メルクマニュアル家庭版
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ヨウ素

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体内のヨウ素のほとんどは甲状腺にあります。甲状腺のヨウ素は、甲状腺ホルモンの形成に必要です。

ヨウ素欠乏症

ほとんどの国で、ヨウ素はヨウ化物として食卓塩に添加されているため、ヨウ素欠乏症はまれです。

ヨウ素が欠乏すると、甲状腺ホルモンの形成に必要なヨウ素をより多く取りこもうとして甲状腺が肥大し、甲状腺腫を形成します。ヨウ素欠乏症は、甲状腺の働きが不十分な甲状腺機能低下症(甲状腺の病気: 甲状腺機能低下症を参照)と同様の症状を起こします。成人では、皮膚の浮腫、しゃがれた声、精神異常、皮膚の乾燥やひび割れ、傷んで薄くなった毛髪、体重増加などの症状があります。妊婦がヨウ素欠乏症になると、胎児の成長や脳の発達に異常が生じることがあります。生まれてすぐに治療を受けないと、小人症(クレチン症)を伴う精神遅滞が起こります。放射能漏れ事故が起こると、ヨウ素欠乏症は小児における甲状腺癌の発症リスクを高めます。これは、ヨウ素が足りない甲状腺が、放射性ヨウ素を集めてしまうためです。

ヨウ素欠乏症は、血液検査を行ってヨウ素と甲状腺ホルモンの濃度が低いかどうか、または甲状腺刺激ホルモン(TSH)の濃度が高いかどうかを調べて診断するか、甲状腺腫の有無(成人の場合のみ)に基づいて診断します。治療にはヨウ素サプリメントを用います。乳児にも甲状腺ホルモンのサプリメントによる治療が必要となることがあり、ときには一生サプリメントが必要になることもあります。

ヨウ素過剰症

ヨウ素の過剰摂取はまれです。普通は、ヨウ素欠乏症の治療で長期にわたってサプリメントを摂取した場合に起こります。また、海の近くに住む人がヨウ素を多く含む海産物や水を飲んだり食べたりしたために、ヨウ素の摂取量が多くなることがあります。ヨウ素が多すぎると、甲状腺の働きが過度に活発になり、過剰な量の甲状腺ホルモンがつくられます(甲状腺機能亢進症)(甲状腺の病気: 甲状腺機能亢進症を参照)。その結果、甲状腺が肥大して甲状腺腫が形成されます。

ヨウ素過剰症は、症状に加えて、血液中のヨウ素と甲状腺ホルモン濃度の上昇、甲状腺刺激ホルモン(TSH)濃度の低下に基づいて診断します。治療では、ヨウ素が強化されていない塩を使用し、ヨウ素を含む食品の摂取を減らします。

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