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回虫症

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回虫症は腸に寄生する回虫が起こす感染症です。

回虫による感染症にはさまざまなものがありますが、人で最もよくみられるのが回虫症で、全世界で10億人以上が感染しています。衛生設備が整っていない地域によくみられ、トイレや下水道の普及が十分でないことや、不衛生な習慣が残っていることが原因で起こります。米国での発症は、主にこうした不衛生な地域を旅行してきた人に最もよくみられます。

感染は、土壌などにいる回虫の卵が食べものにつき、それを食べることで起こります。回虫の卵は頑丈で、土の中で何年も生き続けられます。

口から入った回虫の卵は、腸で幼虫になります。幼虫は小腸の壁を通り抜けてリンパ管や血流に入り、肺へ到達します。肺に到達した幼虫は肺胞に入り、そこから気道を上昇し、再び飲みこまれて小腸で成虫になり、そこにとどまります。成虫は長さ約15〜50センチメートル、直径約2.5〜5ミリメートルに達します。

症状と診断

回虫症は症状がないことが多いですが、幼虫が肺に移動するときに、発熱、せき、喘鳴(ぜんめい)が起こることがあります。小腸で回虫が増えると腹痛が起きたり、小児では腸閉塞が起こることがあります。成虫が口から吐き出されたり、便の中に出てきたりといった、心理的に不快な状況もありえます。成虫が盲腸、胆管、膵管(すいかん)に詰まると、激しい腹痛が起きます。

回虫症の診断は、便から卵や成虫を検出するか、まれなケースですが、のどや鼻に移動した成虫があればそれを調べて行います。これもまれなケースですが、肺の中を幼虫が移動した痕跡を胸部X線画像で確認できることもあります。

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回虫症

回虫症

予防と治療

回虫症の予防には、清潔を心がけ、加熱調理されていない食べものは避けるようにすることがベストです。

治療には、メベンダゾール、アルベンダゾール、パモ酸ピランテルを処方します。ただし、胎児に影響を及ぼす懸念があるため、これらの薬は妊婦には使えません。

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