メルクマニュアル家庭版
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リステリア症

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リステリア症はグラム陽性桿菌であるリステリア菌による感染症で、髄膜炎、眼の感染症、流産、嘔吐、下痢などさまざまな症状を起こします。

リステリア菌は世界中至る所にいて、自然環境中や動物の腸内に生息しています。リステリア症の患者は大半が7月から8月にかけて発生し、菌に汚染された肉、乳製品、生野菜などを食べることにより感染します。一般に販売されている生鮮食料品を調査したところ、サンプルの15〜70%から検出されたこともあるほどありふれた菌ですが、リステリア症はまれな病気で、米国での発生件数は年間約1000件程度です。新生児、70歳以上の高齢者、免疫力が低下している人がかかりやすい病気です。

症状と診断

リステリア症は体のどの器官でも侵しますが、成人、新生児ともに特に多いのは脳や脊髄を包む髄膜の感染症です(髄膜炎)。髄膜炎になると発熱や首のこわばりがみられ、放置すると意識混濁から昏睡へ進み、死亡することもあります。髄膜炎患者の20%に、脳に膿がたまる脳膿瘍が形成されます。

この菌は眼に感染して充血や痛みを起こし、そこからリンパ節、血液、髄膜へ感染が広がることもあります。まれですが、心臓弁を侵す心内膜炎を起こすと、心不全で死亡することがあります。

妊娠中にリステリア症にかかると、母体側では感染に気づかなくても、胎児が子宮内で死亡して流産したり、生まれてすぐに死亡したりすることがあります。生まれたときは健康そうにみえても、生後1〜2週間に髄膜炎を起こすこともあります。

診断は、組織や体液のサンプルを培養して行います。菌に対する抗体を血液検査で調べることもできます。

治療

抗生物質のアンピシリンで治癒します。心臓弁の感染がある場合は、トブラマイシンのような抗生物質を併用します。眼の感染にはエリスロマイシンを内服します。

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