メルクマニュアル家庭版
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胃腸炎

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胃腸炎とは消化管の炎症で嘔吐と下痢を引き起こし、ときには発熱や激しい腹痛などを伴います。

ときに「おなかのかぜ」と呼ばれる胃腸炎は、子供にはよくみられる病気です(胃腸炎: はじめにを参照)。重症の胃腸炎では、嘔吐や下痢のため体液が失われるので、脱水症状や血液化学成分(電解質)の不均衡が生じます。適切な治療を行えば胃腸炎が重症になることはまれですが、開発途上国では非常に重篤になる可能性があります。これらの国では、胃腸炎により引き起こされた下痢が原因で、毎年多数の子供が死亡しています。

原因

非常にさまざまなウイルスや細菌、寄生生物が胃腸炎の原因となります。しかしウイルス(ロタウイルスなど)は、細菌(大腸菌コレラ菌サルモネラ赤痢菌など)や寄生虫(ランブル鞭毛虫など)よりもはるかに多く胃腸炎を引き起こす原因です。

子供は普通、保育所や学校、そのほか子供の多い場所などで、以前胃腸炎にかかった子供や胃腸炎の病原体にさらされたことのあるほかの子供から、ウイルス性の胃腸炎をうつされます。ウイルス性胃腸炎は、一般に手から口へと広がりますが、くしゃみや唾液(だえき)から感染が広がることもあります。子供は手や指を口の中や近くに持っていってからおもちゃにさわったり、お互い同士に触れたりするので、ウイルス性胃腸炎が特に広まりやすいのです。

子供はマヨネーズ、乳製品、肉、そのほかの冷蔵保存されていなかった食品を食べることで、細菌性胃腸炎に感染します。調理法が適切でなかった場合、特に火がよく通っていなかった場合も、胃腸炎の原因となります。このようにして感染した胃腸炎は、ときどき「食中毒」(胃腸炎: ブドウ球菌食中毒を参照)と呼ばれます。子供は、井戸や川、プール、または開発途上国の旅行中などに汚染された水を飲むことでも、細菌性胃腸炎や寄生虫性胃腸炎に感染します。

たまに子供が植物やビタミンの錠剤など、食べるべきではないものを食べて胃腸炎を起こすこともあります。まれですが、アレルギーが原因で胃腸炎を起こしたり(好酸球性胃腸炎)、動物園で動物と接触したことが原因で胃腸炎を起こすこともあります。

症状と診断

症状は通常、嘔吐、下痢、激しい腹痛、発熱、食欲減退などが組み合わさって現れます。普通、病気の初期段階では嘔吐が主に現れて、次に下痢が主に起こりますが、両方を同時に起こす子供もいます。ある種の細菌が原因の場合は、便に血が混じることがあります。これらの症状は、子供が水分を十分に摂取すると良くなります。子供が軽い脱水症を起こすとのどが渇きますが、重症の脱水症になるとだるそうになって神経過敏になり、ぐったりしてときには水分を摂取しなくなります。乳児は年長児に比べて、このような重い有害反応を起こす傾向があります。

胃腸炎の診断は、子供の症状と、子供が何に接触したのかに関する情報に基づいて行います。多くのタイプの胃腸炎は短い間に自然に良くなるので、診断のための検査は普通は必要ありません。細菌や寄生虫による感染症を疑った場合には、便検査や血液検査、白血球数を測定する検査などを追加します。脱水症を起こしている子供は、治療方法を決めるために血液検査が必要です。

予防と治療

胃腸炎を防ぐのに最も良い方法は、子供に手を洗う習慣をつけさせ、調理法や保存方法が適切ではない食物を食べないよう教えることです。開発途上国ではロタウイルス感染症を防ぐ予防接種ができますが、副作用があるため米国ではその使用は中止されました。

子供が胃腸炎にかかったら水を頻繁に飲ませ、水分と電解質の両方を含むジュースやスープを少量でも摂取するよう促します。胃腸炎が12〜24時間以上持続する場合や、子供がジュースを飲みこめない場合には、通常電解質を与える必要があります。自宅で電解質を与える場合は、市販の電解質溶液を与えます。電解質溶液には粉状や液状のものがあり、薬局やスーパーマーケットで買えます。

嘔吐のある子供には、約10分ほどたってから少量の水分を与えます。その水分を吐かないようであれば、10〜15分おきに水分を与えるようにして、1時間ほどたったら与える量を30〜60ミリリットル程度増やします。その量を今度は約1時間ごとに与えます。水分は急速に吸収されるので、もし子供が飲んで10分以上たってから吐いた場合はその水分の大半は吸収されており、その後も水分は与え続けるべきです。子供に与える水分の量は、その子供の年齢によりますが、一般的には子供の体重1キログラムあたり100〜165ミリリットル程度を24時間の間に与える必要があります。電解質溶液を摂取して嘔吐と下痢が良くなった場合は、ジュース、スープ、バナナやすりおろしたリンゴなどの軟らかい食べものを次の日から与えてみます。

下痢はあるが嘔吐はほとんど起こしていない子供は、普通の食事を取ってかまいませんが、下痢で失われた水分を補充するため水分を多く与えます。

危険な徴候としては、ほんの数口分の水分も胃にとどめておけないことや、脱水症の徴候(眠りがちになる、口の渇き、涙が出ない、6時間以上排尿がないなど)があります。このような子供は、ただちに医師に診てもらわなくてはなりません。これらの徴候がない子供も、症状が1〜2日以上続く場合は診察を受ける必要があります。脱水症が重い場合は、子供に静脈内投与により水分を補給します。

ロペラミドなどの下痢止め薬は、通常は子供には勧められません。このような薬は、ウイルスや細菌、寄生虫が便と一緒に体外に排出されるのを防いでしまうので、感染症の治りを遅らせてしまうと考えられるからです。胃腸炎の原因がウイルス感染症である場合は、抗生物質は効き目がありません。抗生物質は、これらの薬に反応することが知られている細菌に対してのみ使います。寄生虫感染症には、抗寄生虫薬を用います。

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