メルクマニュアル家庭版
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褐色細胞腫

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褐色細胞腫は副腎のクロム親和性細胞に由来する腫瘍で、高血圧やその他の症状を引き起こす強力なホルモンのカテコールアミンが過剰につくられる病気です。

褐色細胞腫は副腎や副腎以外のクロム親和性細胞で増殖します。副腎内で増殖する褐色細胞腫では癌性のものは5%だけですが、副腎以外の褐色細胞腫ではこれよりも癌性の頻度は高くなります。褐色細胞腫は男女とも、いずれの年代でも起こりますが、30〜60歳に多くみられます。

褐色細胞腫は多発性内分泌腫瘍と呼ばれる遺伝性の病気でもまれに発症することがあります。この病気では甲状腺、副甲状腺、副腎に腫瘍ができやすくなります(多発性内分泌腫瘍症候群を参照)。褐色細胞腫はフォン・ヒッペル‐リンダウ病や神経線維腫(フォン・レックリングハウゼン病)の人にも起こります。

症状

褐色細胞腫は、通常、非常に小さいものです。しかし、小さな褐色細胞腫は効力の強いカテコールアミンを大量につくります。カテコールアミンはアドレナリン(エピネフリン)、ノルエピネフリン、ドパミンなどのホルモンで、これらは血圧を上げ、心拍数を増加させる傾向があり、生命の危機的事態に身構えます。

褐色細胞腫の最も顕著な症状は、非常に重症の高血圧です。このほか動悸、過剰な発汗、立ちくらみ、速い呼吸、冷たく湿っぽい皮膚、重度の頭痛、胸や胃の痛み、吐き気、嘔吐、視覚障害、指の刺すような痛み、便秘、奇妙な死の強迫感がみられます。これらの症状が突然、強く現れるとパニックに襲われたようになります。この病気の半数の人は症状が出たり消えたりしますが、腫瘍の圧迫、マッサージ、薬物(特に麻酔薬とベータ遮断薬)、心理的トラウマが引き金になったり、まれなケースでは排尿でも起こることがあります。しかし多くの人の場合、これらは副腎の異常としてではなく、不安の現れとして起こります。

診断

この病気の人の半数では持続性の高血圧以外の症状がないため、医師は褐色細胞腫を疑わないことがあります。しかし、若年者で高血圧がある場合、症状が出たり消えたりする場合、あるいは他に褐色細胞腫の症状が付随している場合は特定の検査が行われます。たとえば、特定のカテコールアミンの値を血液と尿サンプルから測定します。高血圧や他の症状があれば、原因が褐色細胞腫とわかる前にベータ遮断薬が処方されることがありますが、この薬は褐色細胞腫の人の高血圧を悪化させます。この逆説的な反応によって、褐色細胞腫の診断が明らかになることがしばしばあります。

カテコールアミンの値が高い場合は、CT検査やMRI検査で褐色細胞腫の位置を確認できます。褐色細胞腫に蓄積されやすい放射性化学物質を注射する検査も有用です。画像検査でこの放射性化学物質が蓄積されている部位がわかります。

治療

通常、最良の治療法は褐色細胞腫の摘出です。しかし、薬でカテコールアミンの分泌が制御できるようになるまで、手術はしばしば延期されます。それは、カテコールアミンが高値のままでは手術中に危険な事態を招くおそれがあるからです。一般に、ホルモン分泌を止めるためにフェノキシベンザミンが投与されます。このステップが完了すると、ベータ遮断薬が安全に使用されて症状を制御できるようになります。

褐色細胞腫が癌性ですでに広がっている場合、シクロホスファミド、ビンクリスチン、ダカルバジンによる化学療法により、腫瘍の増殖を遅らせることもあります。腫瘍組織を標的にしたMIBGとして知られる放射性同位元素による治療にも高い効果があります。腫瘍が過剰分泌するカテコールアミンの危険な影響のほとんどはフェノキシベンザミン、あるいはその類似物質とベータ遮断薬の投与を続けることで阻止できます。

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