メルクマニュアル家庭版
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鼻炎

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鼻炎は鼻の粘膜が炎症を起こして腫れた状態で、鼻水や鼻づまりといった症状が特徴です。通常はかぜ(感冒)(ウイルスによる感染症: かぜ(感冒)を参照)やアレルギー(アレルギー反応: 季節性アレルギーを参照)が原因で起こります。

鼻は上気道の中で最も感染を起こしやすい部位です。鼻炎には、短期間に推移する急性鼻炎と、長期にわたる慢性鼻炎があります。急性鼻炎の原因としてはウイルスの感染が一般的ですが、アレルギーやその他の原因によって起こることもあります。慢性鼻炎は概して慢性副鼻腔炎を伴います。

ウイルス性鼻炎: 急性のウイルス性鼻炎(かぜ)はさまざまなウイルスが原因で起こります。症状には、鼻水、鼻づまり、鼻汁がのどに回る後鼻漏、せき、微熱などがあります。鼻づまりを和らげるには、フェニレフリンのスプレー式点鼻薬かプソイドエフェドリンの内服薬を用います。これらは薬局で入手できる市販薬で、鼻粘膜の血管を収縮させる効果があります。スプレー剤の使用は3〜4日以内にとどめます。これは、それ以上長く使うと薬の効果が薄れ、鼻の粘膜が薬を使う前よりも腫れてしまうリバウンド現象が起こるためです。抗ヒスタミン薬には鼻水を抑える効果がありますが、眠気などの副作用があり、特に高齢者で強くみられます(高齢者でリスクが高くなる主な薬を参照)。抗生物質は急性のウイルス性鼻炎には無効です。

アレルギー性鼻炎: アレルギー性鼻炎は、外部環境中の原因物質に対して体の免疫システムが反応することによって引き起こされます。原因物質としては、ほこり、カビ、花粉、草、樹木、動物などが一般的です。くしゃみ、鼻水、鼻づまり、眼のかゆみ、涙目などの症状がみられます。アレルギー性鼻炎は、それまでに起きた症状に基づいて診断されます。多くの場合、家族にもアレルギーのある人がいます。さらに詳しい情報を得るには、血液検査やパッチテストを行います。

アレルギーを引き起こす物質を避ければ症状の予防はできますが、実際に行うのは難しい場合もあります。ステロイドのスプレー剤はさまざまな原因で生じる鼻の炎症を和らげ、長期間使用しても比較的安全です。抗ヒスタミン薬はアレルギー反応とそれによる症状を抑えます。抗ヒスタミン薬は鼻の粘膜を乾燥させますが、多くの薬は同時に眠気などの副作用をもたらし、特に高齢者で顕著です。新しい種類の抗ヒスタミン薬は医師の処方せんが必要な処方薬ですが、これらの副作用がありません。アレルゲン注射(減感作療法)は、特定の原因物質に対する長期的な免疫寛容(免疫反応を起こすことなく異物を受け入れる状態)を導くものですが、十分な効果が現れるまでには数カ月から数年を要します。抗生物質はアレルギー性鼻炎の症状緩和には無効です。

萎縮性鼻炎: 萎縮性鼻炎(いしゅくせいびえん)は慢性鼻炎の1種で、鼻の粘膜が薄く硬くなり、鼻腔が広がって乾燥が進みます。鼻の粘膜には通常は、ほこりなどの粒子を取り除く毛様の突起(線毛)をもち粘液を分泌する細胞がありますが、萎縮性鼻炎になるとこれらの細胞が失われ、皮膚にみられるような細胞に置き換わってしまいます。この鼻炎は、副鼻腔の手術で鼻の内部や粘膜のかなりの部分を切除した人に発生することがあります。鼻の粘膜に長期にわたる細菌感染があった場合も発症しやすくなります。

鼻の内側にかさぶたができ、悪臭を生じます。大量の鼻出血が繰り返しみられ、ときに嗅覚(きゅうかく)が失われます。

治療では、かさぶたの形成を減らし、悪臭をなくし、感染を抑えることが主眼となります。バシトラシンなどの抗生物質の局所用薬を鼻の内側に塗って、細菌を殺します。エストロゲンやビタミンA・Dをスプレー式点鼻薬または内服薬で投与すると、粘液分泌が促進されてかさぶたが減ります。このほか、内服または静脈から投与するタイプで有効な抗生物質もあります。手術で鼻腔を狭くすると、鼻の中を通る空気の量が少なくなって、薄くなった粘膜の乾燥が防がれるため、かさぶたの形成が減ります。

血管運動神経性鼻炎: 血管運動神経性鼻炎は慢性鼻炎の1種です。アレルギーがあるようにはみえないのに、鼻づまり、くしゃみ、鼻水など一般的なアレルギー症状が発生します。ほこりや花粉などによる刺激や香水の強い香り、大気汚染などに強い反応を示す人もいます。症状は現れたり消えたりしますが、空気が乾燥すると悪化します。粘膜が腫れ、その色は赤から紫までさまざまです。副鼻腔に軽い炎症がみられることもあります。症状が長びく人では、鼻の内視鏡検査または副鼻腔のCT検査が必要となる場合があります。副鼻腔の炎症が軽ければ、症状の緩和を目的とした治療を行います。タバコの煙や刺激物を避け、加湿機能付きの暖房装置や加湿器を使用することも効果的です。

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