メルクマニュアル家庭版
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反復性腹痛

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反復性腹痛とは、少なくとも3カ月の期間にわたって3回以上起こる腹痛のことをいいます。

学齢期の子供の10人に約1人の割合で再発性の腹痛があります。これは8〜10歳の子供に最も多くみられ、4歳未満ではまれです。反復性腹痛は男子よりも女子にわずかに多く、青年期初期の女子にはかなり多くみられます。

原因

多くの子供では、反復性腹痛の原因は不安や、学校、友人、両親、家族間におけるストレスが原因で生じた心理的な悩みです。これを起こす子供はそのかなりの数がうつ状態にあります。10人に約1人は、普通、消化管や尿生殖器管の病気など明らかな身体的原因があります。身体的原因がない大半の子供の場合、親はときどき対応に悩まされます。

反復性腹痛に身体的原因がない場合、親や教師が心配している反応をみせると、子供がストレスの原因になっている状況を都合よく変えられるように、痛みが良くなったり、逆に悪化したりすることがあります。たとえば、子供が腹痛を起こすと家族の口論をやめさせることができたり、親が関心を向けてくれたり、または学校そのほかのストレスのある状況から逃れることができるというように、痛みは子供がほかの手段ではコントロールできないような不安を解消するのに効果のある方法なのです。重要なことは、多くの子供は自分の悩みを親や教師に伝えるために腹痛という症状を意図的に使っているのではないという点です。それどころか、これは感情面の不安により生じる本物の重要な症状なのです。

反復性腹痛の最も深刻な原因は、性的虐待です。しかし、学校や家庭での日ごろのストレスの方が、反復性腹痛の原因としては性的虐待よりははるかに多くみられます。

反復性腹痛の主な身体的原因

  • 腸の病気
    • 裂孔ヘルニア
    • 食道炎
    • 消化性潰瘍疾患
    • 肝炎(肝臓の炎症)
    • 胆嚢炎(胆嚢の炎症)
    • 膵炎(膵臓の炎症)
    • 炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)
    • メッケル憩室
    • 慢性虫垂炎
    • 腸重積症
    • 寄生虫による感染症(たとえばジアルジア症)
    • 腸結核
    • セリアック病
    • 便秘
    • ラクターゼ欠乏症
  • 泌尿生殖器の病気
    • 構造の異常
    • 尿路感染症
    • 正常な毎月の排卵(女子)
    • 月経痛(女子)
    • 骨盤内炎症性疾患(女子)
    • 卵巣嚢腫(女子)
    • 子宮内膜症(女子)
  • 全身性の病気
    • 重症の金属中毒(鉛)
    • ヘノッホ‐シェーンライン紫斑病
    • 鎌状赤血球症
    • 食物アレルギー
    • ポルフィリン症
    • 家族性地中海熱
    • 遺伝性血管性浮腫
    • 腹性片頭痛

症状

身体的原因による反復性腹痛は、一般に予測可能な時間や同じ状況のときに再発します。特定の活動や食物によって引き起こされたり、数日から数カ月にわたって悪化することもあります。必ずではないですが、しばしばこの腹痛は子供を眠りから目覚めさせます。子供には、食欲減退、体重減少、便通の形状や色の変化、便秘あるいは下痢、食物や血を吐くこと、腹部の腫れ、再発性もしくは持続性の発熱、黄疸(おうだん)、血の混じった便、排尿時の不快感など、そのほかの症状が出ることもあります。

明白な身体的原因のない反復性腹痛は、一般に予測可能な時間や同じ状況下で起こることはそれほどありません。このような腹痛はしばしば漠然とした言い方で表現され、ときには数週間や数カ月間で消えます。子供の睡眠を妨げることはめったにありませんが、早く起きるようになることはあります。子供が遊びに夢中になっているときなどは、痛みから気がそれていることがしばしばあります。このようなことは身体的原因のある痛みではあまり起こりません。

診断

医師は、親と子供に痛みの特徴や痛みと一緒に起こる症状について、一連の質問をします。身体的原因の手がかりを探るために、直腸検査を含めた診察も行います。問診と検査によって、追加の検査をする必要があるか、その場合はどの検査を行うかを判断します。しばしば、質問に対する子供の答えやインタビューの際の親と子供の様子を観察するだけで、心理的な原因の可能性を強く疑える場合があります。

そのほか反復性腹痛の検査には、感染症を調べるための尿検査や血液検査から、大腸内の炎症やそのほかの異常を調べる大腸内視鏡検査など、より体に負担のかかる検査まで幅があります。しかし、体に負担のかかる検査はほとんど必要ありません。反復性腹痛の症状にうつや不安が伴っている頻度の高さを考慮すると、心理学的な評価が最も重要な検査だとみなされています。

治療

身体的原因による反復性腹痛の場合は、その原因である病気の治療を行います。子供の症状に身体的原因が見つからない場合は、心理的原因を疑います。その場合の治療は、子供と医師の間に良好なコミュニケーションと信頼関係を築くことと、子供の症状を定期的に観察することです。

子供は学校を含め、日ごろのすべての活動に復帰できるよう援助を受ける必要があります。教師は、子供が友人との活動に参加しなくなることに歯止めをかけ、さらに学校にかかわるもめごとを解決できるよう手助けする重要な役割を担っています。痛みのために授業に参加できない子供は、限られた時間だけ保健室に行くことを許可する必要があります。親の許可があれば、学校所属の看護師は、子供にイブプロフェンやアセトアミノフェンなどの穏やかな効き目の鎮痛薬を必要なときに与えることが可能です。治療の最初の1〜2週間は、子供は1日に1回かそれ以上保健室に行きたいというのが典型的です。時間がたてば、この行動の頻度は低くなります。一般に、親が子供を特別扱いしたり病気扱いするのをやめると、心理的原因による痛みはいったんは悪化しますが、その後改善します。

身体的原因のない腹痛がある子供は、子供の必要に応じて1週間ごと、1カ月ごと、1カ月おきなど決まった間隔で医師の診察を受けると効果がある場合があります。抗うつ薬や抗不安薬を処方する例もあります。この治療法で、子供の症状は回数が減るか現れなくなることがありますが、それが必ずしも成功とはいえません。新たに別の身体症状や感情面の問題を抱える子供もいますし、解決されていない感情面の問題を頭痛などの別の症状で表す子供もいます。手を尽くしても痛みが消えない場合、特に子供が非常にうつな状態にあったり、家庭に重大な心理的問題がある場合には、子供は精神保健の専門家に診てもらう必要があります。

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