メルクマニュアル家庭版
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生殖器の異常

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外性器(陰茎、睾丸、陰核)の先天異常は普通、出生前の血液中の性ホルモン量の異常が原因です。先天性副腎皮質過形成(代謝障害の1種)と染色体異常が、生殖器の先天異常を引き起こす主な原因です。

生まれた子供の性器が男性か女性かはっきりしない(性器不明瞭あるいは半陰陽状態)ことがあります。性器不明瞭の子供の多くは偽半陰陽、つまり外性器は性別がはっきりしない状態ですが、卵巣か精巣のいずれかをもっています(両方はもちません)。偽半陰陽は遺伝的には男性もしくは女性です。

性器不明瞭の子供の診断には、診察、染色体(XY型の染色体であれば男児、XX型は女児)とホルモン濃度(下垂体ホルモンとテストステロンなどの男性ホルモン、アンドロゲンともいう)を解析するための血液検査などを行います。骨盤のX線検査と超音波検査を行うと内性器を調べるのに役立ちます。テストステロンを用いた治療を行うと、陰茎が大きくなり男性とわかるようになります。

専門家の多くは、子供の性別はすぐに特定すべきだと考えています。そうしないと両親と子供のきずなを築くのがより難しくなり、子供が性同一性障害(性と精神: 性同一性を参照)になる可能性があるからです。性器不明瞭の手術を後日受けることも可能で、特に先天異常が複雑な場合にはそうします。偽半陰陽を引き起こした原因も治療する必要があります。

男性器の異常

男性の偽半陰陽は普通、男性ホルモン(アンドロゲン)の欠乏あるいは染色体異常が原因で起こります。アンドロゲン欠乏症が妊娠12週以前に起こると、陰茎と睾丸が欠損します。アンドロゲン欠乏症が妊娠後期に起こると、男の子の胎児の陰茎が異常に小さくなったり(小陰茎)、睾丸が陰嚢の中に完全に下りなかったりします(乳児と幼児の健康上の問題: 停留睾丸と過剰運動性睾丸を参照)。偽半陰陽は、アンドロゲンに対して反応する能力に欠けているために起こることもあります。成長後は、睾丸がほとんどの男性ホルモンを産生します。睾丸の欠損あるいは未発達はアンドロゲン欠乏症を引き起こします。

小児期のアンドロゲン欠乏症は、性的未発達の原因となります。アンドロゲン欠乏症の男の子は、年齢の割に高い声のままで筋肉も未発達です。陰茎と睾丸と陰嚢も未発達です。陰毛とわき毛が薄く、腕と脚が異常に長くなります。

アンドロゲン欠乏症はテストステロンで治療できます。テストステロンは普通は注射か皮膚パッチで投与します。これらの投与法は、テストステロンを内服するよりも副作用が少なくてすみます。テストステロンは、成長、性的な発達、受精能力を促します。

女性器の異常

女子の偽半陰陽(男性化とも呼ばれます)は多量の男性ホルモンにさらされたことが原因で起こります。最もよくみられる原因は、ある酵素が欠如しているために副腎が肥大して(先天性副腎過形成)、男性ホルモンを過剰に産生することです。正常な女性では男性ホルモンが女性ホルモンに変換されますが、それが起こりません。ときには、男性ホルモンが母親の血液から胎盤に入ることもあります。たとえば母親が流産を防ぐためプロゲステロンなどの薬剤を投与されていたり、母親にホルモンを産生する腫瘍(しゅよう)があったりした場合などですが、これはあまりみられません。

偽半陰陽の女子は女性の内性器をもちますが、陰核は肥大し、小さい陰茎のようにみえます。

子供が女性であることが確認されたら、女性にみえる外陰部をつくるための手術を行います。この手術では、陰核を小さくし、腟(ちつ)の形成あるいは修復(腟形成術)を行い、尿道を修復します。

先天性副腎過形成は血液中の電解質(ナトリウムとリン)に重度の異常を引き起こすので、命にかかわることがあります。血液検査で診断してコルチコステロイド薬による治療を行います。

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