メルクマニュアル家庭版
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多汗症

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多汗症の人は多量の汗をかき、一部は常に汗をかいている状態にあります。熱がある人や、高温の環境では汗をかきますが、多汗症ではこのような状況下でなくても汗をかきます。皮膚全体に多汗がみられることもありますが、たいていは手のひら、足の裏、わきの下、性器周辺といった限られた部分に多汗の症状がみられます。

特定の原因は見つからないのが普通です。しかし、甲状腺機能亢進症、低血糖、まれに褐色細胞腫などの病気が原因になっていることがあります。汗をコントロールしている神経システムに異常がある場合も、多汗症が起こります。脊髄に外傷や病気がある場合、多汗症がみられることもあります。多汗症の人の多くは、自分の症状について不安を抱いています。このような不安が多汗を悪化させることもよくあります。

慢性的に多量の汗をかいて皮膚が湿った状態にあると、その部分が白くなってしわがより、ひび割れてきます。赤くなって炎症を起こすこともあります。正常でも皮膚に存在する細菌や酵母が汗を分解するため、多汗のある部分が嫌なにおいを発する臭汗症(しゅうかんしょう)と呼ばれる状態もあります。

治療

多汗症は、市販の制汗剤の使用である程度は抑えられます。しかし、手のひらや足の裏、わきの下、性器周辺に多汗がある場合はもっと効果の高い治療が必要となります。寝る前に塩化アルミニウム溶液を塗っておくと、効果が得られる場合があります。この薬は、処方薬にも、市販薬にもあります。使用する際には、まず皮膚の汗をふいてからこの溶液を塗布します。あまり効き目がみられない場合、溶液を塗った上からラップフィルムをかぶせて治療の効果を高めます。朝になったらラップを外し、その部分の皮膚を洗います。場合によっては1日に2回溶液を塗ります。この方法は、通常1週間程度で症状を緩和します。溶液が皮膚を刺激するようであれば、ラップをかぶせるのは中止します。

メセナミンの溶液も効果があります。汗をかく部分に弱い電流を流す方法である水道水イオントフォレーシスも用いられます。フェノキシベンザミン、プロパンテリンといった経口薬も汗のコントロールに有効なことがあり、ボツリヌス毒素を多汗の部分に注射することで汗の量が減る例もあります。薬では効き目がない場合、汗を抑える抜本的な治療として、汗腺につながる神経を手術で切断する方法もあります。わきの下のみにみられる多汗の場合、脂肪吸引法を使って汗腺を取り去る治療法も行われます。不安から生じる汗は、心理カウンセリングや抗不安薬で抑えられる場合もあります。

汗からくるにおいが問題である場合、1日に2回せっけんと水で多汗のある部分を洗うと、においのもとである細菌や酵母を取り除けます。一部の患者では、殺菌効果のあるせっけんでの洗浄を数日間行い、それと並行してクリンダマイシンやエリスロマイシンを含む抗菌クリームを塗ることが必要な場合もあります。わきの下のにおいを抑えるには、わきの毛をそるのも効果があります。

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