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自己免疫性溶血性貧血

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自己免疫性溶血性貧血は免疫系の機能に異常が生じる疾患群で、赤血球を異物とみなして攻撃する自己抗体が産生されます。

自己免疫性溶血性貧血はまれな病気で、年齢に関係なくみられ、男性より女性に多く起こります。約半数は原因が不明です(特発性自己免疫性溶血性貧血)。全身性エリテマトーデスなど別の病気に併発したり、そういった病気が原因となって起こることもあります。まれに、ペニシリンなどの薬を使用した後に発症することがあります。

自己抗体による赤血球の破壊は、突然起こることもあれば、ゆっくりと進行することもあります。ある時期を過ぎると赤血球の破壊が止まる場合もありますが、破壊が続いて慢性化することもあります。自己免疫性溶血性貧血は、温式抗体によるものと冷式抗体によるものに大別されます。前者では、正常体温と同じかそれ以上の温度で自己抗体の活性が高くなり、赤血球に結合して破壊します。後者では、正常な体温よりかなり低い温度のときだけ自己抗体の活性が高くなり、赤血球を攻撃します。

症状

自己免疫性溶血性貧血では、特に赤血球の破壊が軽度でゆるやかに進む場合は、症状がみられないことがあります。赤血球の破壊の程度が激しい場合や速く進む場合は、他の種類の貧血と同様の症状が現れ、軽度の黄疸が起こることもあります。赤血球の破壊が数カ月以上続くと、脾臓が腫れて、腹部の膨満感や不快感が生じます。

別の病気が原因で自己免疫性溶血性貧血が起きている場合は、リンパ節の腫れや圧痛、発熱など、原因となっている病気の症状がみられることがあります。

診断

貧血と診断され、血液検査で未熟な赤血球(網状赤血球)の数が増加していれば、赤血球の破壊が疑われます。あるいは、血液検査から、ビリルビンという物質が増加し、ハプトグロビンというタンパク質が減少していることがわかる場合もあります。

特定の抗体が増加していることが血液検査で確認されれば、自己免疫性溶血性貧血の診断が確定します。検査としては、赤血球に付着している抗体を検出する方法(直接抗グロブリン試験または直接クームス試験)と、血清中にある抗体を検出する方法(間接抗グロブリン試験または間接クームス試験)とがあります。赤血球を破壊する自己免疫反応の原因を突き止めるため、その他の検査が行われることもあります。

治療

症状が軽い場合や赤血球の破壊速度が遅くなっている場合は、治療の必要はありません。赤血球の破壊が悪化している場合は、プレドニゾロンなどのコルチコステロイド薬が治療薬として選択されます。最初に高用量を使用し、その後数週間から数カ月かけて徐々に減量していきます。コルチコステロイド薬で効果がない場合や、耐えられない副作用が起きた場合は、手術による脾臓摘出が次の治療法となります。脾臓摘出後も赤血球の破壊が続く場合や、手術ができない場合は、シクロホスファミドやアザチオプリンなどの免疫抑制薬を使用します。

血漿交換は血液をろ過して抗体を除去する方法で、他の治療法で効果がない場合に行われます(血液浄化で病気をコントロールを参照)。赤血球破壊の程度が激しい場合は、輸血が必要になることがあります。ただし、輸血は貧血の原因を治療するものではなく、一時的な対症療法にすぎません。

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