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ライム病

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ライム病はスピロヘータの1種であるライム病ボレリアを原因とし、一般にマダニを介して人に感染する病気です。

ライム病は、1975年にコネチカット州ライムで集団発生したことから知られ、この名前がついた病気です。現在米国では、虫刺されが原因で起こる感染症の中で最もよくみられ、47の州で発生しています。中でもマサチューセッツ州からメリーランド州にかけての米国北東部海岸沿いでの発生が全体の約80%と多く、残りはウィスコンシン州、ミネソタ州、カリフォルニア州北部からオレゴン州への沿岸地域などを中心に発症が報告されています。ライム病はヨーロッパでも発生しており、さらに中国、日本、オーストラリア、ロシアからも発症例の報告があります。

通常、ライム病は夏から初秋にかけて発生し、樹木の多い地域に住む小児や若い成人に多い病気です。

ライム病の原因となる細菌はマダニの1種によって媒介されます。このダニは成虫がシカの血を吸うことからシカダニと呼ばれますが、細菌を媒介するのは成虫ではなく幼虫です。この幼虫がライム病の菌をもつシロアシネズミの血を吸い、病気を運びます。シカは単に成虫になったマダニの食料源で、ライム病の菌をもつキャリア(保菌動物)でもなければ、媒介することもありません。

ダニの予防

樹木が多い場所を歩くときには、道を外れて茂みの中に踏みこんだり、地面や岩壁に直接座ったりしないようにすると、ダニが体につくのを防ぐことができます。薄い色の服を着ると、服にダニがついてもすぐに見つけることができます。肌にジエチルトルアミド(DEET)を有効成分として含む虫よけスプレーを噴霧し、衣服にはペルメトリン含有の殺虫剤をスプレーしておくことも、ダニ予防に効果的です。ダニに触れた可能性がある場合には、体のどこかについていないか毎日全身を点検する必要があります。ライム病を媒介するシカダニはイヌダニに比べて非常に小さいので、全身を、特に毛の生えている部分に注意してくまなく調べます。ライム病感染は、ダニが丸1日以上かみついた状態でいて初めて起こるので、体にダニがついていないかチェックするのは有効な予防法です。

ダニを取り除くときには、先のとがった毛抜きを使い、皮膚にできるだけ近いところでダニの頭か口を挟んで真っすぐ上に引き抜きます。体の部分を挟んだりつぶしたりしてはいけません。ワセリン、アルコール、火のついたマッチやその他の刺激物の使用は避けます。

人への感染は、ライム病の菌に感染したダニが皮膚を刺し、1〜2日付着したままになっていることで起こります。短時間の付着ではめったに感染しません。まず、ダニが刺した部位で菌が増殖し、3〜32日間かけて周囲の皮膚へ広がり、血流に乗った場合は離れた臓器や皮膚にも広がります。

症状

ライム病の進行には、早期で感染が限局している時期、早期で感染が広がる時期、そして症状がいったん消えてから再度出てくる晩期という3つの段階があります。

早期限局期の典型的な症状としては、刺された場所に大きな赤い斑点が現れ、太もも、殿部(尻の部分)、胴体、わきの下によくみられます。この紅斑は遊走性紅斑と呼ばれ、直径15センチメートルほどに広がり、しばしば中心だけ色が抜けます。痛みやかゆみはありませんが、触れるとほてった感じがします。一方、これといった症状が出ない人も約25%います。

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ライム病

ライム病

最初に刺された部位から菌が全身に広がる時期になると、疲労感、悪寒と発熱、頭痛、項部硬直、筋肉痛や関節痛などの体調不良を訴えるようになります。約半数の人には、体の他の部位に小さめの紅斑ができます。腰痛、吐き気や嘔吐、のどの痛み、リンパ節の腫れ、脾臓の腫大が起こることもあります。こうした症状の多くは出たり消えたりしますが、体調の悪さと疲労感は何週間も続くので、紅斑が出ない場合は特に、インフルエンザやかぜと間違えられることがよくあります。

この時期に、さらに重い症状が出る場合もあります。神経の機能障害が約15%にみられ、最も多い症状が、頭痛、項部硬直、無菌性髄膜炎、顔面の片側の麻痺(まひ:ベル麻痺)などで、症状がなくなるまでに何カ月もかかることがあります。神経の痛みや脱力感が他の部位に発生し、長期間しつこく続くことがあります。不整脈や心膜炎(心臓を包む膜の炎症)を起こし、胸の痛みを訴える人も8%に上ります。

ライム病を放置すると、最初の感染から数カ月、場合によっては何年もたってから晩期症状が現れます。晩期ライム病の約半数に関節炎が生じ、膝(ひざ)のような大きな関節の腫れと痛みが数年にわたって繰り返し起こります。膝では痛みより腫れの方が強く、熱をもち、まれに赤くなることがあります。膝の裏側に嚢胞(のうほう)ができることもあり、つぶれると急激な痛みが生じます。ライム病性関節炎を患う人の約10%には、膝の症状がしつこく残ります。そのほか、少数ながら気分の浮き沈み、言葉、記憶、睡眠の障害など、神経の異常を訴える場合もあります。こういう人の中には、腰、脚、腕にしびれ感や突然刺すような痛みを感じる人がいます。

診断

ライム病ボレリアを検査室で培養するのは非常に難しく、検査方法として培養の代わりに最も広く行われているのが、血液中の細菌に対する抗体価を測る方法です。ただし、ライム病の初期には抗体価が陰性のことが多く、感染していない人に陽性反応が出てしまうこともあるので、この検査だけで診断するのは適当ではありません。したがって、検査結果に加えて、典型的な症状の有無、発生地域に住んでいるか、あるいは発生地域を訪ねたことがあるか、などを考慮して診断します。

診断の決め手となる検査方法がないということで、多少の問題も生じます。ライム病がよく発生する地域では、関節痛、集中力欠如、慢性疲労などがあると、発疹などライム病の早期症状がないにもかかわらず、晩期ライム病ではないかと心配する人が多いからです。実際は大半がライム病ではなく、他の原因による症状であることが多いのです。早期症状が出たことのない人の場合、抗体検査だけでは正確な診断を下すことはできません。抗体検査の結果だけで診断しようとすると、実際にはライム病でない多くの人がライム病と診断されてしまい、意味のない抗生物質治療を長い間続けることになりかねないからです。

治療

マダニに刺されただけで発疹などの症状が出ない場合は、一般に抗生物質は使用しません。ただし、ライム病がよくみられる地域に住んでいる場合や、刺したダニが血をいっぱい吸っている、つまり付着していた時間が長かった場合は例外です。

ライム病は、どの段階でも抗生物質が有効ですが、合併症などを防ぐ意味からも、なるべく早期の治療が勧められます。感染初期であれば、ドキシサイクリン、アモキシシリン、ペニシリン、エリスロマイシンの服用が有効です。重い神経症状がある場合は、抗生物質を静脈内投与します。治療期間は3〜4週間です。

晩期ライム病でも抗生物質で菌を一掃することができるので、大半の場合はそれで関節炎の痛みは治まります。ところが中には、菌がいなくなった後も炎症が続いて、しつこい痛みに悩まされるケースがあります。このような場合には、アスピリンやイブプロフェンのような非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)で腫れた関節の痛みを取り、水がたまっていれば抜き、松葉づえを使うなどの方法があります。

以前にライム病ワクチンが製造されたことがありますが、現在は販売されていません。

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