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前庭神経鞘腫

(聴神経腫瘍、聴神経鞘腫、第8脳神経腫瘍)

執筆者:

Lawrence R. Lustig

, MD, Columbia University Medical Center and New York Presbyterian Hospital

レビュー/改訂 2021年 6月
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前庭神経鞘腫(聴神経腫瘍とも呼ばれます)は、前庭神経を包んでいる細胞(シュワン細胞)から発生する、がんではない(良性の)腫瘍です。

この腫瘍は内耳神経(第8 脳神経 脳神経の概要 脳神経は12対の神経で構成され、脳から直接出て頭部、頸部、体幹の様々な部位へと伸びています。脳神経には、特殊な感覚(視覚、聴覚、味覚など)を担うものと、顔の筋肉を制御したり腺を調節したりするものがあります。脳神経は、それぞれの位置に応じて、脳の前から後ろに向かって番号と名前が付けられています。... さらに読む )の分枝の1つである前庭(平衡感覚)神経から発生します。もう1つの分枝の内耳神経(聴神経)は、音の信号を脳に送ります。腫瘍が増殖し聴神経を圧迫するにつれて起こる初期症状としては、徐々に進行する片耳の難聴があります(そのため従来から聴神経腫瘍と呼ばれています)。

前庭神経鞘腫の症状

前庭神経鞘腫の初期症状には、以下のものがあります。

腫瘍が大きくなって顔面神経(第7脳神経)や三叉神経(さんさしんけい)(第5脳神経)といった脳の他の部分を圧迫すると、顔面の筋力低下(顔面の垂れ下がり)や痛み、しびれが生じる場合があります。

前庭神経鞘腫の診断

  • 聴覚検査

  • MRI検査

前庭神経鞘腫の治療

  • ときに手術または放射線療法

小さくて、増殖せず症状も起こさない腫瘍には、治療は必要ありません。増殖し始めた腫瘍や症状を引き起こす腫瘍は、手術によって取り除くか、 放射線療法 がんに対する放射線療法 放射線は、コバルトなどの放射性物質や、粒子加速器(リニアック)などの特殊な装置から発生する強いエネルギーの一種です。 放射線は、急速に分裂している細胞や DNAの修復に困難がある細胞を優先的に破壊します。がん細胞は正常な細胞より頻繁に分裂し、多くの場合、放射線によって受けた損傷を修復することができません。そのため、がん細胞はほとんどの正常な細胞よりも放射線で破壊されやすい細胞です。ただし、放射線による破壊されやすさはがん細胞によって異な... さらに読む によって制御します。手術は、顔面神経を傷つけないように、顕微鏡を用いて行われることがあり(マイクロサージャリー)、聴覚はときに保たれます。放射線療法は、腫瘍だけに放射線が当たるように、非常に精密な技術(定位放射線治療)を用いて行われることがあります。手術と定位放射線治療のどちらが行われるかは、患者の年齢、健康状態、難聴の程度、腫瘍の大きさなど、いくつかの要因によって決定されます。

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