メルクマニュアル家庭版
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ウィルムス腫瘍

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ウィルムス腫瘍(腎芽細胞腫)とは、腎臓にできる特殊な種類の癌です。

この病気は主に5歳未満の子供に発症しますが、年長児にもみられ、成人でもまれに発症します。非常にまれな例では、出生前に発症して新生児期に見つかることがあります。症例の約4%ではウィルムス腫瘍が両方の腎臓にできます。

ウィルムス腫瘍の原因は不明ですが、一部の例では遺伝的異常がかかわっているようです。虹彩欠損や体の片側だけが異常に成長するなどの先天異常はいずれも遺伝的異常ですが、このような子供の場合はウィルムス腫瘍を発症するリスクが高くなります。しかしこの病気の子供の多くには、こうした明らかな異常が認められるわけではありません。

症状と診断

症状としては、腹部の膨大(たとえばおむつのサイズが急に大きくなるなど)、腹痛、発熱、食欲減退、吐き気と嘔吐、などがあります。症例の15〜20%で血尿が認められます。腎臓は血圧調整にかかわっているのでウィルムス腫瘍から高血圧になる場合があります。この腫瘍は転移性で、特に肺への転移がよくみられます。肺に転移するとせきや息切れが生じます。

ウィルムス腫瘍の最初の徴候は腹部にできる痛みのない腫れで、たいていは親がこれに気づきます。医師がさわると子供の腹部にあるかたまり(腫瘤)が確認できます。ウィルムス腫瘍の疑いがある場合は、超音波検査やCT(コンピューター断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像)検査を行って、腫瘤の性質と大きさを調べます。

写真

腎芽細胞腫

腎芽細胞腫

経過の見通しと治療

乳児や腫瘍が小さい子供、腫瘍が転移していない子供は、かなり良くなる傾向があります。ウィルムス腫瘍は概して治癒しやすい腫瘍です。この病気にかかった子供の約70〜95%は生存しますが、これは腫瘍がどの程度転移しているかによります。腫瘍が転移している子供でも経過がかなり良い場合があります。しかしウィルムス腫瘍の特定の型(症例の5%未満)は治療にあまり反応しません。この型は顕微鏡で見ると判別できますが、この型を発症した子供は予後が悪くなります。

ウィルムス腫瘍の治療では、腫瘍を発症した側の腎臓を切除します。手術の際には、もう片方の腎臓にも腫瘍がないかどうかを確認します。手術後に化学療法を行います。最もよく使われるのはアクチノマイシンD、ビンクリスチン、ドキソルビシンなどです。比較的大きい腫瘍や腫瘍転移があった子供は、放射線療法を受けます。最初は腫瘍が切除できない場合もあります。このような場合は、最初に化学療法と放射線療法を行い、腫瘍が小さくなってから切除します。

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