メルクマニュアル家庭版
印刷用画面

セクション

月経周期

-
-

月経とは、子宮の内側を覆っている膜(子宮内膜)がはがれ落ち、血液とともに排出されることです。月経は、女性の一生のうち妊娠可能な期間にみられます。月経は思春期に始まり(初潮)、その後は妊娠期間と閉経後を除いてほぼ毎月、周期的にみられますが、やがて月経の停止(閉経(閉経と更年期: はじめにを参照))を迎えます。

定義上、月経の初日が各月経周期の始まり(第1日)とされています。そこから次の月経の直前までが、1つの月経周期となります。月経周期は約21〜40日と幅があり、ちょうど28日周期で月経が巡ってくるのは女性のうち10〜15%に過ぎません。初潮直後や閉経直前の数年間は月経の間隔が長くなります。

月経周期は、下垂体でつくられる黄体形成ホルモンと卵胞刺激ホルモン、卵巣でつくられるエストロゲンとプロゲステロンによって調節されています。月経周期は卵胞期、排卵期、黄体期に分けられます。

月経周期中のホルモンの変化

月経周期は、種々のホルモンの複雑な相互作用によって調節されています。下垂体でつくられる黄体形成ホルモンと卵胞刺激ホルモン、卵巣でつくられる女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが月経周期に関与します。

月経周期は月経の出血から始まり、月経初日が卵胞期の第1日となります。エストロゲンとプロゲステロンの減少によって、厚くなった子宮内膜がはがれ、子宮口から体外に排出されることで出血が起こります。卵胞期の前半は卵胞刺激ホルモンがわずかに増加し、これに刺激されていくつかの卵胞が発育します。それぞれの卵胞には卵子が1つずつ入っています。続いて卵胞刺激ホルモンが減少すると、これらの卵胞のうち1つだけが発育を続け、成熟します。この卵胞からエストロゲンが分泌されます。

排卵期になると、黄体形成ホルモンと卵胞刺激ホルモンが急激に増加します。黄体形成ホルモンの刺激を受けて、成熟した卵子が卵巣から飛び出します(排卵)。排卵はこれらのホルモンの増加が始まってから16〜32時間後に起こります。また、この時期にエストロゲン値はピークに達し、プロゲステロンも増加しはじめます。

黄体期に入ると、黄体形成ホルモンと卵胞刺激ホルモンが減少します。卵子を放出した後の卵胞は黄体に変化してプロゲステロンを分泌します。黄体期の後半にはエストロゲンが増加します。プロゲステロンとエストロゲンの作用で子宮内膜が増殖して厚くなります。受精が起こらなかった場合は、黄体が退化してプロゲステロンが分泌されなくなり、エストロゲンも減少します。そのため厚みを増していた子宮内膜がはがれて体外へ排出され、次の月経周期が始まります。

卵胞期は、月経初日から黄体形成ホルモンの濃度が急上昇する直前までの期間です。このホルモンの濃度が急上昇すると、卵子が放出されます(排卵)。卵胞期には卵巣内の卵胞が発達します。長さには差がありますが、月経周期のうち13日程度が平均的です。妊娠可能年齢の終わりに近づき閉経が近くなると、卵胞期が短くなる傾向があります。

卵胞期の初めには、子宮内膜が水分と栄養分で厚くなっています。これは胎児に栄養を与えるためです。受精が起こらなければエストロゲンとプロゲステロンの濃度は低下し、子宮内膜がはがれ落ちて月経が始まります。月経の期間は3〜7日間、平均では5日間です。月経周期1回あたりの出血量は15〜300ミリリットルで、平均では130ミリリットルほどです。生理用ナプキンやタンポンは種類によりますが、30ミリリットル程度の血液を吸収できます。月経血はけがによる出血とは異なり、特に多量でない限り凝固することはありません。

卵胞期の初めには、下垂体から卵胞刺激ホルモンがやや多めに放出されます。このホルモンの刺激により3〜30個の卵胞が成長し、それぞれの卵胞には卵子が1つずつ含まれています。卵胞期後半になると卵胞刺激ホルモンの濃度が低下し、成長した卵胞のうち1個だけ(主席卵胞)が発育を続けます。この卵胞はまもなくエストロゲンを分泌するようになり、その刺激を受けた他の卵胞は退化していきます。

排卵期は黄体形成ホルモンの濃度の急上昇とともに始まります。同時に、卵胞刺激ホルモンの濃度もいくらか上昇します。黄体形成ホルモンの刺激により、主席卵胞が卵巣の表面から突出し、やがて破裂して卵子が放出されます(卵胞刺激ホルモンの上昇が担っている機能は不明)。

排卵期は卵子の放出で終わります。卵子は通常、黄体形成ホルモン濃度の急上昇から36時間後に放出されます。卵子の放出後12〜24時間は、尿中のホルモン濃度を調べると黄体形成ホルモンの上昇が検出されます。放出された卵子が受精できる期間は短く、約12時間までです。卵子が放出される前に生殖管内に精子が入っていると、受精する可能性が高くなります。

人によっては、排卵の時期に下腹部の左右どちらかの側に、中間痛と呼ばれる鈍い痛みを感じることがあります。痛みは卵子を放出する卵巣のある側に感じられ、数分から数時間続きますが、原因はまだよくわかっていません。中間痛が生じるのは卵胞が破裂する前のこともあれば後のこともあり、また、月経周期のたびに必ずみられるとも限りません。卵子の放出は左右の卵巣間で交互に起こるのではなく、ランダムに起こると考えられています。片方の卵巣を切除した場合は、残った卵巣が卵子を毎月放出します。

黄体期は排卵の後に続く期間で、受精が起こらなければ、約14日間続いて月経の直前に終わります。黄体期には卵子を放出した卵胞が閉じて黄体と呼ばれる内分泌組織をつくり、多量のプロゲステロンを分泌します。受精が起きた場合に備え、子宮の準備を整えるのが黄体の役割です。プロゲステロンは子宮内膜を厚くして胎児のための水分と栄養分を蓄えるとともに、子宮頸部の粘液を濃くして精子や細菌が子宮に侵入するのを防ぎます。また、プロゲステロンによって黄体期には体温がやや上昇し、上昇した体温は月経期が始まるまで維持されます。この体温の上昇を利用して、排卵が起こったかどうか推定できます(不妊: 排卵の障害を参照)。黄体期の後半にはエストロゲンの濃度も上昇し、これも子宮内膜の成長を促します。

エストロゲンとプロゲステロンの濃度が上昇すると、乳房内の乳管が大きくなります。その結果、乳房がふくらんだり圧痛(触れると痛むこと)が生じることがあります。

受精が起こらなければ黄体は14日後に退化し、新たな月経周期が始まります。受精が成立した場合には、胎児を取り巻く細胞からヒト絨毛(じゅうもう)性ゴナドトロピンと呼ばれるホルモンが放出されます。このホルモンにより黄体が維持され、胎児が成長して自らホルモンを分泌するようになるまで、黄体からプロゲステロンの分泌が続きます。妊娠検査は、この絨毛性ゴナドトロピンの濃度上昇を調べることによって行います。

個人情報の取扱いご利用条件