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肥満細胞症

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肥満細胞症は、皮膚や体のさまざまな部分に肥満細胞が異常に蓄積することが原因で発症します。

肥満細胞症はまれな病気です。他のアレルギー反応とは異なり、慢性の病気であって一時的反応ではありません。肥満細胞症は、肥満細胞が増殖し数年かかって組織に蓄積すると発症します。肥満細胞は免疫システムを構成する細胞群の1つで、アレルギー反応や胃酸の分泌に関与する物質であるヒスタミンをつくります。肥満細胞の数が増えるのでヒスタミンの数値も上昇します。

肥満細胞症には、3つのタイプがあります。まず、まれにしかみられないものとして、肥満細胞が増殖して皮膚にかたまる肥満細胞腫があります。肥満細胞腫は普通、生後6カ月になる以前に発症します。次に、肥満細胞が皮膚のあちこちに蓄積して、小さくて赤みがかった褐色の発疹や丘疹をつくる色素性じんま疹があります。成人では色素性じんま疹が全身性肥満細胞症に移行することはまれです。さらに、肥満細胞が皮膚、胃、腸、肝臓、脾臓(ひぞう)、リンパ腺、骨に蓄積する全身性肥満細胞症があります。

症状と診断

肥満細胞腫は1つできただけでは症状は出ません。色素性じんま疹は、こすったり引っかいたりするとかゆくなります。かゆみは、温度の変化、衣類などによるまさつ、薬の使用などでひどくなることがあります。熱い飲みもの、香辛料の利いた食品、アルコール類を取るとかゆみが増します。かゆい部分をこすったり、引っかいたりすると、じんま疹になったり皮膚が赤くなったりします。赤くほてったり、反応が広範囲に広がりアナフィラキシー反応を起こすこともあります。

全身性肥満細胞症では、かゆみと発赤が起きます。症状は広範囲にわたり、重症化してアナフィラキシー様反応を引き起こす傾向があります。アナフィラキシー様反応とは、アナフィラキシー反応に似ていますが、アレルゲンによって引き起こされるものではありません。骨の痛みと腹痛がみられます。胃が過量のヒスタミンをつくって胃酸の分泌を刺激するので胃潰瘍や慢性の下痢になります。

色素性じんま疹は典型的な発疹により診断がつきます。この発疹は引っかくとじんま疹になったり発赤を起こします。診断には生検も行います。もし皮膚の肥満細胞症が疑われれば、皮膚組織のサンプルを採取し、肥満細胞を顕微鏡で調べます。全身性肥満細胞症の疑いがあれば、骨髄などの組織からサンプルを採取します。

アナフィラキシー様反応とアナフィラキシー反応

アナフィラキシー様反応は、アナフィラキシー反応とよく似ていますが、ある物質に対して初めて接したときに発症する点がアナフィラキシー反応とは異なります。たとえば、ポリミキシン、ペンタミジン、オピオイドなどの薬、あるいは、X線検査で使われる造影剤などを初めて注射した後に起こります。アナフィラキシー様反応は、アレルギー反応でありません。アナフィラキシー様反応は、アレルギー反応に関与する抗体であるIgEが引き起こすのではなく、物質自体によって引き起こされるものです。一部の人では、アスピリンやその他の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の服用によっても起こります。特に、通年性アレルギー性鼻炎や鼻ポリープのある人によく起きます。

アナフィラキシー様反応を起こしたことがある人に対しては、医師はX線検査用造影剤の使用を可能な限り避けます。しかし、造影剤を使わないと診断できない病気もあります。その場合は、反応の危険性を小さくした特別な造影剤を使用します。さらに、アナフィラキシー様反応を防止する薬、たとえば、プレドニゾロン、ジフェンヒドラミン、エフェドリンなどの薬を造影剤の注射前に投与します。

治療

一般に小児では、肥満細胞腫は自然に消失します。色素性じんま疹のかゆみは抗ヒスタミン薬で治療します。全身性肥満細胞症には、抗ヒスタミン薬と胃酸を抑えるヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)を投与します(消化性の病気: 消化性の病気の治療に使われる主な薬を参照)。クロモリンを内服すると消化器症状を改善できます。アナフィラキシー反応が起きたときにすぐ救急処置ができるよう、エピネフリン自己注射用キットを常に携行します。肥満細胞症の皮膚症状の治療には、紫外線とコルチコステロイドクリームを用います。

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