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肥満

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肥満とは、過度の体脂肪が蓄積することです。

ほとんどの人にとって、太っているという状態はすぐにわかります。しかし医学的には「体重過多」と「肥満」は区別されます。体格指数(BMI)がこういった状態の定義に使用されます。BMIは、体重(kg)を身長(m)の2乗で割った値です。体重過多はBMI値25.1〜29.9、肥満はBMI値30以上と定義されます。

肥満の定義には、脂肪と筋肉の比率も考慮されます。体脂肪30%超の女性と体脂肪25%超の男性は肥満とみなされます(脂肪と筋肉を含む体の組成を参照)。したがって、ボディービルをやっているなど、非常に筋肉質で体脂肪が少ない人の場合は、BMI値が高くても肥満ではなく、健康上の危険はありません。

肥満は世界中で徐々に増加しています。米国では、肥満の増加は劇的です。1980〜1999年の間に、体重過多の人の比率は47%から61%に増え、肥満の比率は15%から26%に増えました。

肥満は男性より女性に多くみられます。その割合は年齢や人種によって異なります。たとえば、25歳での肥満の割合は約14%で、55歳では32%に増え、その後75歳では22%に減少します。また、黒人と白人の男性での肥満の割合は同程度ですが、ヒスパニック系男性ではやや高くなっています。一方、黒人とヒスパニック系の女性での肥満の割合は白人女性よりはるかに高く、黒人の中年女性の約67%が体重過多または肥満であるのに対し、白人の中年女性では45%となっています。

体格指数(BMI)の換算表

身長(cm)

体重(kg)

 

45.4

49.9

54.4

59

63.5

68.1

72.6

77.1

81.7

86.2

90.8

95.3

99.8

104.4

108.9

113.5

118

147

21 23 25 27 29 31 33 36 38 40 42 44 46 48 50 52 54

150

20 22 24 26 28 30 32 34 36 38 40 42 45 47 49 51 53

153

20 21 23 25 27 29 31 33 35 37 39 41 43 45 47 49 51

155

19 21 23 25 26 28 30 32 34 36 38 40 42 43 45 47 49

158

18 20 22 24 26 27 29 31 33 35 37 38 40 43 44 46 48

160

18 19 21 23 25 27 28 30 32 34 35 37 39 41 43 44 46

163

17 19 21 22 24 26 27 29 31 33 34 36 38 39 41 43 45

165

17 18 20 22 23 25 27 28 30 32 33 35 37 38 40 42 43

168

16 18 19 21 23 24 26 27 29 31 32 34 36 37 39 40 42

170

16 17 19 20 22 23 25 27 28 30 31 33 34 36 38 39 41

173

15 17 18 20 21 23 24 26 27 29 30 32 33 35 36 38 40

175

15 16 18 19 21 22 24 25 27 28 30 31 32 34 35 37 38

178

14 16 17 19 20 22 23 24 26 27 29 30 32 33 34 36 37

180

14 15 17 18 20 21 22 24 25 26 28 29 31 32 33 35 36

183

13 15 16 18 19 20 22 23 24 26 27 28 30 31 33 34 35

185

13 15 16 17 18 20 21 22 24 25 26 28 29 30 32 33 34

188

12 14 15 17 18 19 21 22 23 24 26 27 28 30 31 32 33

191

12 14 15 16 17 19 20 21 22 24 25 26 27 29 30 31 33

193

12 13 15 16 17 18 19 21 22 23 24 26 27 28 29 30 32

196

12 13 14 15 17 18 19 20 21 23 24 25 26 27 29 30 31

198

12 13 14 15 16 17 19 20 21 22 23 24 25 27 28 29 30

やせ気味:17.9未満

普通:18〜25

体重過多:25.1〜29.9

肥満:

中等度 30〜40

重度 41〜

原因

肥満は、体が消費するより多くのカロリーを摂取することが原因で起こります。必要なカロリー量は人それぞれで異なり、年齢、性別、運動量、体がカロリーを燃焼する速度を表す代謝率によって変わります。

遺伝的および環境的な要因が体重に影響しますが、正確にどのように影響しているかについては、まだ解明されていません。1つの仮説として、温度を自動調節するサーモスタットの設定のように、体重はある一定の設定値にコントロールされているという説があります。設定値が標準より高い人がいると考えれば、なぜ肥満になるのか、なぜ体重がなかなか減らないのか、なぜ減らした体重を維持するのが難しいのかを説明できます。

肥満は遺伝する傾向があります。しかし、家族は遺伝子だけにとどまらず、環境も共有しており、この2つの影響を分けることは困難です。遺伝的な要因で説明できるのは、体重変動のおよそ3分の1から3分の2です。

体重に影響を及ぼす遺伝子はいくつかあります。確認されているうちの1つ、ob遺伝子(肥満遺伝子)は、レプチンの産生を調節します。レプチンは脂肪細胞がつくるタンパク質です。レプチンは脳へ移動し、食欲を調整する視床下部の受容体に作用します。レプチンは、食物の摂取を減らし、燃焼されるカロリー(エネルギー)の量を増やせという指示を伝えます。これまでに、マウスとごく少数の小児での研究から、ob遺伝子の突然変異がレプチンの産生を阻害し、重度の肥満を引き起こすということが明らかになりました。このようなケースでは、レプチンの投与により、体重が正常値まで効果的に減少します。しかし、ほとんどの専門家は、大半のケースでさまざまな遺伝子が体重に影響しており、個々が及ぼす影響は非常に小さいと考えています。これらの遺伝子は同定されていません。したがって、肥満の遺伝子治療が行われる可能性は、少なくとも近い将来のことではありません。

体を動かさないことが、豊かな社会で肥満が増加していることの主な理由の1つです。これは、加齢とともにますます一般的な肥満の原因になります。座っていることが多いと、体に必要なカロリーは少なくなります。体を動かすことが増えると、たいていは食べる量が増えます。しかし、体を動かす時間が少なくなっても、それに応じて必ずしも食べる量が減るわけではなく、むしろ増加する人もいます。

豊かな社会では、食事に含まれる脂肪の割合が高くなっています。脂肪は炭水化物やタンパク質に比べると満腹感を感じるまでに時間がかかるため、高脂肪の食事だと、つい食べすぎてしまうという問題点があります。さらに、脂肪は1グラムあたりのカロリーがタンパク質や炭水化物の2倍もあります。

飲酒は肥満の一因になります。たいてい、食事に加えてさらにアルコールを飲むため、カロリー摂取量が増えがちになります。1ショット(約30ミリリットル)のアルコール飲料には、80〜90kcalが含まれています。アルコール分約8%の350ミリリットルビール1缶は、150kcalあります。アルコールは摂取されるとすぐにエネルギーとして使われるため、食物からのカロリーが脂肪として蓄えられることになります。さらに、アルコールは食欲を刺激し、自制心を低下させます。

社会経済的な要因は肥満に強い影響を及ぼし、特に女性で顕著です。米国などの先進諸国では、社会経済的地位の低い女性にみられる肥満の割合は、社会経済的地位の高い女性の2倍以上となっています。

小児期に肥満だった場合は(青年期の問題: 肥満を参照)、成人後も肥満になりがちです。これは、乳児期から小児期の初期にかけて体重が増えるときに、新しい脂肪細胞が形成されるからです。小児期に肥満になると、標準体重を維持していた人に比べ、多い場合は脂肪細胞が5倍も増えてしまいます。細胞数は減らせないため、体重は各細胞の脂肪量を減らすことによってのみ落とすことができます。このため、落とせる体重に限界があり、標準体重を維持するのを困難にしています。

妊娠中の体重増加は正常で、必要なことです。しかし、妊娠が体重についての悩みを抱える始まりになる場合があります。妊娠中にかなり体重が増え、出産後元に戻らないという問題です。数人の子供を次々に出産すると、問題がさらに深刻になります。

閉経後は多くの女性が太ります。閉経後の女性は、ホルモンの変化により体内の脂肪の位置が変わり、腰や太ももよりウエストの周囲にたまりがちになります(これは健康上のリスクを高めます(肥満: 症状を参照))。この年齢になると、次第に無意識のうちに活動的でなくなることも、体重増加の一因です。

情動障害といった精神的な要因は、もはや肥満の重要な原因とはみなされていません。しかし、ストレスは体重に影響します。ストレスがあると食べる量が増える人もいれば、少なくなる人もいます。

ホルモンの障害が肥満の原因になることはまれです。副腎からコルチゾールが過剰産生されるクッシング症候群では、脂肪が腕や脚にはつかず、胴体だけに蓄積するというあまりみられないタイプの肥満を起こします。多嚢胞性卵巣症候群(月経の異常と不正出血: 多嚢胞性卵巣症候群を参照)は、肥満と関連している場合があります。血液中のインスリン濃度が上昇する高インスリン血症が、肥満を引き起こすこともたまにあります。

普通に病気の治療に使われる薬の中には、体重増加を促進するものが多数あります。たとえば、抗うつ薬や抗精神病薬など精神や神経疾患の治療に使用する薬、ベータ遮断薬(ベータ‐ブロッカー)などの降圧薬、コルチコステロイド薬、インスリンなど、糖尿病の治療に使用する薬です。

喫煙をやめると体重が増えます。ニコチンは食欲を減退させ、代謝率を高めます。そのため、ニコチンを摂取しなくなると、食物の摂取量が増加して代謝率が減少し、燃焼されるカロリーが少なくなります。その結果、体重が5〜10%増えることがあります。

症状

体脂肪が過剰に蓄積すると、全身の見た目が変わります。重度の肥満になると、体が重いために奇妙な歩き方になります。脚と脚の間が広がって歩き方が安定せず、関節が圧迫されます。その結果、腰、ひざ、足首などに変形性関節症が生じ、さらに悪化して歩行がいっそう困難になります。腰痛も起こります。疲労感が常にあります。疲れやすい、歩けないなどの問題により、体を動かさなくなり、日常的な運動量も減少します。足や足首に体液が蓄積し、しばしば浮腫と呼ばれる状態になります。

肥満の人は体重に対して体の表面積が比較的少ないため、効果的に体温を放出できず、やせた人より汗をかきます。皮膚が折り重なって湿り気が閉じこめられるため、皮膚疾患がよくみられます。

肥満だと、特に激しく動かなくても呼吸が苦しく、すぐに息切れがします。これは、胸部と腹部を分ける横隔膜の下と胸壁に脂肪が蓄積して、肺が圧迫されるからです。さらに、のどの内壁を覆う組織に脂肪が蓄積すると、気道が狭くなり、空気の流量が減少します。あお向けに寝ると、呼吸がさらに困難になります。呼吸がしにくいとよく眠れなくなり、呼吸が瞬間的に繰り返し止まることもあります(睡眠時無呼吸(睡眠障害: 睡眠時無呼吸症候群を参照)と呼ばれる状態)。睡眠時無呼吸があると、昼間に眠気を覚え、高血圧や脳卒中など他の障害が起こります。

肥満によって、さまざまな病気になる危険性が高くなります。たとえば、心臓に負担がかかるため、肥満の人には心不全が起こりやすくなります。また、女性の場合は乳癌、子宮癌、卵巣癌、男性の場合は結腸癌、直腸癌、前立腺癌が、肥満している人に多くみられます。月経異常、変形性関節症、痛風、胆嚢(たんのう)の病気もよくみられます。

病気になるリスクは、脂肪がたまる位置によって異なります。男性と閉経後の女性の場合は、腹部臓器に脂肪が蓄積しがちで(内臓肥満)、リンゴ型の体形になります。女性の場合は、太ももと腰に脂肪が蓄積しがちで、洋ナシ型の体形になります。内臓肥満は、冠動脈疾患、脳卒中、高血圧症、2型糖尿病、コレステロール高値に関連しています。内臓肥満の人は、自分の体重の5〜10%程度を減らしただけで、このような病気になるリスクが劇的に減少します。さらに、高血圧症の人の大半で血圧が下がり、2型糖尿病の人の半数以上が、インスリンなど血糖降下薬をやめることができます。体重を減らし、低脂肪の食事に変えることで、血液中の脂肪を減らすことができます。

脂肪は早死にするリスクを2〜3倍に高めます。肥満が重度であればあるほど、そのリスクが高くなります。米国では、年間30万もの人が肥満が原因で死亡しています。

やせている方が良いとされる文化では、太っていることは精神的、感情的な問題を引き起こします。多くの若い肥満女性が、自分の体に対して否定的なイメージをもち、人目を気にして引っこみ思案になります。肥満の人は偏見や仕事上の差別を受け、疎外感を感じ、自尊心を失ってしまいます。しかし、肥満の人にうつ病が多いということはないようです。

診断と治療

肥満の診断は簡単で、その程度はBMIによって決定されます。体の組成を調べる検査(脂肪と筋肉を含む体の組成を参照)などは、ほとんど必要ありません。

肥満は治療しないと進行しがちです。減量や減量後の体重維持に役立つ方法は進歩してきていますが、減量した人の大半が3年ほどで元に戻ってしまいます。減量しては元の体重に戻ることを繰り返していると健康上の問題が生じるのではないかという心配は根拠がなく、体重を減らす努力をやめる理由にはなりません。

減量するには、摂取するカロリーを燃焼するカロリーより少なくしなければなりません。そのためには、カロリーの摂取量を減らすか、体の運動量を増やして、より多くのカロリーを燃焼させるようにします。普通はその両方を行います。

効果的な減量法は人によってさまざまです。自分だけで取り組む人もいれば、同じ目的をもった人のグループに参加する人もいます。こうしたグループには、過食症のための自助グループ(過食者匿名協会:OA)、減量のための自助グループ(減量賢人会:TOPS)、地域や職場で行うプログラムがあります。本や雑誌の記事を参考にしたり、特別なダイエット計画を立てたり、食事の代わりにダイエット食品を用います。しかし、こうした方法が成功しているかどうかについての情報はほとんどありません。

専門家によって体系化されたプログラムを選ぶ人もいます。典型的なものでは、カウンセラーが毎週ミーティングを行い、さらに教育指導用の教材で補足します。カウンセラーは資格をもった医療従事者の場合も、そうでない場合もあります。プログラムは期間が限定されているものが多く、しかも多くの人が途中でやめてしまいます。費用は週に15ドルのものから6カ月間で3000ドルのものまでさまざまです。こうしたプログラムの効果については、ほとんど情報がありません。それでも、すぐに利用できる便利さと、治療を受けて減量したいという願望が、こうしたプログラムの人気を支えています。

体重管理プログラムの大半が、栄養カウンセリングや運動を併用した食事療法に焦点をあてています。多くのプログラムが、日常生活での行動を変えるよう工夫させ、ダイエットや運動を促進します。こうした工夫は、おなかがすいているときに食べものを買いに行ったり、高カロリーのスナック菓子を家に常備するなど、食べすぎの引き金となる行動を自覚させ、そういった行動を変えるのに役立ちます。体重管理プログラムの一環として、減量に効果のある薬を医師が処方することもあります。

ダイエットと栄養カウンセリング: ダイエットは、食生活を変え、それを維持しないと効果は上がりません。成功率の高いプログラムでは、食生活を安全に、良識ある範囲で徐々に、果物、野菜、パン、めん類など複合炭水化物の摂取量を増やし、脂肪の摂取量を減らすように変えていく方法を指導します。一時的に流行するダイエット法には危険な方法があるので、避けた方がいいでしょう(栄養の基礎知識: 食事を参照)。軽い肥満の場合は、カロリーと脂質の摂取量をやや制限するだけで十分です。普通は、摂取カロリーを1日1200〜1500kcalに制限します。以前は、1日800kcal、あるいはそれ以下の極端に低カロリーのダイエットがありましたが、現在はほとんど行われていません。こういったダイエットを行うと、たいていの場合、体重は後ですぐに戻ってしまいます。

運動: 適度な運動は減量に効果があります。1日30分以上の運動を週に5〜7日続けるのが望ましいとされています(エクササイズとフィットネス: エクササイズプログラムを始めるを参照)。運動は体が消費するカロリーの量を増やします。しかし、運動したからといって、カロリー摂取量を制限しなくていいわけではありません。アルコール飲料1杯分のカロリーを燃焼するには、およそ1時間のウオーキングが必要で、チーズケーキ1切れ分のカロリーを燃焼するには、1時間のランニングが必要です。

ジョギング、速足のウオーキング(1時間に5〜6キロメートル)、サイクリング、シングルスのテニス、スケート、クロスカントリースキーなどの有酸素運動は、他の軽い運動に比べて多くのカロリーを燃焼します(運動によるカロリー消費量のめやすを参照)。たとえば、速足のウオーキングは毎分4kcalを燃焼するので、1日に1時間速足で歩けば240kcalになります。ランニングはさらに効果的で、毎分6〜8kcalを燃焼します。

薬剤: これまでに用いられた中では、フェンフルラミンとフェンテルミンの組み合わせが最も効果的です。しかし、フェンフルラミンはフェンテルミンとの併用で心臓弁の異常を引き起こすため、市場から回収されました。現在では、オルリスタット、シブトラミン、フェンテルミン、ベンズフェタミン、ジエチルプロピオン、マジンドール、フェンジメトラジンの7種類が処方薬として入手できます。オルリスタットは腸での脂肪の分解と吸収を制限するので、実質的に低脂肪の食事を摂ったことになります。シブトラミン、フェンテルミン、ベンズフェタミン、ジエチルプロピオン、マジンドール、フェンジメトラジンは、食欲を調節する脳の一部にある化学伝達物質に働きかけて、食欲を低下させるとされています。これらの薬剤によって体重の10%を超える減量効果が現れることはまれです。薬用ハーブなど市販のダイエット補助剤は、代謝や満腹感を高めることで減量効果を促進するとされています。たいていは無害ですが効果はなく、生薬のマオウの成分であるエフェドラなどの刺激物を含んでいる場合は、使用を避けるべきです。肥満治療用の新薬が、現在開発中です。

手術: BMIが40を超える重度の肥満の場合には、手術による治療が適しています。手術には主に2種類あります。垂直結合の胃形成手術では、胃に入る食物の量を制限するために、ホチキスとバンドを使って胃を30ミリリットル程度の大きさのポーチ状にし、一度に胃の中に入る食事の量を大幅に減らします。胃のバイパス手術では、小腸の一部を迂回して食物の吸収量を減らします。以前は、こういった手術は開腹で行われていましたが、最近では、へそのすぐ下を小さく切開し、そこから腹腔鏡を挿入して行う方法が一般的になってきています。腹腔鏡を使用した手術は傷がほとんど残らず、術後の回復が非常に早いという利点があります。

消化管のバイパス手術

消化管のバイパス手術

胃のバイパス手術では、ホチキスを使って胃を2つの部分に分けます。食物は胃部ポーチと呼ばれる上部の小さい方だけに入ります。小腸を切断し、切断部より下の小腸を胃部ポーチにつなぎます。それにより、胃の下部と小腸の上部がバイパスされます。その結果、一度に食べられる食物の量が劇的に減少し、吸収される量が少なくなります。切断した小腸の上の部分は、胃部ポーチにつないだ小腸のさらに下方につなぎ合わせます。この処置により、バイパスされた胃の部分でつくられた胃液が小腸に届き、食べものと混ざります。

普通、手術は腹部を小さく切開し、腹腔鏡を挿入して行います。腹腔鏡手術は全身麻酔で行います。術後は当日か翌日には退院できます。その後、脂肪や精製された糖が多く含まれる食品を食べると、消化不良、吐き気、下痢、発汗、脱力感、動悸などの症状が出るケースがよくみられます。しかし、たいていの場合、こういった症状は短期間にとどまります。食物の吸収が減少するので、鉄分の不足による貧血や栄養不良になることがあります。こういった不足は、適切なサプリメントを摂取することで予防できます。

こうした手術では大幅な減量が可能で、余分な体重の半分以上、36〜72キログラムもの減量ができます。減量は最初のうちは急速に進み、その後は次第にゆっくりとしたペースになり、2年ほど続きます。減量後の体重は、何年にもわたって維持できます。減量により、高血圧や糖尿病など、肥満に関連した合併症が大幅に改善し、気分、自尊心、自分の体に対するイメージ、日常の活動性、仕事に対する意欲、積極性も向上します。

この手術は専用の医療施設で受けた方がよく、手術による合併症は10%以下、死亡率は1%以下となっています。

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