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スティーブンス‐ジョンソン症候群と中毒性表皮壊死症

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スティーブンス‐ジョンソン症候群と中毒性表皮壊死症は、いずれも命にかかわる重い皮膚病で、症状として発疹、皮膚の剥離(はくり)、粘膜のただれが生じます。

スティーブンス‐ジョンソン症候群では主に口の中、眼、腟などの粘膜に水疱が生じ、発疹が集まった部分ができます。中毒性表皮壊死症でも粘膜に同様の水疱ができますが、スティーブンス‐ジョンソン症候群ではさらに、皮膚の最も外側に位置する表皮が、体の広い範囲で大きくはがれます。どちらの病気も命にかかわります。

ほとんどの症例は薬に対する反応として起こり、最も頻度が高い薬は、サルファ系抗菌薬、バルビツール酸、フェニトインやカルバマゼピンなどの抗けいれん薬、一部の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、アロプリノールなどです。細菌感染が原因になることもありますが、非常にまれです。一部には原因が特定できない例もあります。これらの病気はどの年代でも起こりますが高齢者に多く、それは高齢者はたくさんの薬を利用する傾向が強いためと考えられます。また、エイズ患者もこれらの病気にかかりやすいようです。

症状

スティーブンス‐ジョンソン症候群も中毒性表皮壊死症も、最初は熱、頭痛、せき、体の痛みが出て、これらの症状が1〜14日間続きます。その後、平らな赤い発疹が顔と胴体に突然現れて、他の部分に広がっていきますが、そのパターンは不規則です。発疹の部分は大きくなって広がり、その中央に水疱ができることもしばしばみられます。水疱の表面は非常に皮がゆるい状態で、こするとすぐ破れてしまいます。中毒性表皮壊死症では、そっと触れたり引っぱったりしただけで広い範囲の皮膚がはがれます。患者の多くは体表の30%以上の皮膚がはがれてしまいます。病変部分の皮膚は痛みを伴い、寒気と熱で非常に具合が悪くなります。髪や爪が抜け落ちる場合もあります。

いずれの病気も、口の内側、のど、肛門、性器、眼の粘膜で水疱が破れます。口の中の粘膜が損なわれるとものが食べづらくなり、口を閉じると痛みを感じるのでよだれをたらすようになります。眼にも強い痛みや腫れが生じ、膿が出てそのためにまぶたがくっついて開けられなくなります。角膜に傷がつくこともあります。尿が出てくる場所、つまり尿道にも症状が現れることがあり、そうなると尿が出にくくなり痛みます。消化管や気道の粘膜にも症状が広がる場合があり、そうなると下痢や呼吸困難を起こします。

中毒性表皮壊死症での皮膚のはがれ方は、重度のやけどに似た状態となり、やけどと同様に命にかかわります。広い範囲で皮膚がはがれて損傷を受け、むき出しになったところから多量の体液、塩分がにじみ出ます。損傷を受けてむき出しになった組織は非常に感染を起こしやすく、感染がこの病気の最大の死因となります。

治療

スティーブンス‐ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死症は、いずれも入院が必要です。病気の原因として疑われる薬はすべて即座に使用を中止します。可能なら、これらの患者は病院の熱傷専門治療室で治療を受け、感染症を防ぐための入念なケアを受けます。死を免れれば、皮膚は成長して元の状態へと向かいます。やけどの場合と異なり、皮膚移植は必要ありません。損傷を受けた皮膚から失われた体液と塩分は、静脈からの輸液で補います。

これらの病気の治療にステロイド薬を使用することには、賛否両論があります。発症後最初の数日の間に、大量投与すると効果があるとする説と、反対にこの薬を使用すべきでないとする説があります。ステロイド薬は免疫システムを抑制するので、重度の感染症にかかるリスクが高くなります。感染症にかかった場合、すぐに抗生物質を投与します。

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