メルクマニュアル家庭版
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子供の病気

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重い病気は、一時的なものであっても子供に大きな不安を与えます。慢性疾患や障害はさらに大きな精神的苦痛を与えます。

病気に対処するためには、痛みとうまく付き合い、検査を受け、薬を服用し、食事や生活スタイルを変える必要があります。慢性疾患がある子供は頻繁に学校を休むことになるので、教育面でも支障が出ます。病気や治療の副作用は子供の学習能力を損なう場合があります。親や教師も病気の子供には良い成績をあまり期待しないかもしれません。しかし子供が最善を尽くして頑張れるように目標を与え、励ましてやることが大切です。

病気と入院は、子供がほかの子供と遊ぶ機会を奪います。身体的に違う点があったり制限があるという理由で、健康な子供が病気の子供を拒絶したりからかうこともあります。病気によって体に変化が生じた場合、特にそれが先天性ではなく小児期や青年期に生じた場合には、子供は自意識過剰になります。親や家族は子供を過保護にして自立を阻んでしまうことがあります。

子供の慢性疾患は親にも計り知れない重荷となります。この重荷を乗り越えるために協力し合うことで、夫婦の間のきずなが強くなることもありますが、反対に夫婦の関係を損ねてしまうこともよくあります。子供の病気が遺伝性のものであったり、妊娠の合併症や事故(自動車事故など)、あるいは親の行動(喫煙など)が原因である場合には、親は特に強い罪悪感をもつことがあります。加えて、治療費が高額であったり、看病のために親が仕事を失う可能性もあります。親のどちらかが看病を一手に引き受けることがありますが、その場合には看病をしている方は憤りを感じ、看病をしていない方はのけ者にされたような孤独感を感じたりします。親は自分自身や医師、配偶者、病気の子供に対して怒りを感じることもあります。看病に伴う精神的苦悩は、障害を抱えたり重い病気にかかっている子供に対して深い愛情をもつことを困難にするおそれもあります。

病気の子供と長時間一緒に過ごす親は、その子供の兄弟姉妹のために割く時間が少なくなりがちです。兄弟姉妹は病気の子供が親の注意を引きつけていることに憤慨したり、そのように思ったことで後ろめたく感じたりします。病気の子供も自分が家族を傷つけたり、負担を与えたりしていると思って後ろめたく感じることがあります。親は病気の子供に対し甘くなりすぎたり、子供の症状が出たり消えたりする場合などには一貫性のないしつけをすることもあります。

最善の環境が提供される場合でも入院は子供にとって怖い経験であり、可能な限り避けるべきです。入院が避けられない場合は期間をできるだけ短くし、理想的には小児科専用の病棟や病室に入院させるようにします。多くの病院では親が子供と一緒に過ごすことが可能で、痛みを伴ったり子供を怖がらせるような治療や検査の間も一緒にいることができます。入院中の子供は親がそばについているのに、親にくっついて離れなかったり、甘えたりするようになること(逆行)がよくあります。

子供の病気はどんな場合も家族全員にとってストレスになるものですが、そのストレスを和らげる方法はいくつかあります。親は子供の病気について主治医から聞いたり、信頼できる情報源を利用して調べたりしてできるだけ多くのことを学ぶ必要があります。インターネットから得られる情報は常に正確とは限らないため、そのような情報源で得た知識は医師に尋ねて確認するようにします。支援グループや同じような経験をした家族も、情報や精神的な支えを提供してくれます。医師からそのような人を紹介してもらうこともできます。

子供が必要とするサービスとして、医師、看護師、在宅看護士、精神衛生士などによるケアがあります。難治性の慢性疾患にかかっている子供のための治療計画を立てるには、ケースマネジャーに相談して各種のケアを組み合わせてもらうのもよいでしょう。子供の担当医や看護師、ソーシャルワーカーなどはケースマネジャー的な役割を果たすこともできます。ケースマネジャーは子供が社会的能力の訓練を受けられるよう手配したり、家族と子供が適切なカウンセリングや教育、精神的支援、一時療養などの社会的支援を受けられるよう手配することもできます。

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