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骨髄線維症

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骨髄線維症とは、造血細胞に代わって線維組織が骨髄中に増える病気で、異常な形状の赤血球が産生されたり、貧血や脾臓の腫大が起こります。

正常な骨髄では、線維芽細胞と呼ばれる細胞が、造血細胞を支える線維組織(結合組織)をつくっています。骨髄線維症では、線維芽細胞が線維組織をつくりすぎるため、造血細胞が押し出されてしまいます。その結果、赤血球の産生量が減少し、血流に放出される赤血球の数が少なくなって貧血となり、次第に重症化します。しかも、これらの赤血球の多くは未成熟であったり、奇形であったりします。数はさまざまですが、未成熟の白血球と血小板もみられます。骨髄線維症が進行するにつれて、白血球数は増加することも減少することもありますが、血小板数は概して減少します。

骨髄線維症はまれな病気で、米国では10万人に2人以下の割合で発症します。50〜70歳に最も多くみられます。

骨髄線維症は単独で発症することもありますが(単独の場合は特発性骨髄線維症、原因不明骨髄様化生ともいう)、慢性骨髄性白血病、真性赤血球増加症、血小板血症、多発性骨髄腫、リンパ腫、骨髄異形成症候群などの血液疾患、結核、あるいは骨感染症を伴うこともあります。ベンゼンや放射線など特定の有害物質に長期間接触している人は、骨髄線維症の発症リスクが高くなります。

症状、合併症、診断

骨髄線維症では、貧血が激しくなるまで何年も症状が現れないのが普通です。貧血が悪化すると、筋力低下、疲労、体重減少、けん怠感が生じます。発熱や寝汗がみられることもあります。白血球数が減少すると、感染を起こすリスクが高くなります。血小板数が減少すると、出血のリスクが高くなります。

血球をつくる仕事を肝臓と脾臓がある程度肩代わりするため、両方が腫大します。これらの臓器が腫大すると腹痛が生じ、特定の静脈の血圧が異常に高くなったり(門脈圧亢進症)(肝臓の病気でみられる症状: 門脈圧亢進症を参照)、食道静脈瘤からの出血が起こります(消化管の救急: 消化管出血を参照、肝臓の病気でみられる症状: 門脈圧亢進症を参照)。

貧血があり、顕微鏡検査で血液中に異常な形の未成熟赤血球がみられる場合は、骨髄線維症が疑われますが、診断を確定するには骨髄生検(血液の病気の症状と診断: 骨髄検査を参照)を行う必要があります。

経過の見通しと治療

骨髄線維症は通常はゆっくりと進行するため、この病気にかかっても一般に10年以上生存できますが、その経過は骨髄がどの程度良好に機能しているかによって異なります。しかし、中には悪性または急性骨髄線維症と呼ばれ、急速に悪化するものもあります。このタイプの骨髄線維症は癌の1種で、正常なら血小板に成長する細胞が、制御を失って増殖します。

骨髄線維症を治す、あるいはその進行を永久的に遅らせる有効な治療法はありません。治療では、合併症の進行を遅らせ、症状を軽減することが目標になります。

骨髄線維症にかかっている人の約3分の1では、アンドロゲン(男性ホルモン)とプレドニゾロンを併用することによって、一時的に貧血が軽減されます。ごく一部の人では、骨髄を刺激し赤血球の産生を促進するエリスロポエチンやダルベポエチンの使用により、赤血球を産生させることができます。輸血による貧血の治療が必要になる人もいます。感染症は抗生物質で治療します。

化学療法薬のヒドロキシ尿素や免疫系に作用するインターフェロンアルファによって、腫大した肝臓や脾臓が小さくなることがありますが、どちらも貧血を悪化させる可能性があります。まれに、脾臓がきわめて大きくなって痛みを伴い、手術による摘出が必要になることもあります。

骨髄線維症以外に健康上の問題がなく、適合するドナー(提供者)がいる場合は、骨髄移植または幹細胞移植を行うことがあります(移植: 幹細胞移植を参照)。移植は、骨髄線維症を治癒させる可能性のある唯一の治療法ですが、かなりのリスクも伴います。

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