メルクマニュアル家庭版
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学習障害

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学習障害の子供は注意力、記憶力、論理的思考力が欠けていることが原因で、学んだことを習得したり、覚えておいたりする能力や、特定の技術や情報を広く使う能力がありません。そのため学業成績にも影響が出ます。

学習障害は精神遅滞とはまったく異なるもので、正常な知能をもつ子供や高い知能をもつ子供にみられます。精神遅滞の子供は広く認識にかかわる機能に障害があるのに対し、学習障害の場合はある特定の能力にのみ障害があります。学習障害には主に、読み方の障害、書いて表現する能力の障害、計算障害の3つの型があります。たとえば学習障害をもつ子供のうち、ある子供は算数を理解したり学習したりするのが困難ですが、読み書きやそのほかの科目の習得には何ら問題がないという具合です。失読症は最もよく知られている学習障害です。視力、聴力、その両方、あるいは情緒障害が原因で学習に問題が出ている場合は、学習障害には含めません。

学習障害の原因はまだ完全にはわかっていませんが、理解、話し言葉や書き言葉の使用、数や空間の認識など、基本的な処理能力における異常が原因に含まれています。

推計では米国の小学生のうち3〜15%が、学習障害を補うための特別な教育を必要としています。学習障害のある男子の数は学習障害のある女子の5倍ですが、女子は学習障害があることに気づかれなかったり、診断されないことがよくあります。

行動面に問題がある子供は学校での成績が良くなく、学習障害について調べるために教育心理学者による検査を受けさせられることがよくあります。しかし、特定のタイプの学習障害をもつ子供の中には、自分の障害をうまく隠して、診断や治療を長い間受けずにいる者もいます。

症状

幼い子供の場合は、色の名前や文字を覚えること、身近にあるものの名前を認識すること、数を数えることなど、早い時期に子供が身につける能力に遅れがみられることがあります。読み書きを覚えるのも遅くなることがあります。そのほかの症状としては、注意力が持続せず散漫であること、話し方がたどたどしいこと、記憶力が長く続かないことなどがあります。このような子供は、活字体で書く、模写するといった、細かな運動神経の協調作用が必要となる行為が苦手な場合があります。

学習障害のある子供は、コミュニケーションに困難が生じることがあります。そのような子供の一部は、最初は欲求不満を起こし、やがてすぐに気が散る、多動である、すぐにやめてしまう、引っこみ思案、攻撃的など、行動面で問題が生じることがあります。

診断と治療

子供の読む力や学習する力がその子供の言語能力や知能から予測されるレベルに達していない場合は、診断を受けるべきです。視力や聴力に問題がある場合も読み書きの能力を障害するので、視力と聴力の検査も行う必要があります。

診察では身体的な障害がないかどうかも検査します。子供は言語と非言語両面での知能テストと、読み書きと計算能力の学習検査を受けます。

学習障害に対し最も有効な治療は、それぞれの子供に合うよう入念に調整した教育を行うことです。食品添加物を排除したり、ビタミンを大量投与したり、子供の体の微量ミネラルを分析したりなどの試みもしばしば行われていますが、これらの効果は実証されていません。学業成績、知能、学習能力全般を高めるのに明らかに効果のある薬剤はありません。学習障害のある子供の一部にADHDがみられますが、そのような子供の場合はメチルフェニデートなどの薬で注意力、集中力、学習能力を改善できることがあります。

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