは炭水化物や脂肪など体内のさまざまな物質の代謝に必要不可欠です。

ナイアシン欠乏症

ナイアシン(ニコチンアミドまたはニコチン酸)欠乏症は、アミノ酸であるトリプトファンも同時に不足しているときにのみ、ペラグラの原因となります。トリプトファンは体内でナイアシンに変換されるからです。トウモロコシ(インディアンコーン)はナイアシンとトリプトファンの量が少ないため、トウモロコシが主食の地域に住む人はペラグラになるリスクがあります。さらに、トウモロコシに含まれるナイアシンは、アルカリ処理しないと腸で吸収できません(トウモロコシの粉を練って薄く焼いたメキシコのトルティーヤは、アルカリ処理された食品の1例)。ペラグラは季節性で、食事の内容が主にトウモロコシ製品に偏ってしまう春から夏にかけて起こります。

アルコール依存症の患者など栄養不良の人は、ペラグラになるリスクが高くなります。鉄、ビタミンB2、B6の摂取量が不十分だと、ナイアシン欠乏症のリスクが高まります。ペラグラは、トリプトファン吸収が損なわれるまれな遺伝性疾患であるハートナップ病(尿細管障害と嚢胞性腎疾患: ハートナップ病を参照)の人に発症します。

症状、診断、治療

ペラグラは、皮膚、消化管、脳に影響を及ぼします。日焼けに似た、太陽の光にあたると悪化する左右対称の赤い発疹である、光線過敏症が生じます。皮膚の異常は長く続き、病変部位は茶色に変色してうろこのようになります。

消化管全体が侵され、舌と口が炎症を起こして赤くなります。舌が腫れ、口がヒリヒリし、両方に口内炎が生じます。のどや食道にもヒリヒリした感覚が生じます。その他、吐き気、嘔吐、便秘、下痢などの症状があります。

その後、疲労、不眠、無感情が現れます。そして、普通は脳の機能不全(脳症)が続いて起こります。錯乱、見当識の喪失、幻覚、記憶喪失などが特徴です。

診断は、それまでの食生活、症状、状況に基づいて行います。診断を確定する簡便な検査はありません。

ペラグラは、ナイアシンの1種であるニコチンアミドを毎日大量に経口摂取して治療します。他のビタミンB群のサプリメントも摂取します。

ナイアシン過剰症

血液中の高い脂肪値を下げる目的で、大量のナイアシンが処方されることがあります(ニコチンアミドは処方されない)。これにより、ほてり、かゆみ、痛風、肝障害、血糖値の上昇が生じることがあります。副作用の大半は、処方を比較的低用量から始め、徐々に量を増やしていくことにより、最小限に抑えることができます。ナイアシンの前にアスピリンを服用することも役立ちます。ナイアシンの副作用が激しい場合には、用量を減らす、ゆっくりと放出されるような別の処方を試してみる、あるいはナイアシンを中止し、他の脂質低下薬(主な脂質低下薬を参照)に変更するなどの方法を取ります。

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