メルクマニュアル家庭版
印刷用画面

セクション

じんま疹と血管性浮腫

-
-

じんま疹は、くっきりとした紅斑の中央にわずかに盛り上がった淡青色の腫れ(膨疹)を特徴とする皮膚反応です。血管性浮腫はじんま疹より広範に現れる皮下組織の腫れで、ときに容貌を損ない、のどに悪影響を及ぼします。

写真

じんま疹

じんま疹

じんま疹と血管性浮腫は同時に発症して重症化することもあります。引き金となるのは薬の投与、虫刺され、アレルゲン免疫療法(減感作療法)でのアレルギー注射、ある種の食品、特に、卵、甲殻類、ナッツ類、果物などの摂取です。ある種の食品では、ごく少量を口にしただけで突然発症しますが、イチゴのように多量に食べた場合にのみ発症するものもあります。じんま疹は、肝炎、伝染性単核球症、風疹のようなウイルス感染症に続発して起こることもあります。

じんま疹や血管性浮腫は、慢性化して数週間から数カ月間、再発を繰り返すことがあります。ほとんどの場合、原因は不明です。意識せず習慣的に取っている物質、たとえば保存料や着色料のような食品添加物が原因である可能性もあります。甲状腺ホルモンに対する抗体が原因になっていることもあります。アスピリンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)(痛み: 非ステロイド性抗炎症薬を参照)など、特定の薬も慢性のじんま疹や血管性浮腫の原因になります。多くの場合で原因は特定できません。じんま疹を伴わない慢性の血管性浮腫は、遺伝性血管性浮腫の可能性があります。

症状と診断

じんま疹は、かゆみから始まりすぐに膨疹が現れます。膨疹は、普通は直径1.3センチメートルくらいまでの小さいものです。大きな膨疹になると直径10センチメートル程度になり、中央部が淡青色をした赤い輪のようにみえます。じんま疹の発疹は出たり消えたりするのが典型です。1つの発疹が数時間現れて消え、また別の発疹が別な場所に現れます。じんま疹が消えた後の皮膚は、通常、完全に正常化します。

血管性浮腫は手、足、まぶた、唇、生殖器などの一部あるいは全部に現れます。ときには、口、のど、気道の粘膜が腫れて呼吸困難に陥ります。

小児では、じんま疹が突然現れても急速に消失して再発もしないことがありますが、この場合の原因はウイルス感染なので、医師による検査は不要です。ハチに刺されたのが発症の原因である場合は、医師に診てもらう必要があります。過去に1度刺されたことがある人は、それを医師に伝えて相談します。明らかな原因がないのに血管性浮腫やじんま疹が再発するときは、検査をして原因を調べます。

治療

突然出現したじんま疹は、治療をしなくても数日あるいは数分間で治まるのが普通です。この場合、もし原因が明らかでなければ、じんま疹がひくまでは、あまり重要でない薬はすべて使用を中止します。

じんま疹や軽症の血管性浮腫には、抗ヒスタミン薬を服用すると、かゆみも腫れもかなり軽減します。コルチコステロイド薬は、症状が重く、他の治療法では効果がなかったときに限り、できるだけ短期間で処方されます。内服で3〜4週間以上使用すると重い副作用が起きることがあります(コルチコステロイド薬の使用法と副作用を参照)。

慢性のじんま疹がある人のほぼ半数では、治療をしなくても2年以内に消えます。大人では、抗ヒスタミン効果もある抗うつ薬ドキセピンが慢性のじんま疹に効きます。

重症の血管性浮腫の場合で、ものの飲みこみや呼吸が困難になったり虚脱状態になったときは、救急処置が必要です。この病気のある人は反応が起きたらただちに使用できるように、常にエピネフリン自己注射用キットと抗ヒスタミン薬の錠剤を携行します。重症のアレルギー反応が起きた後には、必要に応じて検査と治療ができる病院の救急外来を受診します。

アレルギーではない遺伝性血管性浮腫

遺伝性血管性浮腫は、アレルギー反応で起こる血管性浮腫と大変よく似ていますが、原因は違います。遺伝性血管性浮腫は、C1抑制因子の欠損または機能不全による遺伝子疾患です。C1抑制因子は免疫システムを構成する補体系の一部です。この疾患では、けが、ウイルス感染、歯の治療や手術前のストレスなどが、血管性浮腫の引き金となります。

皮膚、皮下組織、口、のどの奥、気管、消化管表面などの粘膜が腫れてきます。一般に、腫れた部位は痛みを伴いますが、かゆみはなく、じんま疹は現れません。吐き気、嘔吐、激しい腹痛が起きます。気管が腫れて、呼吸困難を起こします。診断には、採血してC1抑制因子の濃度や活動性を測定します。

アミノカプロン酸で腫れを和らげることができます。エピネフリン、抗ヒスタミン薬、コルチコステロイド薬がよく使われますが、これらの薬が有効であるという証明はできていません。もし、突然、呼吸困難になったら、気管に呼吸管を挿入するなどして、気道を確保することが必要です。

予防措置を講じて発症を予防することができます。たとえば、歯の治療や手術の前に、新鮮な血漿を輸液して、血中C1抑制因子レベルを上げます。長期的予防には、スタノゾールやダナゾールのようなタンパク同化ステロイド(アンドロゲン)を服用して、C1抑制因子の体内での産生を促進します。ただし、これらの薬には男性化の副作用があるので、女性に投与する場合はできるだけ早期に投与量を減らします。

個人情報の取扱いご利用条件