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晩発性皮膚ポルフィリン症

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晩発性皮膚ポルフィリン症は最もよくみられるポルフィリン症で、日光にあたると、皮膚に水疱ができます。

晩発性皮膚ポルフィリン症は世界中でみられます。これまで知られている限り、ヘム産生に必要な酵素が遺伝的に欠如していない人に起こる唯一のポルフィリン症です。

晩発性皮膚ポルフィリン症は、ウロポルフィリノーゲン脱炭酸酵素の不活性化が原因で、肝臓にポルフィリンが蓄積します。皮膚が損傷するのは、肝臓でつくられたポルフィリンが、血漿(けっしょう)を通って皮膚へ送られるからです。

晩発性皮膚ポルフィリン症の発症には、いくつかの共通因子が関連しています。体組織の鉄分過剰、中等度から過度の飲酒、エストロゲン摂取、C型肝炎ウイルスへの感染、喫煙などです。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症は、発症のきっかけとしてはあまりみられません。これらの因子が肝臓で鉄と酸素に作用し、ウロポルフィリノーゲン脱炭酸酵素の抑制や損傷が起こると考えられています。

晩発性皮膚ポルフィリン症の患者の約80%が遺伝性ではないとされ、散発性と呼ばれます。残りの20%は遺伝性で、家族性と呼ばれます。

症状と診断

晩発性皮膚ポルフィリン症では、腕、顔、特に手の甲などの部分が太陽の光にさらされると、さまざまな大きさの水疱ができ、慢性的に再発を繰り返します。水疱の後にかさぶたができて瘢痕が残り、治るのに時間がかかります。特に手の皮膚は、ささいな傷にも敏感です。顔などの太陽にさらされる部分で、体毛が濃くなります。たいてい肝臓に損傷が生じ、最終的に肝硬変や肝臓癌になることもあります。

晩発性皮膚ポルフィリン症を診断するために、血漿、尿、便を検査して、ポルフィリン濃度の上昇を調べます。特定のポルフィリンの増加パターンから、晩発性皮膚ポルフィリン症と他のポルフィリン症を区別することができます。

治療

晩発性皮膚ポルフィリン症の治療は、ポルフィリン症の中で最も簡単です。飲酒などの発症因子を避けることが有効です。

500ミリリットルほどの血液を抜き取る瀉血(しゃけつ)と呼ばれる処置が最もよく行われている治療法です。瀉血によって余分な鉄が徐々に取り除かれ、肝臓のウロポルフィリノーゲン脱炭酸酵素の活動が正常に戻り、肝臓と血漿のポリフィリン濃度が徐々に低下します。皮膚の症状が改善し、やがて正常に戻ります。やや鉄不足になった時点で、瀉血を中止します。瀉血の回数が多すぎると、貧血が起こります。

晩発性皮膚ポルフィリン症の治療には、微量のクロロキンやヒドロキシクロロキンも有効です。これらの薬は肝臓から余分なポルフィリンを取り除きます。しかし、用量が多すぎると、ポルフィリンが急激に取り除かれることになり、一時的な悪化と肝臓の損傷を引き起こします。

エストロゲンを服用している女性の場合は、瀉血が終了してポルフィリン値が正常になるまで、エストロゲン療法を中止します(エストロゲン療法はポリフィリン症の発症因子)。ポルフィリン値が正常になったらエストロゲン療法を再開しますが、ポルフィリン症の再発を引き起こすことはめったにありません。

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