メルクマニュアル家庭版
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精巣癌

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精巣癌の多くが40歳前に発生します。精巣に発生する癌には、精上皮腫(セミノーム)、奇形腫、胎生期癌、絨毛癌(じゅうもうがん)などがあります。

精巣癌の原因は不明ですが、3歳までに精巣が陰嚢に下降しなかった人(停留睾丸(乳児と幼児の健康上の問題: 停留睾丸と過剰運動性睾丸を参照))は、下降した人に比べて精巣癌にかかる確率が高くなります。停留睾丸は、小児期に手術で治しておく方がよいでしょう。成人になっても精巣が下降しない場合は、癌のリスクを減らすため、精巣の片方を摘出することが勧められます。

症状と診断

精巣癌になると精巣が腫大するか、陰嚢にしこりができます。精巣以外の部分にできるしこりの多くは精巣癌によるものではありませんが、精巣にできるしこりの多くは精巣癌が原因です。正常な精巣はなめらかな卵形で、背部と上部が精巣上体とつながっています。精巣癌ができると、精巣の内部や表面に硬い増殖性のしこりができます。癌ができると精巣は正常な形ではなくなり、腫大し、いびつででこぼこな形になります。ほとんど痛みはありませんが、精巣やしこりに軽く触れると痛んだり、触れなくても痛むこともあります。精巣に硬いしこりができたら、すぐに医師の診察が必要です。ときには腫瘍の内部で血管が破裂して、突然激しい痛みを伴う腫れを生じることがあります。

診察と超音波検査で、しこりが精巣にできているか、硬いか(癌の可能性が高いか)、液体で満たされているか(嚢胞性)を調べます。アルファ‐フェトプロテインとヒト絨毛性ゴナドトロピンという2種類のタンパク質の血液中の濃度を測定すると診断に役立ちます。精巣癌があると、これらのタンパク質の値が上昇します。癌が疑われる場合は、手術を行って精巣を調べます。

治療

精巣癌の初期治療では、癌ができた精巣全体を手術で取り除きます(精巣全摘出術)。もう一方の精巣は摘出せずにそのまま残すことで、適切な男性ホルモン量を維持し、生殖能力を保つことができます。精巣癌が原因で生殖能力が失われる場合もありますが、治療後には正常に戻ります。

ある種の精巣癌では、最初に腹部のリンパ節に転移するので、手術の際にリンパ節も摘出します(後腹膜リンパ節郭清術)。放射線療法は、精上皮腫に特に効果的です。

広がった精巣癌には、手術と化学療法を併用した治療が行われます。血液中のアルファ‐フェトプロテインとヒト絨毛性ゴナドトロピンの値は診断時には上昇していますが、治療が成功すると低下します。治療後にこれらの値が上昇した場合は、癌が再発している可能性があります。摘出手術や必要な治療を終えた後に、摘出した精巣の代わりとなる人工精巣を手術で設けることができます。

精巣癌患者の経過の見通しは、癌のタイプと転移の状況で異なります。精上皮腫、奇形腫、胎生期癌で広範囲の転移がない場合には、ほぼ全員が5年以上生存します。転移がある場合でも、ほとんどの患者は5年以上生存します。しかし、急速に広がる絨毛癌の場合は、5年間生存できる患者はほとんどいません。

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