メルクマニュアル家庭版
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はしか

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はしか(麻疹)とは非常に感染力の強いウイルス感染症で、さまざまな症状と特徴的な発疹が現れます。

子供は、感染した人がせきをした際に飛び散って空気中を浮遊している小さな水滴を吸いこんだり、そのような飛沫で汚染されたものに触れることによって、はしかに感染します。はしかは、発疹が現れる2〜4日前から発疹が消えるまでの間感染力があります。

予防接種が広く行われる以前は、はしかは特に就学前の小児と学童の間で2〜3年ごとに流行し、その間の年には小規模の局地的な流行がみられました。ほかの国では、はしかはいまだによくみられますが、米国ではしかにかかる人は年間100人程度だけです。はしかにかかったことがあるか、予防接種を受けたことのある女性の子供は、はしかへの免疫を(抗体という形で)受け継ぎます。この免疫は、生後ほぼ1年間は効力があります。しかし、その後は予防接種を受けなければ、はしかにかかりやすくなります。はしかにかかれば免疫ができるので、その後はかかりません。

症状と診断

はしかの症状は、感染から約7〜14日後に現れはじめます。感染した子供には、まず発熱、鼻水、のどの痛み、激しい空せき、眼の充血などが現れます。ときには、眼が明るい光に対して過敏になることもあります。2〜4日後には、口の中に小さな白い斑点(コプリック斑)ができます。

症状が出はじめて3〜5日たつと、ややかゆみを伴う発疹が現れます。この発疹は耳の前部や下部と首の両側に、平らで不規則な形の赤い部分として現れますが、すぐに盛り上がってきます。顔の発疹が薄れていくにつれ、1〜2日以内に発疹は胴体、腕、脚に広がります。

病気のピーク時には、子供は非常に具合が悪くなり、発疹は広範囲に広がり、体温は約40℃を超えることがあります。3〜5日のうちに熱は下がり、子供の具合も良くなって、残っていた発疹も急速に消えていきます。診断は、典型的な症状と特徴的な発疹に基づいて行います。特別な検査は行いません。

はしかにかかった子供の1000人に約1人が脳の感染症(脳炎)を発症します。脳炎が起きるときは、普通、発疹が現れてから2日から3週間後に高熱、けいれん、昏睡などで始まります。この病気は短くて、約1週間で回復することもありますが、長びいて脳の障害や死をもたらすこともあります。

肺炎(特に乳児の場合)や中耳炎のような二次的細菌感染症が起こることも非常に多く、はしかの子供はレンサ球菌感染症に特にかかりやすくなります。まれですが、血液中の血小板レベルが低下して、子供があざや出血を起こすことがあります。

経過の見通し、予防、治療

健康で栄養状態の良い子供の場合、はしかはめったに重症にはなりません。しかし二次的な細菌感染症、特に肺炎はときに命にかかわることがあります。まれですが、はしかの重篤な合併症である亜急性硬化性全脳炎が、数カ月から数年後に発症することがあり、脳に障害を残します(ウイルス感染症: 亜急性硬化性全脳炎を参照)。

はしかのワクチンは、小児期に受ける定期予防接種の1つであり、月齢12〜15カ月の間に接種します(乳児と小児の予防接種スケジュールを参照)。はしかに免疫がない子供(と成人)がはしかにさらされた場合、2日以内に予防接種を受ければ、かからずにすむことがあります。妊婦と1歳未満の乳児は予防接種を受けるべきではなく、予防にははしか免疫グロブリンを投与します。

はしかには特別な治療法はありません。米国の一部の医師は、はしかで入院している月齢6カ月から2歳までの子供にビタミンAを投与します。この理由は、ビタミンA欠乏症がよくみられる国で、ビタミンA投与がはしかによる死亡数を減らしたためです。はしかの子供は、暖かく快適な状態におきます。発熱を軽減するために、アセトアミノフェンやイブプロフェンを投与することもあります。二次的な細菌感染症が起こった場合は、抗生物質を投与します。

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