メルクマニュアル家庭版
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季節性アレルギー

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季節性アレルギーとは、1年の特定の時期にだけ出現する、花粉のような空気中に含まれる物質にさらされて起こるアレルギーです。

季節性アレルギーは、よくみられる疾患です。一般に花粉症(あるいは枯草熱)と呼ばれるもので、何にアレルギー反応を起こすかによって、たとえば春、夏、秋といった特定の時期に発症します。症状としては、主に鼻の粘膜の炎症によるアレルギー性鼻炎、まぶたの粘膜や結膜の炎症によるアレルギー性結膜炎などがあります。ただし、鼻炎や結膜炎は、他の原因によっても起きます(鼻と副鼻腔の病気: 鼻炎を参照、結膜と強膜の病気: アレルギー性結膜炎を参照)。

米国などでは枯草熱と呼ばれることが多いのですが、これは誤解されやすい言葉です。なぜなら季節性アレルギーは、飼料用の干し草(枯草)を集める夏季にだけ起こるのではないし、発熱もしないからです。季節性アレルギーは、花粉や雑草、牧草に対する反応なのです。花粉のシーズンは地域によりそれぞれ異なります。アメリカの東部や南部や中西部では、春先にオーク、ニレ、カエデ、ハンノキ、カバノキ、ネズ、オリーブから花粉症の原因となる花粉が飛びます。初夏にはブルーグラス、チモシー(オオアワガエリ)、コヌカグサ、カモガヤなどから、また夏の終わりにはブタクサから飛びます。アメリカ西部では12月から3月にかけてコロラドビャクシン(ネズの1種)の花粉が飛びます。乾燥した南西部では草の受粉期間が長く、秋にはヤマヨモギおよびオカヒジキのような雑草が原因となります。アレルギー反応を引き起こす花粉の種類は、人によってまちまちです。何種類もの花粉に反応を起こす人もいて、花粉アレルギーが春の初めから秋の終わりまで続く人もいます。季節性アレルギーはカビの胞子によっても発症しますが、これは春、夏、秋の長期間にわたり空気中に存在します。

アレルギー性結膜炎は、空気中の花粉などが、眼に接触すると発症します。

症状と診断

花粉症になると鼻、口の中、のどの奥、眼などがかゆくなります。この症状は、徐々に始まることも、突然始まることもあります。薄い鼻水が出て鼻が詰まり頻繁にくしゃみが出ます。

また涙が出て眼がかゆくなり、白眼とまぶたが赤くなったり、まぶたが腫れたりします。コンタクトレンズを使用していると眼はいっそうゴロゴロします。鼻の粘膜は腫れ、青みがかった赤色になります。その他の症状としては頭痛、せき、ゼイゼイいう息切れ、過敏症などがあります。まれに、うつ病、食欲不振、不眠症になることもあります。

季節性アレルギーのある人の多くは喘息を伴い、アレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎を引き起こすのと同じアレルゲンが原因で、ゼイゼイいう息切れを起こします。

季節性アレルギーの診断は、症状と発症の状況、つまり、特定のシーズン中に発症しているかどうかで判断されます。この情報は医師がアレルゲンを特定する際にも役立ちます。鼻水を検査して、アレルギー反応の結果として多量に生成される白血球中の好酸球がどのくらいあるかを調べます。皮膚テストは、診断およびアレルゲンの特定に役立ちます(アレルギー反応: 症状と診断を参照)。

治療

アレルギー性鼻炎には、まず抗ヒスタミン薬を用います。鼻づまりを和らげる処置としてプソイドエフェドリンのような充血緩和薬を併用することもあります。抗ヒスタミン薬と充血緩和薬の多くは、複数の成分を含む配合剤となっています。しかし、血圧の高い人は、医師の指示に従って用法が管理されている場合以外は充血緩和薬を使用してはいけません。鼻づまりの薬として市販されている充血緩和薬の点鼻液やスプレー薬は、1週間以上連続して使用するとかえって鼻づまりを悪化させ長びかせるので、使用は数日間に限定します。この反応はリバウンドと呼ばれるもので、慢性の充血状態になるおそれがあります。

クロモリンは処方せんなしで買えるスプレー式点鼻薬で、きちんと定時に使用しなければ効果がありません。効果は局所的です。

抗ヒスタミン薬とクロモリンでアレルギー症状を抑えられない場合は、コルチコステロイドのスプレー式点鼻薬が処方されます。コルチコステロイドのスプレー式点鼻薬はきわめて有効で、ほとんどの場合、副作用はありません。しかし、これらのスプレー薬は鼻出血や痛みをもたらすことがあります。抗ヒスタミン薬のスプレー式点鼻薬であるアゼラスチンはよく効く薬ですが、抗ヒスタミン内服薬と同じような副作用があります。特に眠気を誘います。

これらの治療で効果がないときは短期間、最長でも10日間、コルチコステロイド薬を内服するか注射します。コルチコステロイド薬は長期間服用したり注射し続けると重い副作用が起こします。

人によってはアレルゲン免疫療法(減感作療法)が有効なこともあります(アレルギー反応: アレルゲン免疫療法(減感作療法)を参照)。たとえば、アレルギー性鼻炎の治療薬で重症の副作用が出る人、アレルギー性鼻炎を抑えるのにコルチコステロイド薬が必要な人、喘息の人などです。花粉症のアレルゲン免疫療法は、花粉シーズンの直後から次のシーズンに向けての治療を始めます。アレルゲン免疫療法は1年中続けると最も高い効果が得られます。

アレルギー性結膜炎には、人工涙液のような洗眼薬での洗眼が炎症を抑える助けになります。アレルギー反応を引き起こす可能性のある物質はできる限り避けます。コンタクトレンズは結膜炎の症状のあるときは外します。

アレルギー性結膜炎には、内服薬の方が効果がありますが、通常は抗ヒスタミン薬を点眼薬として使用します。市販の抗ヒスタミン薬には血管収縮薬が配合されていて、眼の充血を防ぎます。ただし、点眼薬中の抗ヒスタミン薬などの含有成分によってアレルギー反応がひどくなることもあります。また、血管収縮薬を長期間使用すると、炎症が悪化し長びくこともあります。医師が処方する点眼薬の方が市販薬よりも良い効果が得られます。

医師が処方するクロモリンを含む点眼薬は、アレルギー性結膜炎の予防の目的で使われ、アレルゲンに接するおそれがあるときに使用します。処方にオロパタジンを含む点眼薬はよく効きます。この薬は抗ヒスタミン薬で、クロモリンのように肥満細胞が傷害性物質を出すのを抑えます。

症状がきわめて重症であれば、最後の手段としてコルチコステロイド点眼薬を処方します。コルチコステロイド点眼薬で治療している間は、緑内障を発症するおそれがあるので眼圧を定期的に測定します。また、ステロイド薬は免疫システムを抑制する働きがあるので感染症にかかりやすくなります。したがって、眼の感染症を定期的にチェックします。これらの点眼薬は眼科医の指導に従って使用します。もし他の治療法で効果がなければアレルゲン免疫療法が有効な場合もあります。

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