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乳児突然死症候群(SIDS)

執筆者:

Christopher P. Raab

, MD, Sidney Kimmel Medical College at Thomas Jefferson University

レビュー/改訂 2021年 8月
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やさしくわかる病気事典
本ページのリソース

乳児突然死症候群(SIDS)とは、1歳以下の健康に見えていた乳児が通常は睡眠中に予期せず突然死亡することです。

  • 乳児突然死症候群(SIDS)の原因は不明です。

  • あお向けに寝かせる、枕を使わない、ベビーベッドにサイドパッドとおもちゃを置かない、小児を暖めすぎない、受動喫煙をさせないなどの対策は、小児をSIDSから守るのに役立ちます。

  • SIDSで子どもを亡くした親は、カウンセリングや支援団体の援助を求めるとよいでしょう。

乳児突然死症候群(SIDS、ベビーベッド死とも呼ばれます)は、米国ではまれ(出生1000件に1件程度)ですが、生後2週間から1年の乳児の死因で最もよくみられるものの1つです。アフリカ系アメリカ人とアメリカ先住民の小児では、SIDSのリスクは平均の2倍です。生後2カ月目~4カ月目の乳児に最もよく起こります。この症候群は世界的にみられます。以下のように多くの危険因子があります。

乳児突然死症候群の危険因子

以下のいずれかの危険因子にさらされたことがある、あるいは現在さらされている小児では、SIDSのリスクが上昇します。

原因

乳児突然死症候群(SIDS)の原因は不明です。呼吸のコントロールに異常があるためとも考えられます。SIDSの乳児の一部では、血液中の酸素レベルが低下した徴候や、呼吸が一時停止した徴候(無呼吸)が観察されています。

知っていますか?

  • 乳児突然死症候群(SIDS)は、まれではあるものの、生後2週間から1年の乳児の死因で最もよくみられるものの1つです。SIDSは、乳児をうつ伏せに寝かせることと関連付けられています。

診断

  • 剖検

SIDSの診断を確定するには、剖検(遺体を解剖して調べること)により、予期せぬ突然死をもたらすその他の原因(頭蓋内出血 脳内および脳周囲の出血 分娩損傷とは、分娩の過程で通常は産道を通る際に物理的な圧力が生じる結果として新生児が受ける損傷のことです。 多くの新生児が出生の際に軽いけがをします。 まれに、神経が損傷したり骨が折れたりします。 ほとんどのけがは、治療をしなくても治ります。 極めて大きな胎児は難産になる場合があり、生まれてくる子どもに損傷のリスクを伴います。胎児が5000グラム(母親が糖尿病の場合は4500グラム)を超えると推定される場合には、... さらに読む 脳内および脳周囲の出血 髄膜炎 小児の髄膜炎 細菌性髄膜炎とは、脳と脊髄を覆う膜( 髄膜)に起きる重篤な感染症です。 細菌性髄膜炎は、月齢の高い乳児と小児では、通常は呼吸器系に入った細菌によって引き起こされ、新生児では、しばしば血流の細菌感染症( 敗血症)の結果として引き起こされます。 年長児や青年では発熱を伴う項部硬直、頭痛、錯乱がみられ、新生児や幼若な乳児では通常、むずかる、食べなくなる、嘔吐するなどの症状が現れます。... さらに読む 、または 心筋炎 心筋炎 心筋炎とは、心臓の筋肉組織(心筋)に炎症が起きた状態であり、組織の壊死につながります。 心筋炎は、感染症、心臓に影響を与える毒素や薬剤、サルコイドーシスといった全身性疾患など、様々な病気によって引き起こされる可能性がありますが、原因が分からないこともよくあります。 症状は様々ですが、疲労、息切れ、腫れ(浮腫)、心拍の自覚(動悸)、突然死などがみられます。 診断は、心電図検査、心筋バイオマーカーの測定、心臓の画像検査、および心筋生検の結果... さらに読む など)を除外しなければなりません。

また、窒息または虐待による死亡でないかも評価する必要があります。

予防

  • 乳児をあお向けに寝かせる

SIDSに関連する危険因子は知られているものの、これを確実に防ぐ方法はありません。しかし、特定の方法、特に固いマットレスの上に乳児をあお向けで寝かせることなどは予防に役立つと考えられています。SIDSによる死亡数は、小児をあお向けに寝かせる親が増えてから劇的に減少しています(安全な寝かせ方[Safe to Sleep®]キャンペーンを参照)。枕、ベビーベッドのサイドパッド、おもちゃなど、乳児の呼吸を妨げるおそれがあるものも置かないようにすべきです。乳児をくるみすぎないようにしたり、暖めすぎないようにすることも役立つ可能性があります。 母乳哺育 母乳哺育 新生児にとって母乳は理想的な栄養源です。乳児には母乳と人工乳のどちらを与えてもよいですが、世界保健機関(WHO)と米国小児科学会(AAP)は、およそ6カ月間は授乳のみとし、それから固形食を開始する方針を推奨しています。ほかにも、授乳を続けながら生後4カ月から6カ月の間に 固形食を開始する方針を推奨している組織もあります。現在では、生後4カ月から6カ月の間に固形食を開始することが一部の食物アレルギーの発症予防につながる可能性を示唆した科学... さらに読む 母乳哺育 をすることと、タバコの受動喫煙で乳児の呼吸が妨げられないようにすることは、予防効果がある上、その他の面でも健康に有益です。

家庭で呼吸モニターを使用すると、SIDSのリスクが低下するという科学的証拠はありません。

安全な寝かせ方:乳児突然死症候群のリスクを低下させる

  • 姿勢:昼間も夜間も常に乳児をあお向けで寝かせること。

  • 寝具の表面:安全性が保証されたベビーベッド用マットレスをサイズの合ったシーツで覆うなどして、固い寝具の上に乳児を寝かせること。

  • 寝具の準備:乳児の寝る場所から柔らかい物、おもちゃ、毛布を取り除くこと。緩めのベッドメーキングをしないこと。

  • 禁煙:乳児の周りで喫煙しないこと。妊娠中の禁煙も重要となる。

  • 寝かせる場所:親や他の小児が寝る場所の近くで、ただし別の場所に乳児を寝かせること。

  • おしゃぶり:乳児を寝かしつける際、清潔で乾いたおしゃぶりを与えることを考慮すること。

  • 温度:乳児が寝ている間、暖めすぎないこと。

乳児突然死症候群を予防すると宣伝されている家庭用モニターや製品は、役に立たないと考えらえます。

乳児の頭が扁平になるのを防ぐには、乳児が起きていて誰かが見ている間しばらくおなかを下にしてあげるとよいでしょう。週毎に乳児が寝る頭の向きを変え、チャイルドシート、抱っこ紐、バウンサーなどにあまり長く寝かせておかないようにすることも、頭の形を丸くする上で役に立つでしょう。

Adapted from The National Institute of Child Health and Human Development (Safe to Sleep® campaign).

乳児をSIDSで亡くした親のためのリソース

  • カウンセリング

  • 支援団体

SIDSで子どもを失った親の多くはこの悲劇的な出来事に対し心構えがなく、深い悲しみに襲われます。罪悪感を覚えることもよくあります。警察やソーシャルワーカーなどの調査を受けて、さらに深く傷つくこともあります。子どもを失った親がこの悲劇を乗り越えるには、専門の訓練を受けた医師や看護師、同じくSIDSで子どもを失った親たちによるカウンセリングや援助が重要です。専門家から、親を支えるために役立つ本、ウェブサイト(米国乳児突然死症候群協会[American SIDS Institute]など)、支援団体を紹介してもらうこともできます。

さらなる情報

役立つ可能性がある英語の資料を以下に示します。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。

  • 安全な寝かせ方(Safe to Sleep®):乳児の安全な睡眠習慣に関する親や養育者向けの情報

  • 米国乳児突然死症候群協会(American SIDS Institute):SIDSの原因と予防法に関する教育および家族支援サービスを提供する組織

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