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急性骨髄性白血病

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急性骨髄性(骨髄芽球性、骨髄単球性)白血病は、正常な状態では好中球、好塩基球、好酸球、単球に成長する細胞ががん化して、急速に骨髄の正常細胞に取って代わる、命にかかわる病気です。

急性骨髄性白血病(AML)はどの年齢層でも発症しますが、特に成人に多くみられるタイプの白血病です。

急性骨髄性白血病では、未熟な白血球が急速に骨髄に蓄積して、正常な血球をつくる細胞を破壊します。白血病細胞は血流に放出されて他の臓器に運ばれ、そこで成長と増殖を続けます。これが皮膚や歯ぐきの表層付近や、眼の中に小さなかたまり(緑色腫)を形成することがあります。

このタイプの白血病の1種である急性前骨髄性白血病では、成熟好中球へと成長する初期段階の細胞である前骨髄球が染色体変異を起こし、ビタミンAの結合と活性を阻害します。ビタミンAの活性がないと正常な細胞が成熟できず、異常な前骨髄球が蓄積します。

症状と診断

急性骨髄性白血病の初期症状は、急性リンパ球性白血病(白血病: 急性リンパ球性白血病を参照)の症状に似ています。髄膜炎が生じる確率は急性リンパ性白血病の場合より低いものの、急性骨髄性白血病の細胞が脳と脊髄を覆っている髄膜に炎症を起こすことはあります。

診断の方法も急性リンパ球性白血病と同様です。たいていの場合、骨髄生検(血液の病気の症状と診断: 骨髄検査を参照)を行って診断を確定し、他のタイプの白血病と判別します。

経過の見通しと治療

治療を受けずにいると一般に、診断後、数週間から数カ月で死に至ります。治療によって、20〜40%が再発せずに5年以上生存できます。再発はほぼ必ず最初の治療から5年以内に起こるので、5年を過ぎても再発しない場合は治癒したと考えられます。60歳以上の場合、別の癌で化学療法と放射線療法を受けた後に急性骨髄性白血病を発症した場合、また血球数の異常な状態が数カ月から数年以上にわたって続いて白血病がゆっくり進行した場合などは、経過は思わしくありません。

治療では、白血病細胞を破壊してすみやかに寛解を得ることが目標となります。ただし、急性骨髄性白血病に有効な薬剤は、急性リンパ球性白血病の場合よりも限られています。また、治療によって骨髄の活動が抑制されて白血球(特に好中球)が減少するため、状態がいったん悪化することがあります。好中球が少なすぎると感染を起こしやすくなります。感染を予防するために細心の注意を払い、感染が生じた場合は抗生物質でただちに治療します。赤血球と血小板の輸血も必要になります。

一般に、最初の薬物療法(寛解導入療法)では、持続静注法による7日間のシタラビン連続投与と、3日間のダウノルビシン(あるいはイダルビシンまたはミトキサントロン)投与を行います。

最初の治療で寛解状態になったら、数週間から数カ月後に追加の化学療法を数回行って、白血病細胞をできるだけ多く破壊します(地固め療法)。脳に対する予防的治療は、普通は必要ありません。また、急性リンパ球性白血病で行われるような低用量の長期化学療法で生存率は向上しないことが示されています。

治療で効果がみられない患者や、寛解はしたものの再発の可能性が高い若年患者(特定の染色体異常が判明している人など)には、高用量の化学療法とともに幹細胞移植(移植: 幹細胞移植を参照)が行われます。

幹細胞移植を実施できない再発患者には追加治療を行いますが、しばしば治療に体が耐えられず、効果も得られにくくなります。若年者の場合と、最初の寛解が1年以上続いている場合では、追加の化学療法で高い効果が得られます。再発した患者に追加の集中化学療法を行うべきかどうかを決定する際には、多くの要素を考慮します。新しい治療薬のゲムツズマブ・オゾガミシンは、白血病細胞を特に標的とするため抗体と薬剤を結合させたもので、再発したケースに有効な場合もあります。この薬の長期的な効果はまだわかっていません。

急性前骨髄性白血病の治療には、ビタミンAの1種である全トランス型レチノイン酸を用います。化学療法と併用すると結果が良く、現在では急性前骨髄性白血病の70%以上が治ります。急性前骨髄性白血病にはヒ素化合物も有効です。

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