メルクマニュアル家庭版
印刷用画面

セクション

亜急性硬化性全脳炎

-
-

亜急性硬化性全脳炎とは、進行性で、通常致死性の疾患です。まれにはしかの合併症として数カ月あるいは数年後に発症し、精神遅滞、筋肉のけいれん、けいれんなどが起きます。

亜急性硬化性全脳炎は、はしかのウイルスに長期間脳が感染した結果起こります。ときどきこのウイルスは、はしかの感染症が発症している間に脳に侵入します。これはすぐに脳の感染症(脳炎)の症状を引き起こすこともあれば、問題を起こすことなく長い間脳の中にとどまっている場合があります。

亜急性硬化性全脳炎は、このはしかウイルスが再活性化することで起こります。米国では、以前はしかにかかったことがある人の場合、100万人に1人か2人の割合でこの病気が起こりますが、その理由は不明です。非常にまれな例ですが、はしかにかかったことのない人がはしかの生ワクチン接種を受けて、亜急性硬化性全脳炎を発症することがあります。

米国と西ヨーロッパでは、亜急性硬化性全脳炎の患者数は減少しています。男性の方が女性よりもかかる頻度は多くみられます。

症状と診断

この病気は普通、子供か一般に20歳前の若者に発症します。最初の症状は、学業成績の低下、健忘、激昂、注意散漫、不眠、幻覚などです。腕、頭、体に突然の筋肉けいれんが起こることもあります。そして、筋肉の異常な制御できない運動を伴って、けいれんが起こります。知性と言語能力が低下していきます。その後、筋肉が徐々に硬直しはじめ、ものを飲みこむことが難しくなります。ときどき嚥下(えんげ)障害により、唾液が詰まって肺炎を起こす人もいます。失明する人もいます。最終段階では、体温が上昇して、血圧と脈拍が異常になります。

医師は症状に基づいて診断します。はしかウイルスに対する高い抗体価を示す血液検査、異常な脳波(EEG)、脳の異常を示すMRI(磁気共鳴画像)検査やCT(コンピューター断層撮影)検査などによって診断を確定します。

経過の見通しと治療

この病気ではほとんどの場合、1〜3年以内に死亡します。死因は通常肺炎ですが、肺炎はこの病気によって引き起こされる過度の筋力低下と筋肉のコントロール異常に起因します。

この病気の進行を食い止める手段はありません。けいれんをコントロールしたり、軽減するために、抗けいれん薬を用いる場合があります。

個人情報の取扱いご利用条件