メルクマニュアル家庭版
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打撃による外傷(鈍的外傷)

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鈍器などによる打撃は、眼の表面近くの組織(まぶた、結膜、強膜、角膜、虹彩、水晶体)と、眼の裏側の組織(網膜、視神経)に損傷を与えます。また、眼のまわりの骨を損傷する場合もあります。打撃による外傷であっても、眼の組織に裂傷(切り傷)が生じることがあります。

症状

眼が強い打撃による外傷を受けてから最初の24時間は、血液がまぶたと眼の周囲の皮膚に漏れ出して青あざ(打撲傷)をつくることがあります。眼の表面の血管が破れた場合は、結膜が赤くなります。眼の表面の出血は見た目には重傷と思われることがありますが、通常は傷としては軽いもので、特に治療は必要ありません。赤くなった部分はその後数日間でわずかに緑色っぽくなり、次いで黄色くなって、吸収されます。普通、出血のあとは1〜2週間できれいに治ります。打撃による裂傷もよくある症状で、皮膚からの出血を起こします。裂傷の大きさは大小さまざまです。

眼の内部の損傷は、表面部の損傷よりも重大です。前房の中への出血(前房出血)は重症で、眼科医の診察を受ける必要があります。前房出血があると、視力が低下したり光に過敏になったりします。また、眼圧が上昇する場合もあります(緑内障)。外傷を受けてから数日後に眼の内部で出血が起こることもあります。

出血は眼の後部でも起こります(硝子体[しょうしたい]出血)。また、虹彩が裂けたり、水晶体が正しい位置からずれたりすることもあります。出血は網膜にも起こります(網膜出血)。外傷によって網膜が裂け、眼の後部からはがれることもあります(網膜剥離)。網膜剥離が起こると、当初は、宙に何かゆがんだ形のものが浮いているようにみえる、光のまたたきがみえる、視野がぼやけるといった症状が出ることがあり、やがて視力が大きく低下します(網膜の病気: 網膜剥離を参照)。ひどい外傷の場合は、眼球を覆っている厚い線維状の膜(強膜)が裂けることもあります。

治療

眼の外傷の程度がはっきりしない場合や、視力に影響が出た場合は、すぐに医師の診察を受けるべきです。可能な限り眼科医の診察を受けます。

外傷を受けてから24〜48時間の間は、氷のうをあてるとあざのできた眼とその周辺の痛みや腫れが和らぐことがあります。眼の周囲の皮膚やまぶたの裂傷は、縫合を必要とする場合があります。まぶたの縁に近い部分では、縫合がうまくいかないとまぶたの形がゆがんでしまって眼を閉じる際に支障が出るおそれがあるので、このような部位はできるだけ眼科医による縫合を受けるべきです。涙管に影響を与えるような外傷も、眼科で治療する必要があります。

眼の裂傷も、眼科で診察を受けるべきです。これは傷の深さや手術による治療が必要かどうかを正しく判断する必要があるからです。外傷の多くは結膜の部分でとどまるもので、手術を必要としないこともあります。強膜や角膜の裂傷では通常、縫合を必要とします。裂傷が治るまでの間、痛みを和らげるための薬が処方されます。

前房出血の治療では、頭の方を高くして横になって休むようにします。頭を高くすることで眼の中の出血を早く吸収させるためです。瞳孔を広げて眼の中の炎症を軽減するため、点眼薬も使われます。アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は出血を起こしやすくするので、数週間は使用しないようにします。

眼の内部に達する裂傷がある場合は、眼球内部の感染症(眼内炎)を防ぐための抗生物質が、初期には静脈注射で、その後は内服薬で投与されます。瞳孔を広げる点眼薬は虹彩からの出血を防ぎ、また、眼の外傷に伴って生じがちな光に対する過敏性を和らげます。コルチコステロイド点眼薬も、炎症を軽減するためによく処方されます。眼にそれ以上の外傷が生じないよう金属製の眼帯が使われることもよくあります。重度の損傷では視力の一部またはすべてが失われることがあり、手術でも回復できないことがあります。ごくまれに、眼に重度の裂傷を負った後、けがをしていない反対側の眼が炎症を起こすことがあり(交感神経性眼炎)、ときにはこれが原因で視力の一部喪失や失明に至ります。

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